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陵南高校との練習試合も終わり、入院していたという二年生バスケ部員・宮城リョータが部活に復帰して、湘北高校バスケットボール部はまた一段階レベルがアップした。
宮城復帰当初は花道ととても険悪ムードだったけれど、二人の間にいったい何があったのか、今では一緒にフェイントの練習をするぐらい仲良くなっている。
伊理穂はそんな二人を見て、顔をほころばせた。
宮城はかなりの実力を持ったポイントガードで、彼の参入はとてつもなくでかい。
これはこの夏の大会、けっこういい所まで行くんじゃないだろうか。
「ホッ」
宮城のフェイクに騙されて、花道がまたドリブルで抜かれている。
「花道の単純王ー!」
「るせー、伊理穂!」
野次を飛ばすと、花道が歯を剥き出して文句を言ってきた。
それをけらけら笑いながら見ていると、副キャプテンの木暮から集合の合図がかかった。
今日はどうやら、キャプテンの赤木は物理の課外授業があるらしい。
集まる部員に木暮がそんなことを説明していると。
突然体育館入り口の方から強く地面を蹴る音が聞こえた。
「?」
振り向いた伊理穂は驚愕に目を見開いた。
(な、なに……?)
そこには、この体育館に似つかわしくない、明らかに不良と思われる集団がいた。
乗り込んできたのは、宮城と暴力沙汰を起こして入院していた、三井とその仲間たちだった。
部員たちの目の前で、フロアが土足で踏まれ、宮城が殴られ、ボールにつばが吐かれる。
「……!」
伊理穂はそれを、小さく震えながら唇を噛み締めて見つめた。
どうしてこんなこと。
ただバスケを一生懸命やっているだけなのに。
なのになんでこんな、なんの関係もない人たちが、こんなことを。
伊理穂の内側を、恐怖とない交ぜになって怒りの感情が駆け巡る。
悔しい。でも自分にはなんの力もない。
それに争うなんて言語道断だ。
夏の大会に出られなくなってしまうどころか、下手すればバスケ部が廃部になってしまう。
思って伊理穂は、一番の危険人物である花道の服をしっかと掴んだ。
暴れださないようにと掴んだそれを恐怖のためと勘違いした花道が、静かに首をめぐらせてくる。
「伊理穂。大丈夫だ。オレが守ってやる」
「違う。そうじゃない。花道ダメだよ。手を出しちゃダメ。バスケ部が、大会に出れなくなっちゃう。だから、どんなに腹が立っても、悔しくっても絶対に手を出さないで。ね?」
伊理穂の言葉に、花道が顔をしかめる。
「だけど、伊理穂……っ!」
そのとき。
安田が前に出た。
「頼むから、帰ってください。お願いします」
安田の真摯な言葉が、静まりかえった体育館に切実に響く。
伊理穂もバスケ部のみんなも、安田のその勇気のある行動に感動して、これが伝わればと願った。
不良たちが帰ってくれればと。
だけど。
「ぐああああ!」
安田の悲鳴が体育館に響き渡る。
「!」
宮城復帰当初は花道ととても険悪ムードだったけれど、二人の間にいったい何があったのか、今では一緒にフェイントの練習をするぐらい仲良くなっている。
伊理穂はそんな二人を見て、顔をほころばせた。
宮城はかなりの実力を持ったポイントガードで、彼の参入はとてつもなくでかい。
これはこの夏の大会、けっこういい所まで行くんじゃないだろうか。
「ホッ」
宮城のフェイクに騙されて、花道がまたドリブルで抜かれている。
「花道の単純王ー!」
「るせー、伊理穂!」
野次を飛ばすと、花道が歯を剥き出して文句を言ってきた。
それをけらけら笑いながら見ていると、副キャプテンの木暮から集合の合図がかかった。
今日はどうやら、キャプテンの赤木は物理の課外授業があるらしい。
集まる部員に木暮がそんなことを説明していると。
突然体育館入り口の方から強く地面を蹴る音が聞こえた。
「?」
振り向いた伊理穂は驚愕に目を見開いた。
(な、なに……?)
そこには、この体育館に似つかわしくない、明らかに不良と思われる集団がいた。
乗り込んできたのは、宮城と暴力沙汰を起こして入院していた、三井とその仲間たちだった。
部員たちの目の前で、フロアが土足で踏まれ、宮城が殴られ、ボールにつばが吐かれる。
「……!」
伊理穂はそれを、小さく震えながら唇を噛み締めて見つめた。
どうしてこんなこと。
ただバスケを一生懸命やっているだけなのに。
なのになんでこんな、なんの関係もない人たちが、こんなことを。
伊理穂の内側を、恐怖とない交ぜになって怒りの感情が駆け巡る。
悔しい。でも自分にはなんの力もない。
それに争うなんて言語道断だ。
夏の大会に出られなくなってしまうどころか、下手すればバスケ部が廃部になってしまう。
思って伊理穂は、一番の危険人物である花道の服をしっかと掴んだ。
暴れださないようにと掴んだそれを恐怖のためと勘違いした花道が、静かに首をめぐらせてくる。
「伊理穂。大丈夫だ。オレが守ってやる」
「違う。そうじゃない。花道ダメだよ。手を出しちゃダメ。バスケ部が、大会に出れなくなっちゃう。だから、どんなに腹が立っても、悔しくっても絶対に手を出さないで。ね?」
伊理穂の言葉に、花道が顔をしかめる。
「だけど、伊理穂……っ!」
そのとき。
安田が前に出た。
「頼むから、帰ってください。お願いします」
安田の真摯な言葉が、静まりかえった体育館に切実に響く。
伊理穂もバスケ部のみんなも、安田のその勇気のある行動に感動して、これが伝わればと願った。
不良たちが帰ってくれればと。
だけど。
「ぐああああ!」
安田の悲鳴が体育館に響き渡る。
「!」