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「わっ」
突然新たな声が割り込んで、伊理穂は驚いて肩を飛び上がらせた。
三井もぎょっとしたように、新たな介入者・流川を凝視している。
「お、お……、なんだ流川。自主練終わったのか?」
「あんたが月瀬と一緒にいるから、心配になって見に来た」
「あ? なんだそれ。もう殴ったりしねぇから安心しろよ」
「……どうだか」
わざとらしく肩を竦める流川に、三井が片眉を跳ね上げる。
「ああ、流川! てめえなんだその態度は! 先輩に向かって!」
「センパイ……ねえ」
流川が今度はわざとらしくため息をつく。
その態度に三井が短気を起こして、
「てめえ、やんのかコラ!」
と、流川とにらみ合ったときだった。
「ちわー」
体育館の入り口の方から、謹慎中のはずの洋平の声がした。
「洋平っ!」
伊理穂は驚いて勢いよくそちらに視線を向ける。と、それに気付いた洋平が片手を上げた。
謹慎中は学校に来ることはおろか、外出自体を控えなくてはいけないのに、いったいどうしたんだろう。
(わたし、なにか忘れ物したっけな?)
洋平の手に握られていたビニールの袋を見つめながら伊理穂はうーんと首を捻る。
洋平はそばにいた彩子に断って体育館に入ると、伊理穂の方までのんびりと歩いてきた。
「よ、伊理穂チャン。今朝ぶり。今日一日真面目に学校生活送ってたか?」
「あったりまえだよ、洋平じゃないんだから。そんなことより洋平どうしたの……って、ああ!?」
言葉の途中で、伊理穂は洋平の顔にまた新しい殴られた痕を発見して声をあげた。
伊理穂は手を伸ばしてその傷にそっと触れると、泣きそうに表情を歪ませる。
「洋平、このケガどうしたの? まさかまたケンカ……?」
「あ? いや、これは、あれだ」
「なに? まさかここに来る途中に絡まれた?」
「あー、いや。違う。これはつまり……」
「つまり?」
言いにくそうに言葉を濁す洋平に伊理穂が心配そうに先を促すと、洋平が観念したようにぽつりと呟いた。
「……おふくろにやられたんだよ」
「……え。弥生さん……に? あー……」
洋平の母・弥生は、伊理穂の父が旗上げした暴走族の族仲間のひとりだった。
伊理穂は今朝、洋平に送られて学校へ向かっている際、夜勤明けの弥生とすれ違って、頬の傷を見られたことを思い出した。
きっとそのことで洋平がこっぴどく叱られでもしたのだろう。
もうなにも言葉が出てこない。
とにかく、弥生のパンチは痛かったろうなぁと、伊理穂は強く思う。
「それは、痛かった……ね?」
「すげーな。お前の顔に傷を作るなんてなにやってやがるってぼっこぼこにされた」
洋平のその言葉によくよく洋平の体を見てみれば、顔だけじゃなくて体中に新しい傷が増えていた。
「あー……」
さすがの伊理穂も言葉に詰まる。
突然新たな声が割り込んで、伊理穂は驚いて肩を飛び上がらせた。
三井もぎょっとしたように、新たな介入者・流川を凝視している。
「お、お……、なんだ流川。自主練終わったのか?」
「あんたが月瀬と一緒にいるから、心配になって見に来た」
「あ? なんだそれ。もう殴ったりしねぇから安心しろよ」
「……どうだか」
わざとらしく肩を竦める流川に、三井が片眉を跳ね上げる。
「ああ、流川! てめえなんだその態度は! 先輩に向かって!」
「センパイ……ねえ」
流川が今度はわざとらしくため息をつく。
その態度に三井が短気を起こして、
「てめえ、やんのかコラ!」
と、流川とにらみ合ったときだった。
「ちわー」
体育館の入り口の方から、謹慎中のはずの洋平の声がした。
「洋平っ!」
伊理穂は驚いて勢いよくそちらに視線を向ける。と、それに気付いた洋平が片手を上げた。
謹慎中は学校に来ることはおろか、外出自体を控えなくてはいけないのに、いったいどうしたんだろう。
(わたし、なにか忘れ物したっけな?)
洋平の手に握られていたビニールの袋を見つめながら伊理穂はうーんと首を捻る。
洋平はそばにいた彩子に断って体育館に入ると、伊理穂の方までのんびりと歩いてきた。
「よ、伊理穂チャン。今朝ぶり。今日一日真面目に学校生活送ってたか?」
「あったりまえだよ、洋平じゃないんだから。そんなことより洋平どうしたの……って、ああ!?」
言葉の途中で、伊理穂は洋平の顔にまた新しい殴られた痕を発見して声をあげた。
伊理穂は手を伸ばしてその傷にそっと触れると、泣きそうに表情を歪ませる。
「洋平、このケガどうしたの? まさかまたケンカ……?」
「あ? いや、これは、あれだ」
「なに? まさかここに来る途中に絡まれた?」
「あー、いや。違う。これはつまり……」
「つまり?」
言いにくそうに言葉を濁す洋平に伊理穂が心配そうに先を促すと、洋平が観念したようにぽつりと呟いた。
「……おふくろにやられたんだよ」
「……え。弥生さん……に? あー……」
洋平の母・弥生は、伊理穂の父が旗上げした暴走族の族仲間のひとりだった。
伊理穂は今朝、洋平に送られて学校へ向かっている際、夜勤明けの弥生とすれ違って、頬の傷を見られたことを思い出した。
きっとそのことで洋平がこっぴどく叱られでもしたのだろう。
もうなにも言葉が出てこない。
とにかく、弥生のパンチは痛かったろうなぁと、伊理穂は強く思う。
「それは、痛かった……ね?」
「すげーな。お前の顔に傷を作るなんてなにやってやがるってぼっこぼこにされた」
洋平のその言葉によくよく洋平の体を見てみれば、顔だけじゃなくて体中に新しい傷が増えていた。
「あー……」
さすがの伊理穂も言葉に詰まる。