12
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(いつか、ちゃんと区切りをつけさせてあげなくちゃ……)
思いつめたように、そう吐き出す伊織。
その雰囲気に、信長もまりあもそれ以上何も言えなくなった。
伊織はそんな空気を断ち切るように小さくぱちんと手を打つと、二人ににこりと微笑んだ。
「さ、この話はもうおしまい! そろそろグラウンドに移動しよ。ノブ、一試合めもうすぐでしょ?」
時刻も午後となって、球技大会もいよいよ残すところ決勝戦のみとなった。
伊織たちの所属する17組は、伊織・まりあのエントリーしている女子バレーが勝ち残っていた。
17組の女子バレーチームはその大半が経験者で、中でもセッターを担当している中原舞子はなんと関東大会出場経験を持つスーパープレイヤーだった。
それなのに高校ではバレーを続けなかったのは、将来の夢である獣医になるため、学業に専念することを決めたかららしい。
おかげで舞子は球技大会でバレーチームにエントリーすることが出来、17組の女子バレーチームは優勝候補と目されていた。
伊織たち17組の決勝戦は、今日の一番最後の試合である。対戦相手は34組だ。
ちなみに、34組には牧と小百合がいるが、小百合は卓球にエントリーしていて早くも緒戦で敗退してしまっている。
牧はサッカーにエントリーしていて、なんと次に行われる男子サッカーの決勝戦で、宗一郎の所属する25組と対戦するのである。
海南大附属はクラスの呼称が少々変わっている。
たとえば一年一組なら11組。二年一組なら21組。三年一組なら31組というように、学年とクラスをひと続きにして言うのだ。
そのため、伊織たち一年七組は17組となる。
信長はトーナメント表をがさがさ広げながら口を開いた。
信長はいつものヘアバンドのある位置に、学年カラーで買い揃えた鉢巻をぐるっと巻いていた。
あまりいつもとかわりばえのしない姿で、妙に安心感がある。
「次は神さんと牧さんの対決か! く~、これは見ものだぜっ!」
「わっ、それはすごいカードだね! 応援行こう応援!」
伊織はうきうきと両手を合わせた。
今まで自分の試合時間と重なって一回も宗一郎の応援に行けていなかった。
バスケ以外をする宗一郎の姿を、一目でいいから見てみたい。
(きっとかっこいいんだろうな)
伊織の脇から、まりあもひょこっと顔を出す。
こちらはカチューシャのようにして鉢巻をつけていて、それが似合って大変かわいらしかった。
今日もそのふんわりした綿菓子のような甘い容姿で、かなりの男子生徒の目を釘付けにしていた。
「宗ちゃん、サッカーもすっごくうまいんだよ! ていうか、宗ちゃんは何やらせても完璧! まりあの王子様!」
「たしかに、宗先輩って器用そうだもんね。なにやらせてもそつなくこなしちゃいそう」
「そうなの~! でもそんなだから宗ちゃん、こういうイベントごとでさらに人気に火がついちゃうのよね。ほんとうは今日、宗ちゃんの全試合全部チェックしてことごとく邪魔者を消し去ろうと思ってたのに、試合と重なっちゃってて全然出来なかったんだもの。この決勝戦にまりあはすべてを賭ける!」
こわいセリフを無邪気な表情でさらっと吐き出すまりあに、伊織と信長が顔を見合わせて苦笑した。
そんな二人にまりあがにこりと笑う。
「さ、宗ちゃんの試合始まっちゃう! 早く応援に行こっ!」
まりあは次の自分たちの試合のために体育館シューズを入れた袋を掴むと、うきうきとグラウンドへ駆け出していった。
その背中を眺めて伊織はふうと息を吐く。
結局まりあにまだ宗一郎を好きだと言えていない。
思いつめたように、そう吐き出す伊織。
その雰囲気に、信長もまりあもそれ以上何も言えなくなった。
伊織はそんな空気を断ち切るように小さくぱちんと手を打つと、二人ににこりと微笑んだ。
「さ、この話はもうおしまい! そろそろグラウンドに移動しよ。ノブ、一試合めもうすぐでしょ?」
時刻も午後となって、球技大会もいよいよ残すところ決勝戦のみとなった。
伊織たちの所属する17組は、伊織・まりあのエントリーしている女子バレーが勝ち残っていた。
17組の女子バレーチームはその大半が経験者で、中でもセッターを担当している中原舞子はなんと関東大会出場経験を持つスーパープレイヤーだった。
それなのに高校ではバレーを続けなかったのは、将来の夢である獣医になるため、学業に専念することを決めたかららしい。
おかげで舞子は球技大会でバレーチームにエントリーすることが出来、17組の女子バレーチームは優勝候補と目されていた。
伊織たち17組の決勝戦は、今日の一番最後の試合である。対戦相手は34組だ。
ちなみに、34組には牧と小百合がいるが、小百合は卓球にエントリーしていて早くも緒戦で敗退してしまっている。
牧はサッカーにエントリーしていて、なんと次に行われる男子サッカーの決勝戦で、宗一郎の所属する25組と対戦するのである。
海南大附属はクラスの呼称が少々変わっている。
たとえば一年一組なら11組。二年一組なら21組。三年一組なら31組というように、学年とクラスをひと続きにして言うのだ。
そのため、伊織たち一年七組は17組となる。
信長はトーナメント表をがさがさ広げながら口を開いた。
信長はいつものヘアバンドのある位置に、学年カラーで買い揃えた鉢巻をぐるっと巻いていた。
あまりいつもとかわりばえのしない姿で、妙に安心感がある。
「次は神さんと牧さんの対決か! く~、これは見ものだぜっ!」
「わっ、それはすごいカードだね! 応援行こう応援!」
伊織はうきうきと両手を合わせた。
今まで自分の試合時間と重なって一回も宗一郎の応援に行けていなかった。
バスケ以外をする宗一郎の姿を、一目でいいから見てみたい。
(きっとかっこいいんだろうな)
伊織の脇から、まりあもひょこっと顔を出す。
こちらはカチューシャのようにして鉢巻をつけていて、それが似合って大変かわいらしかった。
今日もそのふんわりした綿菓子のような甘い容姿で、かなりの男子生徒の目を釘付けにしていた。
「宗ちゃん、サッカーもすっごくうまいんだよ! ていうか、宗ちゃんは何やらせても完璧! まりあの王子様!」
「たしかに、宗先輩って器用そうだもんね。なにやらせてもそつなくこなしちゃいそう」
「そうなの~! でもそんなだから宗ちゃん、こういうイベントごとでさらに人気に火がついちゃうのよね。ほんとうは今日、宗ちゃんの全試合全部チェックしてことごとく邪魔者を消し去ろうと思ってたのに、試合と重なっちゃってて全然出来なかったんだもの。この決勝戦にまりあはすべてを賭ける!」
こわいセリフを無邪気な表情でさらっと吐き出すまりあに、伊織と信長が顔を見合わせて苦笑した。
そんな二人にまりあがにこりと笑う。
「さ、宗ちゃんの試合始まっちゃう! 早く応援に行こっ!」
まりあは次の自分たちの試合のために体育館シューズを入れた袋を掴むと、うきうきとグラウンドへ駆け出していった。
その背中を眺めて伊織はふうと息を吐く。
結局まりあにまだ宗一郎を好きだと言えていない。