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夢小説設定
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(だって、言おうとしたら彰さんが来てなんだかごちゃごちゃしちゃって……。いや、でもそんなの言い訳よね。チャンスはゼロじゃなかったもんね)
伊織が仙道と一緒に帰ったあの日、宗一郎とまりあがもめたと信長から聞いた。
なんでも伊織と仙道をからかうような発言をしたまりあを宗一郎が叱り付けたということで、てっきり次の日からまりあに無視されるとばかり思っていた伊織は、これまでと変わらず普通に接してくるまりあに、やや拍子抜けしたような気持ちがしている。
もちろん、無視されないのはこの上もなく嬉しいことなのだが。
(やっぱりケンカの原因にわたしは関係なかったんじゃないかな?)
そんな風に呑気に考えて、伊織も体育館シューズを掴むと信長とともにまりあの後を追った。
グラウンドに出ると、もうかなりの人数が決勝が行われるサッカーコートのまわりに集まっていた。
……なんとなくだけど、女子の比率が多い気がする。
勝ち上がっているチームは全部で12チームしかないわけで、そうなると当然暇なクラスが出てきて、そのクラスが応援に来ているということも考えられるのだが、絶対それだけではない気がする。
その証拠に……。
「神くぅ~ん! がんばって~!」
「牧せんぱーい!」
「宗一郎くーーん! 牧くーーん!」
「きゃ~、神くん素敵~! こっち向いて~!」
試合を始める前から、宗一郎と牧目当ての黄色い歓声が飛び交っている。
宗一郎と牧は学校で一、二を争うほど女子生徒から人気がある。
そんな二人の直接対決とあれば、女子が目の色変えて見に来るのも頷ける。
部活のときは部員しかいない閉鎖空間で練習しているからあまり意識しないけれど、こうやって一歩部活の外にでると、嫌でもその人気の高さを再認識させられた。
自分の感情も手伝って、どうしても宗一郎への声援ばかりが耳についてしまう。
伊織はそれがおもしろくなくて少し唇を尖らせた。
まあ、器量よし、性格良し、頭良し、おまけに強豪バスケ部において二年生レギュラーとなれば、女子生徒が放っておかない気持ちもわかるけれど……。
でも、宗一郎を好きな身としては、まったく気が休まらなかった。
(やだな……。宗先輩にあんまり注目浴びてほしくない……)
これが部活なら、こんなたくさんの女子の目に触れることもないのに……。
ふと隣りに目を向けると、まりあも同じように渋い顔をしていた。
いや、違う。渋い顔をしているのではなくて、まりあは宗一郎に黄色い歓声を送る女子の顔を頭に刻みつけようと目を凝らしていた。
「…………」
それに気付いた伊織は、顔を青くした。
やっぱり、雪原まりあは敵に回すと怖い。
伊織はまりあに宗一郎を好きな事を伝えるのをやめようかと一瞬本気で迷った。
(いやいやいや! ダメよ、ちゃんと言わなきゃ。宗先輩を好きな気持ち、もう引き返せないところまできちゃったんだもん。このままじゃまりあちゃんにウソつき続けることになっちゃう)
そんなの絶対嫌だった。
大好きな人には、常に誠実でありたい。
そんなことをひとりもんもんと考えていたときだった。
「伊織ちゃん、ノブくん、まりあちゃん!」
遠くで自分たちを呼ぶ声がした。
きょろきょろとあたりを見回すと、コートから一番前のかなりいいポジションで小百合がひらひらと手を振っていた。
近くには宗一郎と牧もいる。
「あ、小百合先輩!」
「宗ちゃん!」
「牧さん!」
伊織が仙道と一緒に帰ったあの日、宗一郎とまりあがもめたと信長から聞いた。
なんでも伊織と仙道をからかうような発言をしたまりあを宗一郎が叱り付けたということで、てっきり次の日からまりあに無視されるとばかり思っていた伊織は、これまでと変わらず普通に接してくるまりあに、やや拍子抜けしたような気持ちがしている。
もちろん、無視されないのはこの上もなく嬉しいことなのだが。
(やっぱりケンカの原因にわたしは関係なかったんじゃないかな?)
そんな風に呑気に考えて、伊織も体育館シューズを掴むと信長とともにまりあの後を追った。
グラウンドに出ると、もうかなりの人数が決勝が行われるサッカーコートのまわりに集まっていた。
……なんとなくだけど、女子の比率が多い気がする。
勝ち上がっているチームは全部で12チームしかないわけで、そうなると当然暇なクラスが出てきて、そのクラスが応援に来ているということも考えられるのだが、絶対それだけではない気がする。
その証拠に……。
「神くぅ~ん! がんばって~!」
「牧せんぱーい!」
「宗一郎くーーん! 牧くーーん!」
「きゃ~、神くん素敵~! こっち向いて~!」
試合を始める前から、宗一郎と牧目当ての黄色い歓声が飛び交っている。
宗一郎と牧は学校で一、二を争うほど女子生徒から人気がある。
そんな二人の直接対決とあれば、女子が目の色変えて見に来るのも頷ける。
部活のときは部員しかいない閉鎖空間で練習しているからあまり意識しないけれど、こうやって一歩部活の外にでると、嫌でもその人気の高さを再認識させられた。
自分の感情も手伝って、どうしても宗一郎への声援ばかりが耳についてしまう。
伊織はそれがおもしろくなくて少し唇を尖らせた。
まあ、器量よし、性格良し、頭良し、おまけに強豪バスケ部において二年生レギュラーとなれば、女子生徒が放っておかない気持ちもわかるけれど……。
でも、宗一郎を好きな身としては、まったく気が休まらなかった。
(やだな……。宗先輩にあんまり注目浴びてほしくない……)
これが部活なら、こんなたくさんの女子の目に触れることもないのに……。
ふと隣りに目を向けると、まりあも同じように渋い顔をしていた。
いや、違う。渋い顔をしているのではなくて、まりあは宗一郎に黄色い歓声を送る女子の顔を頭に刻みつけようと目を凝らしていた。
「…………」
それに気付いた伊織は、顔を青くした。
やっぱり、雪原まりあは敵に回すと怖い。
伊織はまりあに宗一郎を好きな事を伝えるのをやめようかと一瞬本気で迷った。
(いやいやいや! ダメよ、ちゃんと言わなきゃ。宗先輩を好きな気持ち、もう引き返せないところまできちゃったんだもん。このままじゃまりあちゃんにウソつき続けることになっちゃう)
そんなの絶対嫌だった。
大好きな人には、常に誠実でありたい。
そんなことをひとりもんもんと考えていたときだった。
「伊織ちゃん、ノブくん、まりあちゃん!」
遠くで自分たちを呼ぶ声がした。
きょろきょろとあたりを見回すと、コートから一番前のかなりいいポジションで小百合がひらひらと手を振っていた。
近くには宗一郎と牧もいる。
「あ、小百合先輩!」
「宗ちゃん!」
「牧さん!」