君に触れない理由
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結花はその純粋な眼差しに、ウッと息を詰まらせる。
信長のように邪気が含まれていない分、その驚きにはよっぽど破壊力があった。
「ほ、ほんとうです……」
おどおどと答える結花に、神が意外だと言うように目を瞠る。
「へえ……。なんというか……意外というか……牧さんらしいというか……。なるほどね」
普段滅多に感情の起伏を見せない宗一郎にまでも明らかな反応を示されて、結花の胸に大きな不安が芽生えた。
やはり、半年も付き合っていてまだキスもしていないなんて異常なんだろうか。
(もしかしてもしかしなくても……牧先輩、わたしになんにも魅力を感じてないのかなあ)
それともやっぱり、こんなおこちゃまの自分には愛想が尽きてしまったのだろうか。
(う……。どれも可能性としては充分すぎる……!)
結花の視界が思わず滲む。
「結花ちゃん? どうしたの?」
急にうつむいて静かになった結花を心配して、宗一郎が言った。
結花はその声に反応するように、涙に揺らめく瞳で、じっと宗一郎を見上げる。
「神先輩」
「うん?」
「わたし、魅力ないですか? こう、じっと見ててキスしたいとか全っ然思わないですか?」
「――え!?」
宗一郎が焦ったように上ずった声を上げる。
その反応に、ますます結花の涙腺が刺激された。
きっと図星を指されたに違いない。
「……やっぱりそうなんですね」
思わず頬を涙が伝う。
「やっぱりわたしみたいなお子サマじゃあ、牧先輩の彼女なんてつとまらないのかなあ。ノブの言うとおり、もっと大人で魅力的な人のほうが……っ」
そこまで言って、言葉が喉に詰まった。
結花の脳裏に、自然にイメージが浮かぶ。
大学生の牧と、その隣りに並ぶ大人びて綺麗な女性。
その女性は、決して自分ではありえない。
「牧せんぱぁい……」
嗚咽を我慢できなくて衝動のままに泣いていると、ふいに頭に優しいぬくもりが触れた。
「だいじょうぶ? 結花ちゃん」
宗一郎の穏やかな声音とともに、そのぬくもりがゆっくりと結花の頬に移動する。
「神先輩?」
宗一郎の手は結花の顔をそっと上向けると、頬を流れる涙を親指の腹で優しくぬぐった。
目の前で、宗一郎の綺麗な顔が穏やかに微笑む。
「他の人はどうかわからないけど、俺は結花ちゃんのことかわいいと思うよ」
「え?」
結花の心臓がどきんと大きくはねた。
だんだんと結花の顔に熱が集まっていく。宗一郎も触れている頬を通して結花の熱を感じたのか、優しく瞳を細めた。
傍らで信長が、呆気にとられたようにして二人を見つめている。
「結花ちゃんのこと見てて愛しいと思うし、キスだって……したいと思うよ」
「じ、神先輩……」
宗一郎の瞳が真剣に引き絞られていく。
信長のように邪気が含まれていない分、その驚きにはよっぽど破壊力があった。
「ほ、ほんとうです……」
おどおどと答える結花に、神が意外だと言うように目を瞠る。
「へえ……。なんというか……意外というか……牧さんらしいというか……。なるほどね」
普段滅多に感情の起伏を見せない宗一郎にまでも明らかな反応を示されて、結花の胸に大きな不安が芽生えた。
やはり、半年も付き合っていてまだキスもしていないなんて異常なんだろうか。
(もしかしてもしかしなくても……牧先輩、わたしになんにも魅力を感じてないのかなあ)
それともやっぱり、こんなおこちゃまの自分には愛想が尽きてしまったのだろうか。
(う……。どれも可能性としては充分すぎる……!)
結花の視界が思わず滲む。
「結花ちゃん? どうしたの?」
急にうつむいて静かになった結花を心配して、宗一郎が言った。
結花はその声に反応するように、涙に揺らめく瞳で、じっと宗一郎を見上げる。
「神先輩」
「うん?」
「わたし、魅力ないですか? こう、じっと見ててキスしたいとか全っ然思わないですか?」
「――え!?」
宗一郎が焦ったように上ずった声を上げる。
その反応に、ますます結花の涙腺が刺激された。
きっと図星を指されたに違いない。
「……やっぱりそうなんですね」
思わず頬を涙が伝う。
「やっぱりわたしみたいなお子サマじゃあ、牧先輩の彼女なんてつとまらないのかなあ。ノブの言うとおり、もっと大人で魅力的な人のほうが……っ」
そこまで言って、言葉が喉に詰まった。
結花の脳裏に、自然にイメージが浮かぶ。
大学生の牧と、その隣りに並ぶ大人びて綺麗な女性。
その女性は、決して自分ではありえない。
「牧せんぱぁい……」
嗚咽を我慢できなくて衝動のままに泣いていると、ふいに頭に優しいぬくもりが触れた。
「だいじょうぶ? 結花ちゃん」
宗一郎の穏やかな声音とともに、そのぬくもりがゆっくりと結花の頬に移動する。
「神先輩?」
宗一郎の手は結花の顔をそっと上向けると、頬を流れる涙を親指の腹で優しくぬぐった。
目の前で、宗一郎の綺麗な顔が穏やかに微笑む。
「他の人はどうかわからないけど、俺は結花ちゃんのことかわいいと思うよ」
「え?」
結花の心臓がどきんと大きくはねた。
だんだんと結花の顔に熱が集まっていく。宗一郎も触れている頬を通して結花の熱を感じたのか、優しく瞳を細めた。
傍らで信長が、呆気にとられたようにして二人を見つめている。
「結花ちゃんのこと見てて愛しいと思うし、キスだって……したいと思うよ」
「じ、神先輩……」
宗一郎の瞳が真剣に引き絞られていく。