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「それって自慢できること?」
「自慢できることだよぉ! どんなに頭が良くったって、努力できない人は所詮追い抜かれる運命なのよっ。ウサギとカメ。結ちゃんもあの歌知ってるでしょ?」
「カメがウサギとレースして勝つやつでしょ。でもなんで歌? あれ昔話でしょ?」
「うん。でもお話よりも歌のほうが印象強いから。つまり、怠慢ウサギが洋平。堅実カメがわたしなの」
「ふうん。まあ、ウサギは怠慢で負けたわけじゃないけどね」
「努力を怠ったり相手を侮るのは怠慢でいいんですー」
「あっそ」
さらりと言う結子に、伊理穂がべーっと舌を出していると、
「あ、ねえねえ伊理穂ちゃん」
すぐそばで談笑をしていたクラスメートにふいに話しかけられた。
「ん?」
きょとんと振り返る伊理穂に、クラスメートは流川のほうをちらちらと気にしながら口を開く。
「ね。伊理穂ちゃんって、やっぱり7組の水戸くんと付き合ってるの?」
「えっ!?」
クラスメートの言葉に、伊理穂は驚いて声をあげた。
そんなこと初めて言われた。まわりからはそんな風に見えるのだろうか?
(もし、流川くんもそう思ってたら……?)
伊理穂は慌てて首を振る。
「ち、違うよ! なんで洋平と……っ」
「えー。だって、幼馴染みって言ったって普通はあんなに仲良くなんてないし、水戸くん、伊理穂ちゃんのことになると人が変わったように優しいから。伊理穂ちゃんも水戸くんのこと大好きなんでしょ? 朝だって水戸くんのために伊理穂ちゃん先生に歯向かうし、水戸くんだって伊理穂ちゃんのために先生に頭を下げるし、今だって勉強教えるのは自分の役目、みたいなこと言ってたから、もしかしてそうなのかなあって」
首を傾げるクラスメートに、伊理穂は大げさなくらい否定の声をあげる。
「ちがうちがうちがうちがうっ。洋平とはそういうんじゃないよ!」
「うそだあ。あ、わかった! 伊理穂ちゃんの片想いだ!?」
「ちがうってば!」
「じゃあ両想い!?」
「だからあ、そういうのじゃなくて!」
「えー、でも好きなんでしょ? 水戸くんのこと」
「そりゃ好きは好きだけど……」
「ほらー、やっぱりー!」
きゃああとクラスメートが騒ぎ出した。
伊理穂はそれを泣きたい気持ちで見つめる。どうしたらわかってくれるんだろう。同じ日本人のはずなのに、彼女たちには言葉がまるで通じない。
どうして女の子たちってこうなんだろう? 男女が仲良しだと付き合わなきゃいけないとでもいう法律でもあるんだろうか? なんでもかんでも恋愛感情を絡めるのはやめて欲しい。
(流川くんに誤解されちゃうよ……)
少しでも流川に洋平との仲を疑われたくなかった。
伊理穂は不安になってちらりと流川に視線を向けた。
流川は相変わらずノートと真剣ににらめっこしていて、こちらの様子になどまるで関心がないようだった。
(誤解どころか……なんとも思われてないのかも……)
流川の後頭部を見つめる伊理穂の胸がずきりと音を立てる。
(流川くんが優しいのはわたしのプレースタイルが好きだったからで、わたし自身はどうだっていいんだろうな……)
一瞬伊理穂の胸がつぶれたようになった。
さっきからちくちくと小さな針で心臓を突かれているような痛みが続いている。
流川になんとも思われていないなら、こんな風に必死になって弁解しなくてもいいのかもしれない。
「自慢できることだよぉ! どんなに頭が良くったって、努力できない人は所詮追い抜かれる運命なのよっ。ウサギとカメ。結ちゃんもあの歌知ってるでしょ?」
「カメがウサギとレースして勝つやつでしょ。でもなんで歌? あれ昔話でしょ?」
「うん。でもお話よりも歌のほうが印象強いから。つまり、怠慢ウサギが洋平。堅実カメがわたしなの」
「ふうん。まあ、ウサギは怠慢で負けたわけじゃないけどね」
「努力を怠ったり相手を侮るのは怠慢でいいんですー」
「あっそ」
さらりと言う結子に、伊理穂がべーっと舌を出していると、
「あ、ねえねえ伊理穂ちゃん」
すぐそばで談笑をしていたクラスメートにふいに話しかけられた。
「ん?」
きょとんと振り返る伊理穂に、クラスメートは流川のほうをちらちらと気にしながら口を開く。
「ね。伊理穂ちゃんって、やっぱり7組の水戸くんと付き合ってるの?」
「えっ!?」
クラスメートの言葉に、伊理穂は驚いて声をあげた。
そんなこと初めて言われた。まわりからはそんな風に見えるのだろうか?
(もし、流川くんもそう思ってたら……?)
伊理穂は慌てて首を振る。
「ち、違うよ! なんで洋平と……っ」
「えー。だって、幼馴染みって言ったって普通はあんなに仲良くなんてないし、水戸くん、伊理穂ちゃんのことになると人が変わったように優しいから。伊理穂ちゃんも水戸くんのこと大好きなんでしょ? 朝だって水戸くんのために伊理穂ちゃん先生に歯向かうし、水戸くんだって伊理穂ちゃんのために先生に頭を下げるし、今だって勉強教えるのは自分の役目、みたいなこと言ってたから、もしかしてそうなのかなあって」
首を傾げるクラスメートに、伊理穂は大げさなくらい否定の声をあげる。
「ちがうちがうちがうちがうっ。洋平とはそういうんじゃないよ!」
「うそだあ。あ、わかった! 伊理穂ちゃんの片想いだ!?」
「ちがうってば!」
「じゃあ両想い!?」
「だからあ、そういうのじゃなくて!」
「えー、でも好きなんでしょ? 水戸くんのこと」
「そりゃ好きは好きだけど……」
「ほらー、やっぱりー!」
きゃああとクラスメートが騒ぎ出した。
伊理穂はそれを泣きたい気持ちで見つめる。どうしたらわかってくれるんだろう。同じ日本人のはずなのに、彼女たちには言葉がまるで通じない。
どうして女の子たちってこうなんだろう? 男女が仲良しだと付き合わなきゃいけないとでもいう法律でもあるんだろうか? なんでもかんでも恋愛感情を絡めるのはやめて欲しい。
(流川くんに誤解されちゃうよ……)
少しでも流川に洋平との仲を疑われたくなかった。
伊理穂は不安になってちらりと流川に視線を向けた。
流川は相変わらずノートと真剣ににらめっこしていて、こちらの様子になどまるで関心がないようだった。
(誤解どころか……なんとも思われてないのかも……)
流川の後頭部を見つめる伊理穂の胸がずきりと音を立てる。
(流川くんが優しいのはわたしのプレースタイルが好きだったからで、わたし自身はどうだっていいんだろうな……)
一瞬伊理穂の胸がつぶれたようになった。
さっきからちくちくと小さな針で心臓を突かれているような痛みが続いている。
流川になんとも思われていないなら、こんな風に必死になって弁解しなくてもいいのかもしれない。