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ぽかぽか殴ってくる伊理穂の腕を掴んで、洋平はごめんごめんと謝る。
「悪かったよ伊理穂。謝るから。ほら、続き話せよ。相談ってそのことじゃないんだろ?」
「あ、う、うんそうなの……。それがね、洋平。事件なの」
「は? 事件?」
一転して神妙な表情で言う伊理穂に、洋平は眉根を寄せた。
なんだ事件とは。
流川に振られたとか?
思って洋平は心の中で首を振る。
(まさか。アイツは伊理穂が好きなはずだ)
じゃあ事件とはなんだ。
わからなくて、洋平は目の前の伊理穂をじっと見つめる。
「あ、あのね、洋平。その、実は、気持ちを自覚したのは2日前なんだけどね」
「ああ」
「その日から、流川くんと普通に話せなくなっちゃったの!」
洋平は伊理穂のその言葉に目を丸くした。
むしろそのままでいてくれて構わないのになんてこっそり思いながら、洋平はなんとか相槌をうつ。
「……へえ」
「どうしよう、洋平!」
「どうしようって言われてもなあ……」
うわーんと大げさに泣きマネをする伊理穂に、洋平は天を仰いだ。
そういえば、伊理穂はこれが初恋だったか。
思って、洋平はふうと息を吐き出す。
胸は相変わらずきりきりと痛い。
だけど押し隠さなくては。
(伊理穂を、困らせたくねえもんな……)
「洋平、どうしたらいいのか一緒に考えてよ~!」
ひとり物思いにふける洋平の腕に、伊理穂が取り縋ってきた。
洋平は上げていた視線を戻して伊理穂を見る。
「どうしたらって……。今までどおりにすればいいんじゃねえか?」
「その今までどおりがわかんなくなっちゃったの!」
「……そりゃ重症だな」
言って洋平は苦笑した。
どうしてやればいいだろう。
洋平はうーんと顎に手をあてる。
「な、伊理穂。なんで普通に話せないんだ?」
「なんでって……。だって流川くんのこと見ると顔が赤くなっちゃうの。そんなみっともない顔流川くんに見せたくないし、それに流川くんといると心臓がすごいことになっちゃって、流川くんにその音が聞こえちゃうんじゃないかって怖いんだもん」
「ああ、なるほど……。そういうことか」
眉を寄せて言うと、伊理穂が瞳を潤ませてそんな怖い顔してないで助けてよーと言ってきた。
洋平は苦笑すると、伊理穂の髪にくしゃっと自身の手を置く。
「はは。ちゃんと助けてやるから安心しろよ」
「ようへえ~っ!」
抱きついてくる伊理穂の頭を洋平は優しく撫でると、その体を剥がして再びベッドに座らせた。
涙で揺らめく伊理穂の綺麗な瞳を、洋平はじっと見つめる。
「伊理穂」
「ん?」
「赤い顔を見せるのがなんでそんなにイヤなんだ?」
「だって、流川くんに嫌われちゃうもん!」
「なるほどな。じゃあ聞くけど、もし伊理穂だったら、理由もわからず突然避けられるのと、理由はわからないけど赤い顔で話しかけられるようになったのだったら、どっちの方がマシだ?」
「……赤い顔」