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夢小説設定
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「ごめん……ね?」
「いや。伊理穂のせいじゃねぇだろ」
洋平が困ったように眉尻を下げる。
さすがに母親には手ぇあげらんねえもんなあと笑いながら、殴られた痕を指して、結構パンチ効いたぜ、あれはやっぱりマジもんだわ、と言ってきた。
伊理穂もそれに笑っていると。
「おい、水戸。お前なにしに来たんだよ? オレが言うのもなんだけど、お前いま謹慎中だろ? こんなとこ来て大丈夫なのか?」
昨日は悪かったな、なんて言いながら、三井が言った。
洋平はそれに思い出したように伊理穂を見る。
「ああ、そうだそうだ。伊理穂、湿布貼りかえてやるから頬出せ」
「わ、ありがとー、洋平! でも、それならわざわざ学校来なくても家帰ってからでもよかったのに」
「オレ今日バイトだからな。それにもうこの湿布効かなくなってるだろ?」
「んー……。わかんない」
「はは。伊理穂チャンは相変わらず呑気だな」
言いながら洋平は伊理穂の頬に手をかけた。
「お前、そのためだけにわざわざ来たのか?」
「そうっすよ。おふくろにも、伊理穂の頬に痕が残ったら殺すって言われたんで」
洋平は三井の質問に苦笑しながら答える。
「はー。お前のこと殴ったり、すげえ母親だな」
「逆らわないほうが身のためっすね」
洋平が三井と話しながらも、伊理穂が痛くないように慎重に湿布を剥がしてくれているのが伝わってきて、伊理穂の胸があたたかくなる。
「ありがとう、洋平」
「痕残ったら大変だからな」
「弥生さんにも殺されるし?」
「それが一番怖い」
「もー! わたしの心配が先でしょお!?」
「はは、冗談だよ。ほら、貼るからじっとしてろ」
「はーい」
伊理穂が唇を尖らせてしぶしぶ返事をすると、洋平が苦笑しながら頭を撫でてくれた。
洋平は湿布を袋から取り出すと、伊理穂の傷に触れないように、そっとそこに貼り付けた。
瞬間ひやっとする感触に、伊理穂は思わず目を瞑る。
「痛いかもしれないけど、少しの間ガマンしろよ」
洋平の優しい声音に、伊理穂は素直に頷いた。
洋平の手が、湿布を伸ばすように伊理穂の頬を優しく滑る。
ずきんと目の奥に響くような痛みがはしった。伊理穂はそれをぐっと耐えていると、
「ほい、完成」
そんな言葉とともに、伊理穂の頭にぽんと洋平の手が触れた。
「よくガマンできました」
「ふっふーん、当然です」
「変な感じしないか?」
「うん、大丈夫。ありがとう」
伊理穂が答えると、洋平が満足そうに微笑んだ。
よっと気合を入れて立ち上がる。
「じゃあオレ、バイト行くわ。流川、帰りは頼むな」
「…………」
流川は無言で頷いた。
洋平はそれを確認して出口へ足を向ける。と、何かを思い出したように再び振り返った。
「あー、そうだ。伊理穂。お前、今日夜うち来れるか?」
「うん、行けるよ! どうしたの?」
「おふくろが、お詫びにお前にごちそう作るって」
「いや。伊理穂のせいじゃねぇだろ」
洋平が困ったように眉尻を下げる。
さすがに母親には手ぇあげらんねえもんなあと笑いながら、殴られた痕を指して、結構パンチ効いたぜ、あれはやっぱりマジもんだわ、と言ってきた。
伊理穂もそれに笑っていると。
「おい、水戸。お前なにしに来たんだよ? オレが言うのもなんだけど、お前いま謹慎中だろ? こんなとこ来て大丈夫なのか?」
昨日は悪かったな、なんて言いながら、三井が言った。
洋平はそれに思い出したように伊理穂を見る。
「ああ、そうだそうだ。伊理穂、湿布貼りかえてやるから頬出せ」
「わ、ありがとー、洋平! でも、それならわざわざ学校来なくても家帰ってからでもよかったのに」
「オレ今日バイトだからな。それにもうこの湿布効かなくなってるだろ?」
「んー……。わかんない」
「はは。伊理穂チャンは相変わらず呑気だな」
言いながら洋平は伊理穂の頬に手をかけた。
「お前、そのためだけにわざわざ来たのか?」
「そうっすよ。おふくろにも、伊理穂の頬に痕が残ったら殺すって言われたんで」
洋平は三井の質問に苦笑しながら答える。
「はー。お前のこと殴ったり、すげえ母親だな」
「逆らわないほうが身のためっすね」
洋平が三井と話しながらも、伊理穂が痛くないように慎重に湿布を剥がしてくれているのが伝わってきて、伊理穂の胸があたたかくなる。
「ありがとう、洋平」
「痕残ったら大変だからな」
「弥生さんにも殺されるし?」
「それが一番怖い」
「もー! わたしの心配が先でしょお!?」
「はは、冗談だよ。ほら、貼るからじっとしてろ」
「はーい」
伊理穂が唇を尖らせてしぶしぶ返事をすると、洋平が苦笑しながら頭を撫でてくれた。
洋平は湿布を袋から取り出すと、伊理穂の傷に触れないように、そっとそこに貼り付けた。
瞬間ひやっとする感触に、伊理穂は思わず目を瞑る。
「痛いかもしれないけど、少しの間ガマンしろよ」
洋平の優しい声音に、伊理穂は素直に頷いた。
洋平の手が、湿布を伸ばすように伊理穂の頬を優しく滑る。
ずきんと目の奥に響くような痛みがはしった。伊理穂はそれをぐっと耐えていると、
「ほい、完成」
そんな言葉とともに、伊理穂の頭にぽんと洋平の手が触れた。
「よくガマンできました」
「ふっふーん、当然です」
「変な感じしないか?」
「うん、大丈夫。ありがとう」
伊理穂が答えると、洋平が満足そうに微笑んだ。
よっと気合を入れて立ち上がる。
「じゃあオレ、バイト行くわ。流川、帰りは頼むな」
「…………」
流川は無言で頷いた。
洋平はそれを確認して出口へ足を向ける。と、何かを思い出したように再び振り返った。
「あー、そうだ。伊理穂。お前、今日夜うち来れるか?」
「うん、行けるよ! どうしたの?」
「おふくろが、お詫びにお前にごちそう作るって」