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早朝のバスケットコート。
スポーツ公園にあるここで、流川はひとり、自主練習をしていた。
今日は湘北バスケ部の朝練がない。そういう日はたいがい学校の前にここで練習をするのだが、今日はいつもと少し勝手が違っていた。
放ったボールが、リングに嫌われる。
無惨に地面に転がるそれ。
流川はチッと舌打ちをする。
(どうもうまくいかねー……)
苛立ち混じりにため息をつくと、流川はボールに手を伸ばした。
触れた途端に、脳裏によみがえる声。
『洋平のことはわたしが守るんだから』
『洋平の為だったら、わたしはなんだってする』
びくりと震える指先。
ボールが弾かれて僅かに転がっていった。
なぜかこれを逃がしたらいけないような気がして、流川は慌ててボールを掴む。
しっかりとそれを持って、胸の前でホッと息を吐いた。
(月瀬……)
昨日の、伊理穂の言葉。
思い出すだけで、狂ったように胸が不安になる。
強力な油性マーカーで満遍なく心の内側を塗りつぶされたように、どす黒い感情がこびりついて離れない。
(おめーは、やっぱり水戸が好きなのか……?)
暗い感情が流川を蝕んでいく。
ただの幼馴染みなら関係ない。
そう言ったこともあったけれど、そんなのただの強がりだ。
伊理穂と洋平の関係。
どれほどの強い結びつきなのか、自分は最初からわかっていた。
昨日は、それがはっきり浮き彫りになっただけだ。
(落ち込む必要なんかねー。あの二人の絆には、オレは最初から気付いていたはずだ)
暗闇に陥りそうな自分に、流川はそう呼びかける。
知っていたはず。
だから落ち込むな。
気にしたところで何かが変わるわけでもない。
ただひたすらに。自分は。伊理穂を。
(手に入れることだけ考えろ)
流川はフーッと息を吐き出すと、手に持ったボールをリングに向かって投げた。
ザンッとネットを揺らす音を響かせて、ボールがリングをくぐる。
流川はそれを真剣な瞳で見つめると、ころころと足元まで転がってきたボールを掴んだ。
今日はこれで切り上げよう。
思って流川はボールを鞄にしまった。
流川が早朝練習を終えて、軽くシャワーを浴び、学校近くまで自転車をこいでいた時だった。
視界の先に伊理穂を見つけた。
声をかけようとペダルを踏み出しかけて、流川は眉をひそめる。
隣りに、私服姿の洋平がいた。
(あいつ、なにやってやがる)
流川は眉間の皺を深くした。
たしか、花道を除く洋平たち桜木軍団と、三井を除く堀田徳男グループは、昨日の騒動の責任を取らされて今日から三日間の自宅謹慎処分だったはずだ。
不機嫌に顔をしかめながら、流川はそちらへと自転車をこぐ。
スポーツ公園にあるここで、流川はひとり、自主練習をしていた。
今日は湘北バスケ部の朝練がない。そういう日はたいがい学校の前にここで練習をするのだが、今日はいつもと少し勝手が違っていた。
放ったボールが、リングに嫌われる。
無惨に地面に転がるそれ。
流川はチッと舌打ちをする。
(どうもうまくいかねー……)
苛立ち混じりにため息をつくと、流川はボールに手を伸ばした。
触れた途端に、脳裏によみがえる声。
『洋平のことはわたしが守るんだから』
『洋平の為だったら、わたしはなんだってする』
びくりと震える指先。
ボールが弾かれて僅かに転がっていった。
なぜかこれを逃がしたらいけないような気がして、流川は慌ててボールを掴む。
しっかりとそれを持って、胸の前でホッと息を吐いた。
(月瀬……)
昨日の、伊理穂の言葉。
思い出すだけで、狂ったように胸が不安になる。
強力な油性マーカーで満遍なく心の内側を塗りつぶされたように、どす黒い感情がこびりついて離れない。
(おめーは、やっぱり水戸が好きなのか……?)
暗い感情が流川を蝕んでいく。
ただの幼馴染みなら関係ない。
そう言ったこともあったけれど、そんなのただの強がりだ。
伊理穂と洋平の関係。
どれほどの強い結びつきなのか、自分は最初からわかっていた。
昨日は、それがはっきり浮き彫りになっただけだ。
(落ち込む必要なんかねー。あの二人の絆には、オレは最初から気付いていたはずだ)
暗闇に陥りそうな自分に、流川はそう呼びかける。
知っていたはず。
だから落ち込むな。
気にしたところで何かが変わるわけでもない。
ただひたすらに。自分は。伊理穂を。
(手に入れることだけ考えろ)
流川はフーッと息を吐き出すと、手に持ったボールをリングに向かって投げた。
ザンッとネットを揺らす音を響かせて、ボールがリングをくぐる。
流川はそれを真剣な瞳で見つめると、ころころと足元まで転がってきたボールを掴んだ。
今日はこれで切り上げよう。
思って流川はボールを鞄にしまった。
流川が早朝練習を終えて、軽くシャワーを浴び、学校近くまで自転車をこいでいた時だった。
視界の先に伊理穂を見つけた。
声をかけようとペダルを踏み出しかけて、流川は眉をひそめる。
隣りに、私服姿の洋平がいた。
(あいつ、なにやってやがる)
流川は眉間の皺を深くした。
たしか、花道を除く洋平たち桜木軍団と、三井を除く堀田徳男グループは、昨日の騒動の責任を取らされて今日から三日間の自宅謹慎処分だったはずだ。
不機嫌に顔をしかめながら、流川はそちらへと自転車をこぐ。