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「あはは! なんでお詫び? 洋平は助けてくれたのに、殴られてお説教されて災難だねえ」
「……のワリにはなんで笑ってんの、伊理穂チャン」
呆れたように言う洋平に、伊理穂はにっこり笑顔を浮かべる。
「えへへ、ごちそう楽しみだから!」
「……おふくろに言っとく。お前からもメールしとけ、喜ぶから」
「うん。洋平、バイトがんばってね!」
「さんきゅ」
それだけ言うと、今度こそ洋平は体育館から姿を消した。
弥生の手料理を食べるのは久しぶりだ。
ごちそう、ごちそうと胸を躍らせながらビブス畳みを再開すると、なにか考えるように三井が口を開いた。
「水戸のやつ、お前の湿布貼り換えるためだけにわざわざ学校来るなんて、よっぽど大切にしてんだな、お前のこと」
「洋平の面倒見の良さがぴかいちなんですよ」
「それだけかねえ」
三井が小さく呟くように言った言葉に、流川が無言で顔をあげる。
「…………」
「な。お前と水戸んちって、家族単位で仲良いのか?」
「はい! 家が隣りで、両親同士が学生の頃からの友人なんです」
「へえ。なるほどねえ……。それじゃあ、もう水戸は家族も同然ってわけか」
「あ、そうですね。そんな感じです」
「なるほどな。だからか」
言って、三井が含みのある視線でじっと伊理穂を見つめてきた。
「? なんですか?」
「いや、なんでもねえよ」
三井はそれだけ言うと、自身もビブスに手を伸ばして畳み始めた。
その横で、流川も畳むのを手伝ってくれている。
その二人の、何かを考え込んでいるような真剣な横顔に、伊理穂はひとり小さく首を傾げた。
それから一週間が経った。
三井がバスケ部に入部してからと言うもの、伊理穂と三井は急速に仲良くなった。
というよりは、三井が伊理穂を気に入ってやたらとちょっかいを出しているといったほうが正しいか。
流川は、伊理穂と三井が楽しそうに話しながらドリンクの準備をしているのを見つめた。
最近では、三井が流川と伊理穂に交じってときどき一緒に帰るようにまでなっている。
ただでさえ、洋平が謹慎からあけて帰れる日が減ってしまったのに、そこに三井がついて来るなんてもう最悪だった。
三井が伊理穂と離れたのを確認すると、流川は三井の下へ行った。
険のある声音で呼び止める。
「おい」
「あ? 流川か。なんだよ、そんなおっかねえ顔して」
「おめー、ちょっと月瀬に馴れ馴れしすぎるんじゃねーか?」
「――ふうん。ヤキモチか、流川?」
「…………」
にやにやとおもしろそうに笑う三井を、流川は眼光鋭く見つめる。
「へーえ。お前が伊理穂をねえ……」
三井は興味深そうに瞳を細めると、流川をしげしげと眺めた。
そんな三井の視線に、流川は不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「気安く月瀬を名前で呼ぶんじゃねー」
「はっ。オレは伊理穂に許可もらってるからいーんだよ。悔しかったらおめーも呼んでみな」
「……チッ」
そう言われれば、もうなにも言い返す言葉がない。
流川は軽く舌打ちをしてその場を去ろうとすると、背後から三井の声が追いかけてくる。
「オイ、流川」
「……なんすか」
「お前、敵対視するやつ間違ってんじゃねえのか?」
「?」
向き直ると、三井が真剣な表情で言う。
「オレたちの共通の敵は、水戸だろ?」
「……フン。月瀬にちょっかいだすやつは、みんなオレの敵だ」
「おー、こわ」
流川はそれだけ言うと、肩をすくめる三井をそのままにそこを去った。
「……のワリにはなんで笑ってんの、伊理穂チャン」
呆れたように言う洋平に、伊理穂はにっこり笑顔を浮かべる。
「えへへ、ごちそう楽しみだから!」
「……おふくろに言っとく。お前からもメールしとけ、喜ぶから」
「うん。洋平、バイトがんばってね!」
「さんきゅ」
それだけ言うと、今度こそ洋平は体育館から姿を消した。
弥生の手料理を食べるのは久しぶりだ。
ごちそう、ごちそうと胸を躍らせながらビブス畳みを再開すると、なにか考えるように三井が口を開いた。
「水戸のやつ、お前の湿布貼り換えるためだけにわざわざ学校来るなんて、よっぽど大切にしてんだな、お前のこと」
「洋平の面倒見の良さがぴかいちなんですよ」
「それだけかねえ」
三井が小さく呟くように言った言葉に、流川が無言で顔をあげる。
「…………」
「な。お前と水戸んちって、家族単位で仲良いのか?」
「はい! 家が隣りで、両親同士が学生の頃からの友人なんです」
「へえ。なるほどねえ……。それじゃあ、もう水戸は家族も同然ってわけか」
「あ、そうですね。そんな感じです」
「なるほどな。だからか」
言って、三井が含みのある視線でじっと伊理穂を見つめてきた。
「? なんですか?」
「いや、なんでもねえよ」
三井はそれだけ言うと、自身もビブスに手を伸ばして畳み始めた。
その横で、流川も畳むのを手伝ってくれている。
その二人の、何かを考え込んでいるような真剣な横顔に、伊理穂はひとり小さく首を傾げた。
それから一週間が経った。
三井がバスケ部に入部してからと言うもの、伊理穂と三井は急速に仲良くなった。
というよりは、三井が伊理穂を気に入ってやたらとちょっかいを出しているといったほうが正しいか。
流川は、伊理穂と三井が楽しそうに話しながらドリンクの準備をしているのを見つめた。
最近では、三井が流川と伊理穂に交じってときどき一緒に帰るようにまでなっている。
ただでさえ、洋平が謹慎からあけて帰れる日が減ってしまったのに、そこに三井がついて来るなんてもう最悪だった。
三井が伊理穂と離れたのを確認すると、流川は三井の下へ行った。
険のある声音で呼び止める。
「おい」
「あ? 流川か。なんだよ、そんなおっかねえ顔して」
「おめー、ちょっと月瀬に馴れ馴れしすぎるんじゃねーか?」
「――ふうん。ヤキモチか、流川?」
「…………」
にやにやとおもしろそうに笑う三井を、流川は眼光鋭く見つめる。
「へーえ。お前が伊理穂をねえ……」
三井は興味深そうに瞳を細めると、流川をしげしげと眺めた。
そんな三井の視線に、流川は不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「気安く月瀬を名前で呼ぶんじゃねー」
「はっ。オレは伊理穂に許可もらってるからいーんだよ。悔しかったらおめーも呼んでみな」
「……チッ」
そう言われれば、もうなにも言い返す言葉がない。
流川は軽く舌打ちをしてその場を去ろうとすると、背後から三井の声が追いかけてくる。
「オイ、流川」
「……なんすか」
「お前、敵対視するやつ間違ってんじゃねえのか?」
「?」
向き直ると、三井が真剣な表情で言う。
「オレたちの共通の敵は、水戸だろ?」
「……フン。月瀬にちょっかいだすやつは、みんなオレの敵だ」
「おー、こわ」
流川はそれだけ言うと、肩をすくめる三井をそのままにそこを去った。