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首を傾げる徳男に、三井はほくそ笑む。
「おい、鉄男」
三井が鉄男を呼ぶと、鉄男は心得たように伊理穂を後ろから羽交い絞めにした。
「きゃあ!」
そのままずるずると流川から引き剥がされる。
「! 月瀬!」
「伊理穂!」
「動くな!」
慌てて助けようとした流川と花道を、鉄男が静かに牽制した。
「迂闊に近づくんじゃねえ。このオンナの腕をへし折るぞ」
言って、鉄男は伊理穂の腕を拘束する力を強めた。
「痛……っ!」
ぎしぎしと体の内側から骨の軋む音がして、伊理穂の顔が苦痛に歪む。
「伊理穂!」
「月瀬!」
流川と花道は、悔しげに唇を噛んで動きを止めた。
三井はそれを見て、鉄男に腕の力を緩めるよう指示を出すと、伊理穂の正面に移動する。
伊理穂は恐怖に小さく震えながらも、気丈に眼前の三井を睨みつけた。
三井がそれに面白そうに口笛を吹く。
「へえ。水戸のオンナってだけあっていい度胸じゃねえか」
「洋平とは幼馴染みなだけです!」
「ふうん。まあ、お前らの関係なんてどうだっていいんだよ」
三井の瞳が剣呑な光を宿す。
「おい、オンナ。ここに水戸を呼べ」
「……なんで」
「決まってんだろ。水戸もまとめてボコるんだよ。お前人質に取ってりゃ簡単だろーが」
三井のその言葉に、伊理穂の体を戦慄が走った。
「いやっ! 絶対呼ばない! 洋平は関係ないでしょう!?」
伊理穂は血相を変えて叫ぶ。
洋平を危険な目に合わせるなんて真っ平ごめんだった。
そんなことになるくらいなら、自分が殴られたほうが何倍もマシだ。
必死の表情を浮かべる伊理穂に、三井が楽しそうに口角を上げる。
「このケンカにはな。でも水戸洋平もどっちにしろ痛い目見せてやろうと思ってたんだ。なにも二回も暴力事件起こすこたぁねえ。今日なら鉄男たちもいるし、こんな絶好のチャンス、逃す手はねえだろうが。なあ?」
言って三井は徳男に目を向けた。
徳男は矛先を向けられて、戸惑うように口を開く。
「で、でも三ッちゃん。その子を巻き込んだりするのは……」
「ぁあ!? 徳男、てめえなに甘いこと言ってんだよ! やられっぱなしなんだろその一年坊に! 手段なんか選んでどうすんだよバカ! 使えるもんはなんでも使うんだよ」
「だけど、三ッちゃん……」
「るせえ! 逆らうならてめえからヤるぞ、徳男!」
「! わ、わかったよ、三ッちゃん」
しぶしぶ納得した徳男に三井は不機嫌そうに顔をゆがめると、その表情のまま伊理穂に向き直った。
「というわけだからよ。呼べよ、水戸を」
「いやっ! 絶対いやっ! お願いだから洋平には手を出さないで! お願い!」