君に触れない理由
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「どーだか! だいたい、今日まで牧さんと付き合ってこれてること自体奇跡なんだよなー! 牧さんもこんなちんちくりんの何がいいんだか」
「だから! ちんちくりんじゃないってば!」
「ちんちんくりんだろ! お前、胸どーみたってまな板じゃん」
「! ひっどーい!!」
(一番気にしていることを!)
なんの遠慮もなくストレートにコンプレックスを指摘されて、結花は反射的に胸を押さえた。
呻くように反論する。
「ま、まだ成長途中だもん!」
「へっ。どうだか。お前だってほんとは気づいてんだろ。まわりの女子と比べて自分がどうなのか」
「な、なによノブのエッチ、バカ、ヘンタイ! わたしはノブと違ってみんなのそんなとこばっかり見てないもん!」
「へーんだ。男なんだし、むしろこれくらいが健全なんですー!」
信長がベーッと憎らしく舌を突き出して言った。けっとおもしろくなさそうに息を吐き出して、身長差をいかして上から見下ろしてくる。
「大学にはお前と違ってスタイルのいいイ~イ女がいっぱいなんだろうなー。お前なんてすぐお払い箱だよ」
「な、なんでそんなひどいことばっかり言うの!? そんなことないもん! 牧先輩、大学に行っても会いに来てくれるって言ってたんだから!」
「へ~え」
意地とばかりに反論すると、信長が不機嫌そうに瞳を細めた。
ぐいと顔を近付けて、間近で結花の瞳を覗きこんでくる。
「じゃあ聞くけど。お前牧さんとどこまでいったんだよ」
「! そ、そんなのノブには関係ないでしょ!?」
思わず結花の顔がカッと赤くなった。
牧との進展度。
それはいま結花がもっとも気にしていて、もっとも触れて欲しくない話題だった。
牧との関係。それはまだ――。
「もしかして、キスもまだ……とか?」
「!」
ふいに図星を指されて、結花は大げさなまでにうろたえた。
その結花の反応に信長が一瞬ぽかんと口を開けた後、はじかれたように笑い出す。
「かーっかっかっかっか! マジかよ! まさかそんなことだけはあるまいと思ってたのに、キ、キスもまだなんて……! ひ、ひぃー、腹痛い!!」
お腹を抱えて笑い転げる信長を、結花は悔しげに唇を噛んでにらみつけた。
次第に信長の姿がじんわりとぼやけていく。
牧と付き合ってもう半年になる。
なのに、牧はいまだに抱きしめる以上のことをしてはこなかった。
まわりの彼氏もちの友達はみんなキスを経験していて、だから結花も自分に魅力がないんじゃないかとか、もう愛想が尽きてしまってるんじゃないかとか、色んな事を考えてしまってとても不安だったのに、またも信長にそこを容赦なく抉られた。
悔しくて、でもなにも反論する言葉を持たない結花に、信長が目尻に浮かんだ涙を人差し指でぬぐいながら追い討ちをかけてくる。
「は、半年も付き合って、キ、キスもまだ……っ! ひ、ひぃ……っ、お、お前そんなの、お前に魅力ねー証拠じゃねーか! ――っは、これは、別れる日も近いな!」
かっかっかと大きく体を震わせて信長が笑う。
そんな彼を結花が睨みつけていると、そこに宗一郎がやってきた。
「随分楽しそうだね。なんの話してるの?」
整った穏和な顔立ちに優しい笑みを浮かべて言う宗一郎に、信長が身を乗り出すようにして事の次第を説明する。
「それがですね神さん、聞いてくださいよ! 結花と牧さん、もう付き合って半年になるっていうのに、まだキスのひとつもしてないらしいんスよ~!」
「――え!? それ、ほんと?」
宗一郎が大きな目をさらにくりくりと大きくさせて結花を見た。
「だから! ちんちくりんじゃないってば!」
「ちんちんくりんだろ! お前、胸どーみたってまな板じゃん」
「! ひっどーい!!」
(一番気にしていることを!)
なんの遠慮もなくストレートにコンプレックスを指摘されて、結花は反射的に胸を押さえた。
呻くように反論する。
「ま、まだ成長途中だもん!」
「へっ。どうだか。お前だってほんとは気づいてんだろ。まわりの女子と比べて自分がどうなのか」
「な、なによノブのエッチ、バカ、ヘンタイ! わたしはノブと違ってみんなのそんなとこばっかり見てないもん!」
「へーんだ。男なんだし、むしろこれくらいが健全なんですー!」
信長がベーッと憎らしく舌を突き出して言った。けっとおもしろくなさそうに息を吐き出して、身長差をいかして上から見下ろしてくる。
「大学にはお前と違ってスタイルのいいイ~イ女がいっぱいなんだろうなー。お前なんてすぐお払い箱だよ」
「な、なんでそんなひどいことばっかり言うの!? そんなことないもん! 牧先輩、大学に行っても会いに来てくれるって言ってたんだから!」
「へ~え」
意地とばかりに反論すると、信長が不機嫌そうに瞳を細めた。
ぐいと顔を近付けて、間近で結花の瞳を覗きこんでくる。
「じゃあ聞くけど。お前牧さんとどこまでいったんだよ」
「! そ、そんなのノブには関係ないでしょ!?」
思わず結花の顔がカッと赤くなった。
牧との進展度。
それはいま結花がもっとも気にしていて、もっとも触れて欲しくない話題だった。
牧との関係。それはまだ――。
「もしかして、キスもまだ……とか?」
「!」
ふいに図星を指されて、結花は大げさなまでにうろたえた。
その結花の反応に信長が一瞬ぽかんと口を開けた後、はじかれたように笑い出す。
「かーっかっかっかっか! マジかよ! まさかそんなことだけはあるまいと思ってたのに、キ、キスもまだなんて……! ひ、ひぃー、腹痛い!!」
お腹を抱えて笑い転げる信長を、結花は悔しげに唇を噛んでにらみつけた。
次第に信長の姿がじんわりとぼやけていく。
牧と付き合ってもう半年になる。
なのに、牧はいまだに抱きしめる以上のことをしてはこなかった。
まわりの彼氏もちの友達はみんなキスを経験していて、だから結花も自分に魅力がないんじゃないかとか、もう愛想が尽きてしまってるんじゃないかとか、色んな事を考えてしまってとても不安だったのに、またも信長にそこを容赦なく抉られた。
悔しくて、でもなにも反論する言葉を持たない結花に、信長が目尻に浮かんだ涙を人差し指でぬぐいながら追い討ちをかけてくる。
「は、半年も付き合って、キ、キスもまだ……っ! ひ、ひぃ……っ、お、お前そんなの、お前に魅力ねー証拠じゃねーか! ――っは、これは、別れる日も近いな!」
かっかっかと大きく体を震わせて信長が笑う。
そんな彼を結花が睨みつけていると、そこに宗一郎がやってきた。
「随分楽しそうだね。なんの話してるの?」
整った穏和な顔立ちに優しい笑みを浮かべて言う宗一郎に、信長が身を乗り出すようにして事の次第を説明する。
「それがですね神さん、聞いてくださいよ! 結花と牧さん、もう付き合って半年になるっていうのに、まだキスのひとつもしてないらしいんスよ~!」
「――え!? それ、ほんと?」
宗一郎が大きな目をさらにくりくりと大きくさせて結花を見た。