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夢小説設定
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「おっはよー、ノブ!」
翌朝。
約束どおり海南大学駅前で信長を待っていた伊織は、その姿を見つけて、大きくぶんぶんと手を振った。
信長がそれに気付き、軽く手を挙げる。
「おお、伊織! オッス! 悪い、待たせたか?」
「ううん、全然。わたしも今来たとこだから」
「よし、じゃあ運転手交代な」
そういって信長は伊織の乗っていた自転車にまたがると、意気揚々と親指で後ろを指し示す。
「ほら、伊織も早く乗れよ。遅刻しちゃうだろ?」
「ラジャー! キャップ! くれぐれも安全運転でお願いします」
「かっかっか! この天才に任せとけ!」
「……不安だ」
伊織はうきうきと急かす信長に一抹の不安を抱きながら、後輪のハブステップに足を乗せ(良いこのみなさまは真似しないでね。大変危険です)、信長の肩をしっかり掴んだ。
「おっしゃあ! しっかり掴まってろよ伊織!」
「イエッサー!」
伊織の返事を聞いて、信長はペダルをぐんと漕ぎ出した。
「ねえ、ノブ」
通り過ぎる風に髪をなびかせながら、伊織は信長を呼んだ。風を受けていても聞こえるように、いつもより少し大きめの声を出す。
「おー?」
「昨日は勢いでマネージャーやるっていっちゃったけど、やっぱり強豪バスケ部だしやっていけるかなぁ」
「あー、まあ、お前ドジそうだもんな」
「なに!?」
信長の失礼な発言に、伊織は信長の肩を掴む手に力を入れた。
急に圧力のかかった肩に、信長は思わずバランスを崩す。
野性的な反射神経でなんとか運転に影響を出さずに済んだ信長だが、運転中にこんなことをされては危険なことこの上ない。
「うおっ! あぶねえな伊織! 運転してるんだからやめろよ!」
「ドジとは失礼じゃないのドジとは! こう見えても運動神経はいいんですからねっ」
「うわー、ウソくせえ~」
「…………」
伊織はその言葉に思わず握りこぶしを作った。
この野ザルの頭に、鉄拳でもお見舞いしてやろうか。
信長は動物的勘で伊織の不穏な気配を察知すると、慌てて弁解する。
「じじじじょうだんだって! マジになんなよ伊織!」
「ほぉう?」
「ほんとだって! それに、心配することねえよ。なんたってウチの部には小百合さんがいるからな! わからないことがあったら小百合さんに聞けば平気だろ」
小百合さんとは横藤小百合という名前で、海南大附属高校の三年生。男子バスケ部のチーフマネージャーをしている。
優しく清らかで美人。同年代からはもちろん、後輩からの人気も信頼も絶大な頼れる存在だ。
「小百合さんか……。素敵よねえ。でも忙しそうだし、あんまり基本的なことばっか聞いてたら迷惑じゃないかな」
「そんなわけないだろ。むしろ、わかんないのに聞いてこないほうが迷惑なんじゃないか? 先輩としては」
「……それもそうか」
「だろ?」
「サンキュー、ノブ! ガッツ湧いてきた」
「おう、がんばれよ!」
そう言うと、信長は海南大附属高校の校門に颯爽と自転車を滑らせた。
スピードを緩めながら駐輪場に向かい自転車を止めると、信長は得意げに口の端を持ち上げる。
翌朝。
約束どおり海南大学駅前で信長を待っていた伊織は、その姿を見つけて、大きくぶんぶんと手を振った。
信長がそれに気付き、軽く手を挙げる。
「おお、伊織! オッス! 悪い、待たせたか?」
「ううん、全然。わたしも今来たとこだから」
「よし、じゃあ運転手交代な」
そういって信長は伊織の乗っていた自転車にまたがると、意気揚々と親指で後ろを指し示す。
「ほら、伊織も早く乗れよ。遅刻しちゃうだろ?」
「ラジャー! キャップ! くれぐれも安全運転でお願いします」
「かっかっか! この天才に任せとけ!」
「……不安だ」
伊織はうきうきと急かす信長に一抹の不安を抱きながら、後輪のハブステップに足を乗せ(良いこのみなさまは真似しないでね。大変危険です)、信長の肩をしっかり掴んだ。
「おっしゃあ! しっかり掴まってろよ伊織!」
「イエッサー!」
伊織の返事を聞いて、信長はペダルをぐんと漕ぎ出した。
「ねえ、ノブ」
通り過ぎる風に髪をなびかせながら、伊織は信長を呼んだ。風を受けていても聞こえるように、いつもより少し大きめの声を出す。
「おー?」
「昨日は勢いでマネージャーやるっていっちゃったけど、やっぱり強豪バスケ部だしやっていけるかなぁ」
「あー、まあ、お前ドジそうだもんな」
「なに!?」
信長の失礼な発言に、伊織は信長の肩を掴む手に力を入れた。
急に圧力のかかった肩に、信長は思わずバランスを崩す。
野性的な反射神経でなんとか運転に影響を出さずに済んだ信長だが、運転中にこんなことをされては危険なことこの上ない。
「うおっ! あぶねえな伊織! 運転してるんだからやめろよ!」
「ドジとは失礼じゃないのドジとは! こう見えても運動神経はいいんですからねっ」
「うわー、ウソくせえ~」
「…………」
伊織はその言葉に思わず握りこぶしを作った。
この野ザルの頭に、鉄拳でもお見舞いしてやろうか。
信長は動物的勘で伊織の不穏な気配を察知すると、慌てて弁解する。
「じじじじょうだんだって! マジになんなよ伊織!」
「ほぉう?」
「ほんとだって! それに、心配することねえよ。なんたってウチの部には小百合さんがいるからな! わからないことがあったら小百合さんに聞けば平気だろ」
小百合さんとは横藤小百合という名前で、海南大附属高校の三年生。男子バスケ部のチーフマネージャーをしている。
優しく清らかで美人。同年代からはもちろん、後輩からの人気も信頼も絶大な頼れる存在だ。
「小百合さんか……。素敵よねえ。でも忙しそうだし、あんまり基本的なことばっか聞いてたら迷惑じゃないかな」
「そんなわけないだろ。むしろ、わかんないのに聞いてこないほうが迷惑なんじゃないか? 先輩としては」
「……それもそうか」
「だろ?」
「サンキュー、ノブ! ガッツ湧いてきた」
「おう、がんばれよ!」
そう言うと、信長は海南大附属高校の校門に颯爽と自転車を滑らせた。
スピードを緩めながら駐輪場に向かい自転車を止めると、信長は得意げに口の端を持ち上げる。