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伊織たちが小百合に気付いたのがわかると、小百合は今度は来い来いと手招きをしてきた。
三人はそれに導かれるようにそちらへと走っていく。
「ふふ、来た来た。場所とっといたからここで一緒に見ましょう。神くんと紳一の試合なんてとても見ものだものね」
嬉しそうに言う小百合に、宗一郎と牧が苦笑する。
「おいおい、別に俺たちが二人で試合をするわけじゃないぞ?」
「そうですよ、小百合さん。他に10人もチームメイトがいるんですから」
「あら、でも紳一もそうだけど、神くんもかなりサッカー上手いって聞いたわよ? うちのクラスの神くんファンが騒いじゃってうるさいんだから」
「ええ、宗ちゃんファン!? 誰ですかそれって!」
聞き捨てならないセリフにまりあが身を乗り出した。
それを小百合が笑顔で制する。
「う~ん、まりあちゃんには教えられないわね」
「どうしてですか」
まりあが拗ねたように小百合を上目遣いで見た。
「だって、その子たち闇討ちされちゃいそうだもの。同じクラスに怪我人は出したくないわ」
「ああ、雪原ならやりそうだな」
「でしょう?」
「なっ、まりあそんなことしませんよう! ねえ、宗ちゃん! なんとか言って!」
「あー、うん……。そうだね」
腕にくるっと巻きついたまりあに苦笑しながら宗一郎は言った。
その拍子に、まわりにいた女子から悲鳴のような声があがる。
宗一郎はその様子に心から嫌そうな顔で息を吐き出すと、まりあをそっと腕から離した。
「まりあ。頼むからまわりを挑発しないで。俺、試合前に騒がれるのあんまり好きじゃないんだ」
「ご、ごめんなさい宗ちゃん。でも特定の女の子がいるって思わせた方がみんな大人しくなるかと思って」
「う~ん……。それもそれで、ちょっと不都合が……」
「不都合?」
宗一郎が伊織をちらっと見てそう言った。
その一瞬だけ宗一郎と視線がぶつかり、伊織の心臓が大きく飛び跳ねる。
(え、なんでこっち見て……、いや、違うたまたま! たまたまよ!)
そう。視線を逸らした先にたまたま自分がいただけで、あの視線に深い意味なんてない。
伊織がひとり騒がしい心臓をなだめていると、まりあはその言葉にぷくっと頬を膨らませた。
「なによう、不都合って」
「まあ、いろいろだよ」
それ以上の追求を避けるように宗一郎はにこりと笑ってそう言うと、今度はまっすぐ伊織に視線を向けた。
「伊織ちゃん」
宗一郎の綺麗な黒曜石の瞳に正面から射抜かれて、伊織の収まりかけていた心臓が再び暴れだす。
「あ、はい!」
「牧さんじゃなくて、俺のこと応援してね。がんばるから」
「も、もちろんです!」
「もちろんか……なるほどな。鈴村は俺を応援するつもりはないのか」
「あら、じゃあ元いた場所に戻ってもらおうかしらね?」
「ええ!?」
小百合と牧にイジワルな視線を向けられ、伊織はうろたえた。
そんな伊織を裏切るように、信長が拳をぶんと高くつきあげて宣言する。
「オレは牧さんも神さんも応援するっスよ!」
「ああ、ノブずるい! 助けてよ!」
「助けて……? そうか。伊織ちゃんはノブに助けを求めちゃうくらい俺を応援するのはイヤなのか……。いいよ、伊織ちゃん。牧さんを応援して。俺はほんのついででも応援してくれればそれでいいから」
三人はそれに導かれるようにそちらへと走っていく。
「ふふ、来た来た。場所とっといたからここで一緒に見ましょう。神くんと紳一の試合なんてとても見ものだものね」
嬉しそうに言う小百合に、宗一郎と牧が苦笑する。
「おいおい、別に俺たちが二人で試合をするわけじゃないぞ?」
「そうですよ、小百合さん。他に10人もチームメイトがいるんですから」
「あら、でも紳一もそうだけど、神くんもかなりサッカー上手いって聞いたわよ? うちのクラスの神くんファンが騒いじゃってうるさいんだから」
「ええ、宗ちゃんファン!? 誰ですかそれって!」
聞き捨てならないセリフにまりあが身を乗り出した。
それを小百合が笑顔で制する。
「う~ん、まりあちゃんには教えられないわね」
「どうしてですか」
まりあが拗ねたように小百合を上目遣いで見た。
「だって、その子たち闇討ちされちゃいそうだもの。同じクラスに怪我人は出したくないわ」
「ああ、雪原ならやりそうだな」
「でしょう?」
「なっ、まりあそんなことしませんよう! ねえ、宗ちゃん! なんとか言って!」
「あー、うん……。そうだね」
腕にくるっと巻きついたまりあに苦笑しながら宗一郎は言った。
その拍子に、まわりにいた女子から悲鳴のような声があがる。
宗一郎はその様子に心から嫌そうな顔で息を吐き出すと、まりあをそっと腕から離した。
「まりあ。頼むからまわりを挑発しないで。俺、試合前に騒がれるのあんまり好きじゃないんだ」
「ご、ごめんなさい宗ちゃん。でも特定の女の子がいるって思わせた方がみんな大人しくなるかと思って」
「う~ん……。それもそれで、ちょっと不都合が……」
「不都合?」
宗一郎が伊織をちらっと見てそう言った。
その一瞬だけ宗一郎と視線がぶつかり、伊織の心臓が大きく飛び跳ねる。
(え、なんでこっち見て……、いや、違うたまたま! たまたまよ!)
そう。視線を逸らした先にたまたま自分がいただけで、あの視線に深い意味なんてない。
伊織がひとり騒がしい心臓をなだめていると、まりあはその言葉にぷくっと頬を膨らませた。
「なによう、不都合って」
「まあ、いろいろだよ」
それ以上の追求を避けるように宗一郎はにこりと笑ってそう言うと、今度はまっすぐ伊織に視線を向けた。
「伊織ちゃん」
宗一郎の綺麗な黒曜石の瞳に正面から射抜かれて、伊織の収まりかけていた心臓が再び暴れだす。
「あ、はい!」
「牧さんじゃなくて、俺のこと応援してね。がんばるから」
「も、もちろんです!」
「もちろんか……なるほどな。鈴村は俺を応援するつもりはないのか」
「あら、じゃあ元いた場所に戻ってもらおうかしらね?」
「ええ!?」
小百合と牧にイジワルな視線を向けられ、伊織はうろたえた。
そんな伊織を裏切るように、信長が拳をぶんと高くつきあげて宣言する。
「オレは牧さんも神さんも応援するっスよ!」
「ああ、ノブずるい! 助けてよ!」
「助けて……? そうか。伊織ちゃんはノブに助けを求めちゃうくらい俺を応援するのはイヤなのか……。いいよ、伊織ちゃん。牧さんを応援して。俺はほんのついででも応援してくれればそれでいいから」