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夢小説設定
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「なあ、お前ほんとうに水戸とはただの幼馴染みなのか?」
部活もそろそろ終わりに近づいた頃、ビブスを畳むのを手伝ってくれていた三井がふいにそんなことを聞いてきた。
伊理穂はきょとんとした表情で、それに答える。
「幼馴染みですよ?」
「ふうん……。じゃあ、質問を変えるけど、お前は水戸のことが好きなのか?」
「はい、大好きです! 洋平は自慢の幼馴染みなんです!」
伊理穂の答えに、三井ががくっと脱力する。
「いや、違う。そういう意味じゃねえよ。人間的に好きか聞いてるんじゃなくて、恋愛として好きか聞いてるんだよ」
「またそういう系の質問ですか~」
伊理穂は不機嫌そうにぷくっと頬を膨らませた。
それに三井が大人びた笑みを浮かべる。
「はは。またってなんだよ。オレが聞くのは初めてだろ?」
「そうなんですけど、そのテの質問はもうずっとずーっと言われ続けてきてるんで、耳にタコなんですよ。タッコタコ!」
「はっ、なんだお前タッコタコって! バカか!」
三井が笑いながら伊理穂の頭をがしがしと撫でてくる。
「バカじゃないし。それを言うならすぐそういう色恋フィルターで見てくる世間はどうなんですか」
「んー、まあな。それもどうしようもねぇよな、確かに。でも、男のためにカラダ差し出すなんてよっぽどだろ? それこそ好きなヤツじゃなきゃんなことできねぇよ」
その言葉に伊理穂は一瞬沈黙した。
脳裏によみがえる荒れていた頃の洋平。優しかった洋平が、あんな風になってしまったのは自分のせいだ。だから……。
瞳を伏せて、伊理穂はその苦い思いを噛み締める。
「……だって、洋平は……。わたしがいけないから……」
「あ?」
心の中で呟いたつもりが、声に出していたらしい。
聞き取れず声をあげた三井に、伊理穂は慌てて首をふる。
「あ、なんでもないですなんでも!」
「?」
「とにかく! 洋平はただの幼馴染みですから! それ以上でもそれ以下でもないです、本当です!」
「ふうん?」
三井が含みのある視線で見てきたかと思うと、ぼそりと呟く。
「じゃあ、オレが頑張ってもいいんだよな」
「え?」
今度は伊理穂がその声を聞き取れなくて聞き返すと、三井はなんでもねえよと歯を見せて笑った。
「そういえばよ。……頬、大丈夫か?」
ふと三井が心配そうに目を細めて聞いてきた。
伊理穂はそれに安心させるようににこりと微笑む。
「大丈夫ですよ」
「ダイジョーブなわけねー」
部活もそろそろ終わりに近づいた頃、ビブスを畳むのを手伝ってくれていた三井がふいにそんなことを聞いてきた。
伊理穂はきょとんとした表情で、それに答える。
「幼馴染みですよ?」
「ふうん……。じゃあ、質問を変えるけど、お前は水戸のことが好きなのか?」
「はい、大好きです! 洋平は自慢の幼馴染みなんです!」
伊理穂の答えに、三井ががくっと脱力する。
「いや、違う。そういう意味じゃねえよ。人間的に好きか聞いてるんじゃなくて、恋愛として好きか聞いてるんだよ」
「またそういう系の質問ですか~」
伊理穂は不機嫌そうにぷくっと頬を膨らませた。
それに三井が大人びた笑みを浮かべる。
「はは。またってなんだよ。オレが聞くのは初めてだろ?」
「そうなんですけど、そのテの質問はもうずっとずーっと言われ続けてきてるんで、耳にタコなんですよ。タッコタコ!」
「はっ、なんだお前タッコタコって! バカか!」
三井が笑いながら伊理穂の頭をがしがしと撫でてくる。
「バカじゃないし。それを言うならすぐそういう色恋フィルターで見てくる世間はどうなんですか」
「んー、まあな。それもどうしようもねぇよな、確かに。でも、男のためにカラダ差し出すなんてよっぽどだろ? それこそ好きなヤツじゃなきゃんなことできねぇよ」
その言葉に伊理穂は一瞬沈黙した。
脳裏によみがえる荒れていた頃の洋平。優しかった洋平が、あんな風になってしまったのは自分のせいだ。だから……。
瞳を伏せて、伊理穂はその苦い思いを噛み締める。
「……だって、洋平は……。わたしがいけないから……」
「あ?」
心の中で呟いたつもりが、声に出していたらしい。
聞き取れず声をあげた三井に、伊理穂は慌てて首をふる。
「あ、なんでもないですなんでも!」
「?」
「とにかく! 洋平はただの幼馴染みですから! それ以上でもそれ以下でもないです、本当です!」
「ふうん?」
三井が含みのある視線で見てきたかと思うと、ぼそりと呟く。
「じゃあ、オレが頑張ってもいいんだよな」
「え?」
今度は伊理穂がその声を聞き取れなくて聞き返すと、三井はなんでもねえよと歯を見せて笑った。
「そういえばよ。……頬、大丈夫か?」
ふと三井が心配そうに目を細めて聞いてきた。
伊理穂はそれに安心させるようににこりと微笑む。
「大丈夫ですよ」
「ダイジョーブなわけねー」