10
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その日の帰り、久々に流川と伊理穂はふたりきりで帰っていた。
隣りでくるくると表情を変えながらいろんな話をする伊理穂を、流川は瞳を細めて見つめる。
伊理穂の栗色の髪に、街灯の光が反射してきらきらと輝いている。
その様があまりにも綺麗で、流川の胸がきゅうっと締め付けられた。
「月瀬」
「ん?」
名前を呼ぶと、ふわりと微笑んでくる伊理穂。
その笑顔が見たくて、用もないのに声をかけただなんて、口が裂けても言えない。
「いや、なんでもねー」
「? 変な流川くん」
伊理穂はかわいらしい声でくすくすと笑うと、あ、そういえばね、と思いついたように顔をあげた。
「今日ね、三井先輩がね……」
「…………」
伊理穂の口から出てきたその名前に、流川は途端に顔をしかめた。
それに気付いた伊理穂が、ふいに言葉を途切れさせる。
「流川くん……?」
「なんで」
「え?」
「なんで、三井……センパイに名前で呼ばれて、へらへらしてやがる」
「え?」
自分でも驚くくらい冷たい声がでた。
こんなの八つ当たりだ。
しまったと思ってももう遅い。流川の内側で広がりに広がったどす黒い感情は、いったん外に出てしまうと戻り方を忘れてしまったみたいにもう止めることができなかった。
伊理穂が一気に表情を曇らせる。
「べ、別にへらへらしてるわけじゃ……」
「おめーのその顔見てると、腹が立つ。呑気に笑ってんじゃねー」
「…………ごめん、なさい」
伊理穂が泣きそうに声を震わせて俯いた。
もう笑わないように気をつけるね、なんてか細い声が聞こえてきて、流川の胸が千切れそうなくらい痛くなる。
違う。こんなことを言いたかったわけじゃない。
こんな風に伊理穂を傷つけたかったわけじゃない。
だけど、普段から口下手な流川は、どんなに頭をフル回転させても、うまくフォローの言葉が出てこなかった。
「…………」
流川はふうと思い切り息を吐いた。
隣りでくるくると表情を変えながらいろんな話をする伊理穂を、流川は瞳を細めて見つめる。
伊理穂の栗色の髪に、街灯の光が反射してきらきらと輝いている。
その様があまりにも綺麗で、流川の胸がきゅうっと締め付けられた。
「月瀬」
「ん?」
名前を呼ぶと、ふわりと微笑んでくる伊理穂。
その笑顔が見たくて、用もないのに声をかけただなんて、口が裂けても言えない。
「いや、なんでもねー」
「? 変な流川くん」
伊理穂はかわいらしい声でくすくすと笑うと、あ、そういえばね、と思いついたように顔をあげた。
「今日ね、三井先輩がね……」
「…………」
伊理穂の口から出てきたその名前に、流川は途端に顔をしかめた。
それに気付いた伊理穂が、ふいに言葉を途切れさせる。
「流川くん……?」
「なんで」
「え?」
「なんで、三井……センパイに名前で呼ばれて、へらへらしてやがる」
「え?」
自分でも驚くくらい冷たい声がでた。
こんなの八つ当たりだ。
しまったと思ってももう遅い。流川の内側で広がりに広がったどす黒い感情は、いったん外に出てしまうと戻り方を忘れてしまったみたいにもう止めることができなかった。
伊理穂が一気に表情を曇らせる。
「べ、別にへらへらしてるわけじゃ……」
「おめーのその顔見てると、腹が立つ。呑気に笑ってんじゃねー」
「…………ごめん、なさい」
伊理穂が泣きそうに声を震わせて俯いた。
もう笑わないように気をつけるね、なんてか細い声が聞こえてきて、流川の胸が千切れそうなくらい痛くなる。
違う。こんなことを言いたかったわけじゃない。
こんな風に伊理穂を傷つけたかったわけじゃない。
だけど、普段から口下手な流川は、どんなに頭をフル回転させても、うまくフォローの言葉が出てこなかった。
「…………」
流川はふうと思い切り息を吐いた。