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「洋平、いる?」
母親の弥生が夜勤の今日。バイトから帰って少し遅い夕飯を済ませ、熱いお風呂につかって今日一日の疲れを癒し、自分の部屋に着いたときだった。
こんこんと窓を叩く音と、遠慮がちな伊理穂の声が部屋に響いた。
洋平はそのまま窓まで一直線に歩いて行くと、窓をあけて、向かいの伊理穂の部屋の窓から不安そうに顔を出していた幼馴染みに微笑んだ。
「いるよ。どうしたんだ?」
「うん……。ちょっと相談したいことがあって……」
「相談?」
「……うん」
伊理穂がもごもごと少し頬を赤くしながら、歯切れ悪く言う。
その恥らうような表情に、伊理穂がなにで悩んでいるのか瞬時に理解してしまった洋平は、鉛のように重くなる胸を隠して、伊理穂に微笑を向けた。
「聞いてやるから入れよ」
「うんっ」
伊理穂がぱあっと表情を明るくした。
洋平は自分の部屋の窓から身を乗り出してくる伊理穂の手をとると、勢いよく洋平の部屋に飛び込んでくるその体を抱きとめた。
窓のすぐ下にあるベッドのスプリングが、二人分の体重を受け止めて悲鳴をあげる。
洋平は伊理穂をベッドに座らせると、自分は机の椅子を引き出してその正面に座った。
「なんか飲むか?」
「ううん、大丈夫」
「それで、話って?」
伊理穂は一度言いにくそうに視線をさまよわせたあと、決意したように口を開いた。
「あ、あのね。まず、洋平に報告があるの」
「なんだ?」
「あ、あの、わたしがこの前言ってたことなんだけど……」
もごもご言う伊理穂に、洋平は悲しみをおさえて笑みを向ける。
「流川に対しておかしいってやつか?」
「あ、うんそう! それ!」
洋平の表情にある憂いには気付かずに、伊理穂がぎこちなく笑った。
「それなんだけどね、あの、なんでそうなるかわかったの!」
「へえ?」
なんでだったかなんて聞きたくない。
自分の心の中で理解はしていても、伊理穂の口から決定打となる一言なんて聞きたくなかった。
(でも、伊理穂はオレを頼りにしてる)
洋平は逃げ出したくなる弱気をため息とともに吐き出すと、がちがちになっている伊理穂が少しでも話しやすくなるように、その頭を撫でてやった。
伊理穂は緊張したとき、頭を撫でてやるとそれが少しほぐれる。
幼い頃から変わらない伊理穂の習性。
伊理穂は気持ち良さそうに瞳を閉じたあと、ふんわりと柔らかく笑った。
ああ、緊張が解けたんだな。その表情を見て、洋平は思う。
「あのね。洋平。わたし、どうやら、その……。る、流川くんのことが好きだったみたい!」
伊理穂のその言葉に、自分の中の何かが割れる音が体に響いた。
洋平はその痛みの破片を外に出さないように、伊理穂に言う。
「はは、やっとわかったのか伊理穂?」
お前はお子様だな。そんなことを言いながら頭を撫でてやると、伊理穂が怒ったように頬を膨らませる。
「もう! 子供扱いしないでよ洋平!」
「はは、悪い悪い。でも実際子供だろ?」
「あー、違うもん! もう、ひどいなあ洋平!」
母親の弥生が夜勤の今日。バイトから帰って少し遅い夕飯を済ませ、熱いお風呂につかって今日一日の疲れを癒し、自分の部屋に着いたときだった。
こんこんと窓を叩く音と、遠慮がちな伊理穂の声が部屋に響いた。
洋平はそのまま窓まで一直線に歩いて行くと、窓をあけて、向かいの伊理穂の部屋の窓から不安そうに顔を出していた幼馴染みに微笑んだ。
「いるよ。どうしたんだ?」
「うん……。ちょっと相談したいことがあって……」
「相談?」
「……うん」
伊理穂がもごもごと少し頬を赤くしながら、歯切れ悪く言う。
その恥らうような表情に、伊理穂がなにで悩んでいるのか瞬時に理解してしまった洋平は、鉛のように重くなる胸を隠して、伊理穂に微笑を向けた。
「聞いてやるから入れよ」
「うんっ」
伊理穂がぱあっと表情を明るくした。
洋平は自分の部屋の窓から身を乗り出してくる伊理穂の手をとると、勢いよく洋平の部屋に飛び込んでくるその体を抱きとめた。
窓のすぐ下にあるベッドのスプリングが、二人分の体重を受け止めて悲鳴をあげる。
洋平は伊理穂をベッドに座らせると、自分は机の椅子を引き出してその正面に座った。
「なんか飲むか?」
「ううん、大丈夫」
「それで、話って?」
伊理穂は一度言いにくそうに視線をさまよわせたあと、決意したように口を開いた。
「あ、あのね。まず、洋平に報告があるの」
「なんだ?」
「あ、あの、わたしがこの前言ってたことなんだけど……」
もごもご言う伊理穂に、洋平は悲しみをおさえて笑みを向ける。
「流川に対しておかしいってやつか?」
「あ、うんそう! それ!」
洋平の表情にある憂いには気付かずに、伊理穂がぎこちなく笑った。
「それなんだけどね、あの、なんでそうなるかわかったの!」
「へえ?」
なんでだったかなんて聞きたくない。
自分の心の中で理解はしていても、伊理穂の口から決定打となる一言なんて聞きたくなかった。
(でも、伊理穂はオレを頼りにしてる)
洋平は逃げ出したくなる弱気をため息とともに吐き出すと、がちがちになっている伊理穂が少しでも話しやすくなるように、その頭を撫でてやった。
伊理穂は緊張したとき、頭を撫でてやるとそれが少しほぐれる。
幼い頃から変わらない伊理穂の習性。
伊理穂は気持ち良さそうに瞳を閉じたあと、ふんわりと柔らかく笑った。
ああ、緊張が解けたんだな。その表情を見て、洋平は思う。
「あのね。洋平。わたし、どうやら、その……。る、流川くんのことが好きだったみたい!」
伊理穂のその言葉に、自分の中の何かが割れる音が体に響いた。
洋平はその痛みの破片を外に出さないように、伊理穂に言う。
「はは、やっとわかったのか伊理穂?」
お前はお子様だな。そんなことを言いながら頭を撫でてやると、伊理穂が怒ったように頬を膨らませる。
「もう! 子供扱いしないでよ洋平!」
「はは、悪い悪い。でも実際子供だろ?」
「あー、違うもん! もう、ひどいなあ洋平!」