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結子はまだ半分くらい訝しむような表情を浮かべて、近くの机を伊理穂の机に寄せた。
腰を降ろしてお弁当の包みを開けながら言う。
「それにしても伊理穂甘いわよ。どうしてこんな三年寝太郎にノートを貸してやるの?」
「え?」
「流川よ、るーかーわ! こんな授業中寝てるやつのために、ノート貸してやることないわよ。起きてるわたしたちがバカみたいじゃないの」
「えー、でも……。ねえ?」
伊理穂は困ったように眉を寄せると、流川に視線を向けた。
流川は伊理穂の助けを求める表情に気付いて、結子を見る。
「オメーにカンケーねー」
「あるわよおおありよっ! わたしのかわいい伊理穂の苦労をなんだと思ってるの」
「月瀬のノートはわかりやすい。授業聞くより頭に入る」
「だっから余計ムカつくんでしょ! これでわたしよりいい成績取ったらグレてやるっ!」
今にも暴れださん勢いで結子が言う。
伊理穂はまあまあとそれを宥めた。
「流川くんはバスケが忙しいしさ」
「それは好きでやってるんでしょ! 伊理穂だって活動時間考えたら同じじゃないの」
「それはそうなんだけど……。でもわたしは動いてるわけじゃないし。選手の時と比べたら体力的には少し楽だよ、マネージャー。もちろん簡単な仕事じゃないけどさ」
へラッと笑って言うと、結子が呆れたようにため息をついた。
「まあ、あんたがいいならいいけど」
結子はそう拗ねたように零すと、腹いせとばかりに流川の頭を叩いた。
叩かれた流川がムッと結子を見返している。
と、そのとき。
「伊理穂いるか?」
教室の入り口の方から、洋平の声が聞こえた。
「洋平っ!」
尻尾を振らんばかりに喜び溢れる声で伊理穂は叫ぶと、大きく椅子を鳴らして席を立った。
その様子に苦笑を零しながら、洋平がこちらへと歩いてくる。
「洋平っ、どうしたの?」
目の前まで来た洋平に伊理穂は満面の笑みで近くの椅子を勧めた。
洋平はそれに首を振る。
「すぐ戻るから」
「えー」
「はは。そう拗ねるなよ」
洋平は頬を膨らませる伊理穂の頭を優しく撫でた。
「こんにちは、水戸くん。今日も伊理穂のお守り役大変ね」
「こんにちは久遠さん。まったくだよ。久遠さんからもなんとか言ってやって」
眉尻を下げて言う洋平に、結子がふうと嘆息する。
「もうこれはどうしようもないんじゃない? それに、伊理穂がこんな風に甘えるのって水戸くんのときだけだもの。伊理穂、わたしたち相手だともっとしっかりしてるわよ」
「へえ……」
洋平が少し意外そうに目を見開いた。
それを優しい色に染めて伊理穂を見つめる。
「それはオレも大変だな」
「……大変ってなによう」
伊理穂は拗ねて、洋平の制服の裾を掴んだ。
少し淋しい気持ちになって、見上げるようにして洋平をじっと見つめる。
「迷惑?」
腰を降ろしてお弁当の包みを開けながら言う。
「それにしても伊理穂甘いわよ。どうしてこんな三年寝太郎にノートを貸してやるの?」
「え?」
「流川よ、るーかーわ! こんな授業中寝てるやつのために、ノート貸してやることないわよ。起きてるわたしたちがバカみたいじゃないの」
「えー、でも……。ねえ?」
伊理穂は困ったように眉を寄せると、流川に視線を向けた。
流川は伊理穂の助けを求める表情に気付いて、結子を見る。
「オメーにカンケーねー」
「あるわよおおありよっ! わたしのかわいい伊理穂の苦労をなんだと思ってるの」
「月瀬のノートはわかりやすい。授業聞くより頭に入る」
「だっから余計ムカつくんでしょ! これでわたしよりいい成績取ったらグレてやるっ!」
今にも暴れださん勢いで結子が言う。
伊理穂はまあまあとそれを宥めた。
「流川くんはバスケが忙しいしさ」
「それは好きでやってるんでしょ! 伊理穂だって活動時間考えたら同じじゃないの」
「それはそうなんだけど……。でもわたしは動いてるわけじゃないし。選手の時と比べたら体力的には少し楽だよ、マネージャー。もちろん簡単な仕事じゃないけどさ」
へラッと笑って言うと、結子が呆れたようにため息をついた。
「まあ、あんたがいいならいいけど」
結子はそう拗ねたように零すと、腹いせとばかりに流川の頭を叩いた。
叩かれた流川がムッと結子を見返している。
と、そのとき。
「伊理穂いるか?」
教室の入り口の方から、洋平の声が聞こえた。
「洋平っ!」
尻尾を振らんばかりに喜び溢れる声で伊理穂は叫ぶと、大きく椅子を鳴らして席を立った。
その様子に苦笑を零しながら、洋平がこちらへと歩いてくる。
「洋平っ、どうしたの?」
目の前まで来た洋平に伊理穂は満面の笑みで近くの椅子を勧めた。
洋平はそれに首を振る。
「すぐ戻るから」
「えー」
「はは。そう拗ねるなよ」
洋平は頬を膨らませる伊理穂の頭を優しく撫でた。
「こんにちは、水戸くん。今日も伊理穂のお守り役大変ね」
「こんにちは久遠さん。まったくだよ。久遠さんからもなんとか言ってやって」
眉尻を下げて言う洋平に、結子がふうと嘆息する。
「もうこれはどうしようもないんじゃない? それに、伊理穂がこんな風に甘えるのって水戸くんのときだけだもの。伊理穂、わたしたち相手だともっとしっかりしてるわよ」
「へえ……」
洋平が少し意外そうに目を見開いた。
それを優しい色に染めて伊理穂を見つめる。
「それはオレも大変だな」
「……大変ってなによう」
伊理穂は拗ねて、洋平の制服の裾を掴んだ。
少し淋しい気持ちになって、見上げるようにして洋平をじっと見つめる。
「迷惑?」