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「る、流川くん、今日はすごい活躍だったねっ」
気まずい沈黙を破るように伊理穂はわざと声を明るくして言った。
一年生対上級生の試合は、花道の繰り出した脳天ダンクのせいでめちゃくちゃになって、結局途中で終わってしまった。
バイトでいない洋平のかわりに流川が送ると言ってくれて、今はその帰り道だった。
「…………」
明るく言う伊理穂とは対照的に、流川からは重い沈黙が返る。
「…………」
伊理穂もこれ以上他に言葉を持たなくて、しばらく二人黙ったまま歩いていると、ふいに流川が口を開いた。
「オイ、月瀬」
「は、はいっ!」
緊張で伊理穂の声が裏返る。
どうしよう。これじゃあ流川に変に思われてしまう。
(うう、どうして普通にできないの……? いつもどおりにするだけでいいのに……)
伊理穂は泣きたい気持ちで自分自身を罵った。
流川を好きだと気付いたあの試合の後から、伊理穂は流川に対して変な態度を取り続けてしまっていた。
赤くなった顔を見られたくなくてすぐに顔を逸らしてしまったり、わざと避けるような態度をとってしまったり、あからさまに無視をしてしまったり……。
普通にしなくちゃ普通にしなくちゃと思えば思うほど、どんどんどんどん自分の態度がぎこちなくなってしまう。
いまだって……。
「……。あんまりそっちに行くな。危ねー」
車道側を流川から不自然なほど離れて歩いていた伊理穂は、その言葉と同時に流川に腕をつかまれた。
「わっ」
流川は伊理穂を今まで自分が歩いていたほうに引き寄せると、今度は自分が車道側を歩き出した。
その少し不器用な優しさに、伊理穂の胸が大きく拍動する。
(流川くん……。わたしのこと庇ってくれたんだ……)
じんと伊理穂のからだに痺れるような感覚が広がる。
嬉しくて、なんだかくすぐったいような感じだ。
それまで二人の間にあった流川の自転車も、場所が入れ替わったことでなくなっている。
今はすぐ隣りが流川だ。
少し手を伸ばせば触れてしまうその距離に、伊理穂の心臓がとくとくと鼓動を早める。
「……月瀬」
「ななななに!?」
「…………。イヤ……」
流川は一瞬だけ眉を寄せると、すぐにいつもの表情に戻った。
まっすぐ前を向いて歩く流川の横顔を、伊理穂はそっと見上げる。
少しだけ、流川の表情に戸惑いの色が浮かんでいた。
伊理穂はそれを見つけて、小さく肩を落とす。
(どうしよう。こんな態度取って、流川くんに嫌われちゃう……!)
思ってもどうすることもできなかった。
今まで普通に接することができていた自分が信じられないくらいだ。
これまで自分がどんな風に流川と接していたのか、すべて忘れてしまったみたいにどうしていいかわからない。
どうしようどうしようどうしよう。
焦燥感ばかりが伊理穂の胸を支配する。
気まずい沈黙を破るように伊理穂はわざと声を明るくして言った。
一年生対上級生の試合は、花道の繰り出した脳天ダンクのせいでめちゃくちゃになって、結局途中で終わってしまった。
バイトでいない洋平のかわりに流川が送ると言ってくれて、今はその帰り道だった。
「…………」
明るく言う伊理穂とは対照的に、流川からは重い沈黙が返る。
「…………」
伊理穂もこれ以上他に言葉を持たなくて、しばらく二人黙ったまま歩いていると、ふいに流川が口を開いた。
「オイ、月瀬」
「は、はいっ!」
緊張で伊理穂の声が裏返る。
どうしよう。これじゃあ流川に変に思われてしまう。
(うう、どうして普通にできないの……? いつもどおりにするだけでいいのに……)
伊理穂は泣きたい気持ちで自分自身を罵った。
流川を好きだと気付いたあの試合の後から、伊理穂は流川に対して変な態度を取り続けてしまっていた。
赤くなった顔を見られたくなくてすぐに顔を逸らしてしまったり、わざと避けるような態度をとってしまったり、あからさまに無視をしてしまったり……。
普通にしなくちゃ普通にしなくちゃと思えば思うほど、どんどんどんどん自分の態度がぎこちなくなってしまう。
いまだって……。
「……。あんまりそっちに行くな。危ねー」
車道側を流川から不自然なほど離れて歩いていた伊理穂は、その言葉と同時に流川に腕をつかまれた。
「わっ」
流川は伊理穂を今まで自分が歩いていたほうに引き寄せると、今度は自分が車道側を歩き出した。
その少し不器用な優しさに、伊理穂の胸が大きく拍動する。
(流川くん……。わたしのこと庇ってくれたんだ……)
じんと伊理穂のからだに痺れるような感覚が広がる。
嬉しくて、なんだかくすぐったいような感じだ。
それまで二人の間にあった流川の自転車も、場所が入れ替わったことでなくなっている。
今はすぐ隣りが流川だ。
少し手を伸ばせば触れてしまうその距離に、伊理穂の心臓がとくとくと鼓動を早める。
「……月瀬」
「ななななに!?」
「…………。イヤ……」
流川は一瞬だけ眉を寄せると、すぐにいつもの表情に戻った。
まっすぐ前を向いて歩く流川の横顔を、伊理穂はそっと見上げる。
少しだけ、流川の表情に戸惑いの色が浮かんでいた。
伊理穂はそれを見つけて、小さく肩を落とす。
(どうしよう。こんな態度取って、流川くんに嫌われちゃう……!)
思ってもどうすることもできなかった。
今まで普通に接することができていた自分が信じられないくらいだ。
これまで自分がどんな風に流川と接していたのか、すべて忘れてしまったみたいにどうしていいかわからない。
どうしようどうしようどうしよう。
焦燥感ばかりが伊理穂の胸を支配する。