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夢小説設定
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「ヤス!」
「安田さん!」
「ヤス!」
花道が、伊理穂の腕を振り払って安田の元へと駆けていく。
伊理穂はそれを呆然と見送って、口元に手をあてた。
赤く染まる、安田の顔。
ひどい。どうして。
呆然とする伊理穂の視界を、バスケットボールが凄い勢いで飛んでいった。
主犯格の三井が、それを顔の前で受け止める。
ボールを三井に投げたのは流川だった。
「流川くん、ダメッ!」
伊理穂が叫んで、流川に駆け寄ろうとしたとき。
流川の後ろに、一人の不良が立った。竜と呼ばれている人だった。
彼は、緩やかな動きで床に落ちていたモップを手に取ると、それを勢いよく流川の頭に振り下ろした。突然の衝撃にぐらついた流川の頭を、今度はそのモップで横殴りにする。
「! 流川くん!」
溢れる血。
流川が体勢を立て直すより早く、竜の拳が数回、流川の腹部に沈んだ。
流川の頭部から大量に血が流れ出し、その端整な顔を赤く染めていく。
「――いやぁっ! 流川くんっ!!」
流川の傍に駆け寄ろうとする伊理穂の腕を、ハッと我に返った彩子が取った。
「伊理穂! ダメよ危険だわ!」
「だけど、流川くんがっ!」
「だからってわたしたちにはなにもできないじゃない!」
「!」
彩子の言葉に伊理穂は歯噛みする。
そんなことわかっている。
自分にできることはなにもないってことくらい。
だけど、せめて止血ぐらいは……!
思って伊理穂は無言で彩子の腕を振り払った。
「伊理穂!」
足を踏み出した伊理穂の目に、竜の腹に拳を埋める流川がうつる。
「――!」
伊理穂は鋭く息を呑んだ。
ついに、手を出してしまった。
息を止める部員たちとは対照的に、三井が嘲るように笑い声をあげる。
「ははは! とうとう手を出しやがったな! これでお前らも……」
今度は三井の頬に流川の拳が沈んだ。
「――流川くん、だめっ!」
ハッと我に返ると、伊理穂は慌てて流川の腕にとりすがった。
「だめ! 流川くんやめて! 大変なことになっちゃう!」
「月瀬、危ないどいてろ」
少し焦ったように言う流川の声音に、花道も顔をあげた。
流川にすがりつく伊理穂を見て、慌てたように声を張り上げる。
「バカヤロー、伊理穂下がれ! お前に何かあったら、オレが洋平に殺されるだろーが!」
「洋平……?」
花道のその言葉に、三井が反応した。
口の端をニヤリと持ち上げる。
「おい、徳男。洋平ってさっき外で会った水戸ってやつのことだよな?」
「あ、ああ。多分そうだぜ。この子が水戸といるのをよく見かけたことがある。だけどそれがいったい……」
「安田さん!」
「ヤス!」
花道が、伊理穂の腕を振り払って安田の元へと駆けていく。
伊理穂はそれを呆然と見送って、口元に手をあてた。
赤く染まる、安田の顔。
ひどい。どうして。
呆然とする伊理穂の視界を、バスケットボールが凄い勢いで飛んでいった。
主犯格の三井が、それを顔の前で受け止める。
ボールを三井に投げたのは流川だった。
「流川くん、ダメッ!」
伊理穂が叫んで、流川に駆け寄ろうとしたとき。
流川の後ろに、一人の不良が立った。竜と呼ばれている人だった。
彼は、緩やかな動きで床に落ちていたモップを手に取ると、それを勢いよく流川の頭に振り下ろした。突然の衝撃にぐらついた流川の頭を、今度はそのモップで横殴りにする。
「! 流川くん!」
溢れる血。
流川が体勢を立て直すより早く、竜の拳が数回、流川の腹部に沈んだ。
流川の頭部から大量に血が流れ出し、その端整な顔を赤く染めていく。
「――いやぁっ! 流川くんっ!!」
流川の傍に駆け寄ろうとする伊理穂の腕を、ハッと我に返った彩子が取った。
「伊理穂! ダメよ危険だわ!」
「だけど、流川くんがっ!」
「だからってわたしたちにはなにもできないじゃない!」
「!」
彩子の言葉に伊理穂は歯噛みする。
そんなことわかっている。
自分にできることはなにもないってことくらい。
だけど、せめて止血ぐらいは……!
思って伊理穂は無言で彩子の腕を振り払った。
「伊理穂!」
足を踏み出した伊理穂の目に、竜の腹に拳を埋める流川がうつる。
「――!」
伊理穂は鋭く息を呑んだ。
ついに、手を出してしまった。
息を止める部員たちとは対照的に、三井が嘲るように笑い声をあげる。
「ははは! とうとう手を出しやがったな! これでお前らも……」
今度は三井の頬に流川の拳が沈んだ。
「――流川くん、だめっ!」
ハッと我に返ると、伊理穂は慌てて流川の腕にとりすがった。
「だめ! 流川くんやめて! 大変なことになっちゃう!」
「月瀬、危ないどいてろ」
少し焦ったように言う流川の声音に、花道も顔をあげた。
流川にすがりつく伊理穂を見て、慌てたように声を張り上げる。
「バカヤロー、伊理穂下がれ! お前に何かあったら、オレが洋平に殺されるだろーが!」
「洋平……?」
花道のその言葉に、三井が反応した。
口の端をニヤリと持ち上げる。
「おい、徳男。洋平ってさっき外で会った水戸ってやつのことだよな?」
「あ、ああ。多分そうだぜ。この子が水戸といるのをよく見かけたことがある。だけどそれがいったい……」