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「ウッス」
「あ、流川くん!」
「よお、流川」
挨拶をすると、伊理穂が表情を明るくして流川を見た。洋平も口の端を持ち上げて挨拶を返してくる。
振り向いた伊理穂の顔に、流川はハッと目を見開いた。
伊理穂の右頬を覆いつくすように、大きな湿布が貼られていた。
(昨日、あいつに殴られたところか)
思いだして、流川の心にさざ波が立つ。
伊理穂の小さな顔には、その湿布がやけに大きく見えて、余計痛々しかった。
(――せっかく、綺麗な顔なのに)
あの時伊理穂の腕を盾に取られていたとはいえ、守ってやれなかった自分に流川は無性に腹を立てた。
伊理穂は自分の顔の傷を気にした様子もなく、流川に無邪気に笑顔を向けてくる。
「おはよう。頭の傷は大丈夫?」
そう言って心配そうに顔を曇らせる伊理穂に、流川は薄く微笑んだ。
「たいしたことねー。表面を軽く切っただけだ。もうなんでもねー」
「そっか、よかった! すごい出血だったもんね、流川くん。ほんとう心配したんだから」
流川は伊理穂に微笑んで、表情を引き締めて洋平を見る。
「よお。おめー、なにしてる」
「は?」
いきなりな流川の言葉に、洋平がぽかんと口を開けた。
流川は瞳に剣呑な色をのせて、もう一度口を開く。
「おめー、今日から三日間自宅謹慎だろ。こんなとこいるの見つかったら、一緒にいる月瀬がやべーんじゃねーか?」
「ああ。そういうことな」
合点の言った洋平が、小さく頷く。
「確かにそうなんだけど、昨日の連中の中には他校のやつらもいただろ? 万が一にもそいつらに伊理穂が狙われたらあぶねぇからな。ボディーガードだよ」
お前は朝一緒にはいけねぇだろ? と洋平は流川に気さくな笑みを向ける。
流川はそれを不機嫌に見返すと、洋平が眉尻を下げて苦笑して、隣りに立つ伊理穂に顔を向けた。
「じゃあ、王子が来たところでナイトは退散しますかね。姫を頼むぜ? 王子さま」
「ちょ、洋平! 何言ってんの!」
その言葉に驚いて、伊理穂が目に見えて動揺する。
洋平はその様子におかしそうにくつくつと笑いをもらした。
「お、なんだ? 伊理穂は流川が王子なのはいやなのか?」
「そっ! そんなこと言ってないでしょー、そういうことじゃなくて!」
まだ何か言っている伊理穂を無視して、洋平は流川を見る。
「流川は?」
「……別に。月瀬が姫なら悪くねー」
言うと、その答えが意外だったのか、伊理穂と洋平はきょとんと流川を見た。
一瞬後、伊理穂は真っ赤に染まって、洋平は切なそうに微笑む。
洋平の手が伊理穂の頭に伸びて、そこをくしゃくしゃと撫でた。
「だってよ、伊理穂。よかったな」
「ちょ、洋平!?」
「はは。じゃ、オレはこれでほんとうに帰るわ。流川、伊理穂をよろしくな。じゃあな、伊理穂。しっかり勉強しろよ」
「うわ、洋平には言われたくなーいー!」
「あ、流川くん!」
「よお、流川」
挨拶をすると、伊理穂が表情を明るくして流川を見た。洋平も口の端を持ち上げて挨拶を返してくる。
振り向いた伊理穂の顔に、流川はハッと目を見開いた。
伊理穂の右頬を覆いつくすように、大きな湿布が貼られていた。
(昨日、あいつに殴られたところか)
思いだして、流川の心にさざ波が立つ。
伊理穂の小さな顔には、その湿布がやけに大きく見えて、余計痛々しかった。
(――せっかく、綺麗な顔なのに)
あの時伊理穂の腕を盾に取られていたとはいえ、守ってやれなかった自分に流川は無性に腹を立てた。
伊理穂は自分の顔の傷を気にした様子もなく、流川に無邪気に笑顔を向けてくる。
「おはよう。頭の傷は大丈夫?」
そう言って心配そうに顔を曇らせる伊理穂に、流川は薄く微笑んだ。
「たいしたことねー。表面を軽く切っただけだ。もうなんでもねー」
「そっか、よかった! すごい出血だったもんね、流川くん。ほんとう心配したんだから」
流川は伊理穂に微笑んで、表情を引き締めて洋平を見る。
「よお。おめー、なにしてる」
「は?」
いきなりな流川の言葉に、洋平がぽかんと口を開けた。
流川は瞳に剣呑な色をのせて、もう一度口を開く。
「おめー、今日から三日間自宅謹慎だろ。こんなとこいるの見つかったら、一緒にいる月瀬がやべーんじゃねーか?」
「ああ。そういうことな」
合点の言った洋平が、小さく頷く。
「確かにそうなんだけど、昨日の連中の中には他校のやつらもいただろ? 万が一にもそいつらに伊理穂が狙われたらあぶねぇからな。ボディーガードだよ」
お前は朝一緒にはいけねぇだろ? と洋平は流川に気さくな笑みを向ける。
流川はそれを不機嫌に見返すと、洋平が眉尻を下げて苦笑して、隣りに立つ伊理穂に顔を向けた。
「じゃあ、王子が来たところでナイトは退散しますかね。姫を頼むぜ? 王子さま」
「ちょ、洋平! 何言ってんの!」
その言葉に驚いて、伊理穂が目に見えて動揺する。
洋平はその様子におかしそうにくつくつと笑いをもらした。
「お、なんだ? 伊理穂は流川が王子なのはいやなのか?」
「そっ! そんなこと言ってないでしょー、そういうことじゃなくて!」
まだ何か言っている伊理穂を無視して、洋平は流川を見る。
「流川は?」
「……別に。月瀬が姫なら悪くねー」
言うと、その答えが意外だったのか、伊理穂と洋平はきょとんと流川を見た。
一瞬後、伊理穂は真っ赤に染まって、洋平は切なそうに微笑む。
洋平の手が伊理穂の頭に伸びて、そこをくしゃくしゃと撫でた。
「だってよ、伊理穂。よかったな」
「ちょ、洋平!?」
「はは。じゃ、オレはこれでほんとうに帰るわ。流川、伊理穂をよろしくな。じゃあな、伊理穂。しっかり勉強しろよ」
「うわ、洋平には言われたくなーいー!」