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洋平に連れられて体育館に着くと、目の前の光景に伊理穂の口に自然に笑みが浮かんだ。
懐かしい部活の風景。
でも、自分たちの時と迫力がぜんぜん違う。
男子、女子という違いももちろんある。でも、理由はそれだけじゃないだろう。
中学と違い、高校の部活は本当にやりたい人だけが集う。
その真剣さのような気がした。
「おー、やってるやってる!」
隣の洋平が、おでこに手をあてて言う。
「すごい迫力だね」
「だな。なんかこう、青春って感じだよな」
「あはは、青春?」
伊理穂はくすくすと笑う。
洋平の口から青春という言葉が出ると、なんだか不思議な感じがしておもしろかった。
そんな伊理穂に慣れているのか、洋平は特に不快そうな顔をするでもなく目を細めて伊理穂を見つめる。
「なんだ? そんなに似合わないか?」
「うん。すっごく不自然。なんか鬼に花束って感じ」
「…………ふうん」
想像するとすごかった。
つまり、それほど似合わないということなんだな、と洋平はひとり納得すると、また意識を目の前の光景に戻した。
当の本人、伊理穂は、とっくにバスケ部の練習に夢中で、すでに洋平のことは眼中にない。
やれやれ、と小さく嘆息すると、不意に誰かに呼ばれた。
「おーい、洋平! こっちだこっち!」
声のしたほうに振り向くと、さきほどはぐれた大楠たちだった。
こちらに向かっておおきく手を振っている。
「あ! 大楠君たちだ!」
隣の伊理穂が楽しそうに声を上げる。
そういえば、伊理穂が大楠たちに会うのは久しぶりだったか。
思って洋平は伊理穂に訊ねる。
「大楠達のところ行くか?」
「うんっ! もしかして入学式以来? みんなして全然会いに来てくれないんだもん」
「ははっ。俺らなりに気を使ってたんだよ。入学早々、俺らみたいなのとツルんでたら伊理穂に友達ができないだろ?」
「ええっ!? そんなことないよ! わたし、みんなのこと大好き」
移動しながら伊理穂は不満そうにぷくっと頬を膨らます。
「でも、まわりの目はなかなかそうはいかないだろ?」
「……まあ、そうだよね。だって和光中の桜木軍団だもんね」
「泣く子も黙る……な」
言って、洋平はニヤリと不敵に笑う。
「でも怖くないのに。みんな優しいのにな。勘違いされたまんまなんてなんか淋しい」
「…………。俺は、怖がられない不良の方がどうかと思うけどな」
思わず洋平は苦笑した。
大楠たち桜木軍団の側に行くと、マネージャーの彩子にハリセンで叩かれながら、ドリブル練習をしている花道がよく見えた。
文句を言いつつも真剣に練習する花道に、自然と伊理穂の口許も綻ぶ。
「いいな、花道。楽しそう」
「うらやましいか?」
「うん。――すごく」
「ははっ。そっか」
眩しそうに花道を見つめる伊理穂の頭を、洋平は優しくぽんと撫でる。
伊理穂は気持ち良さそうに一瞬目を細めると、花道に向かって叫んだ。
懐かしい部活の風景。
でも、自分たちの時と迫力がぜんぜん違う。
男子、女子という違いももちろんある。でも、理由はそれだけじゃないだろう。
中学と違い、高校の部活は本当にやりたい人だけが集う。
その真剣さのような気がした。
「おー、やってるやってる!」
隣の洋平が、おでこに手をあてて言う。
「すごい迫力だね」
「だな。なんかこう、青春って感じだよな」
「あはは、青春?」
伊理穂はくすくすと笑う。
洋平の口から青春という言葉が出ると、なんだか不思議な感じがしておもしろかった。
そんな伊理穂に慣れているのか、洋平は特に不快そうな顔をするでもなく目を細めて伊理穂を見つめる。
「なんだ? そんなに似合わないか?」
「うん。すっごく不自然。なんか鬼に花束って感じ」
「…………ふうん」
想像するとすごかった。
つまり、それほど似合わないということなんだな、と洋平はひとり納得すると、また意識を目の前の光景に戻した。
当の本人、伊理穂は、とっくにバスケ部の練習に夢中で、すでに洋平のことは眼中にない。
やれやれ、と小さく嘆息すると、不意に誰かに呼ばれた。
「おーい、洋平! こっちだこっち!」
声のしたほうに振り向くと、さきほどはぐれた大楠たちだった。
こちらに向かっておおきく手を振っている。
「あ! 大楠君たちだ!」
隣の伊理穂が楽しそうに声を上げる。
そういえば、伊理穂が大楠たちに会うのは久しぶりだったか。
思って洋平は伊理穂に訊ねる。
「大楠達のところ行くか?」
「うんっ! もしかして入学式以来? みんなして全然会いに来てくれないんだもん」
「ははっ。俺らなりに気を使ってたんだよ。入学早々、俺らみたいなのとツルんでたら伊理穂に友達ができないだろ?」
「ええっ!? そんなことないよ! わたし、みんなのこと大好き」
移動しながら伊理穂は不満そうにぷくっと頬を膨らます。
「でも、まわりの目はなかなかそうはいかないだろ?」
「……まあ、そうだよね。だって和光中の桜木軍団だもんね」
「泣く子も黙る……な」
言って、洋平はニヤリと不敵に笑う。
「でも怖くないのに。みんな優しいのにな。勘違いされたまんまなんてなんか淋しい」
「…………。俺は、怖がられない不良の方がどうかと思うけどな」
思わず洋平は苦笑した。
大楠たち桜木軍団の側に行くと、マネージャーの彩子にハリセンで叩かれながら、ドリブル練習をしている花道がよく見えた。
文句を言いつつも真剣に練習する花道に、自然と伊理穂の口許も綻ぶ。
「いいな、花道。楽しそう」
「うらやましいか?」
「うん。――すごく」
「ははっ。そっか」
眩しそうに花道を見つめる伊理穂の頭を、洋平は優しくぽんと撫でる。
伊理穂は気持ち良さそうに一瞬目を細めると、花道に向かって叫んだ。