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「じゃあ水戸! お前が月瀬から離れればいいだろう! お前のせいで月瀬に変な噂が立っていることくらいわからんのか! ほんとうに月瀬のためを思うなら……」
「やめて!」
加藤の言葉に、それまで洋平の背中にすがりついて泣いていた伊理穂が顔をあげた。
キッと鋭い眼差しで加藤を見やる。
「勝手なこと言わないで! どうしてみんなそう言うの!? わたし、洋平といることでわたしのこと敬遠するような人たちなんてどうでもいいもん! うわべや人の流すウワサでしか人を判断できないような友達なんていらない! みんながそんな風に言うから洋平だって先生と同じように考えてわたしとあんまり付き合わないようにしてたのに、今までどおりにして欲しいって頼みこんだのはわたしなんだから! わたしは洋平といて困ったことなんて一度もない! 先生のエゴを押し付けないでよっ!」
伊理穂の言葉に、流川の胸が軋んだ。
伊理穂の洋平を想う気持ちが、嫌というほど伝わってきて痛い。
「伊理穂」
洋平が伊理穂を振り向いた。
泣き叫ぶ伊理穂の肩を、洋平がなだめる様に優しく掴む。
「やめろ、伊理穂。お前まで心証が悪くなるぞ」
「わたし何にも悪いこと言ってないもん!」
「だからってお前がオレのことで先生に歯向かうことねぇだろ? オレは言われたってしょうがねぇんだから」
「そんなことない! 洋平が優しいこと知ってるもん! 先生よりわたしの方が洋平のことよく知ってるもん! 洋平は優しいのに、なのに……!」
「伊理穂」
洋平が優しく瞳を細めて伊理穂を見た。
その眼差しに、流川の胸が波風を立てる。
見つめあう二人の絆の強さを思い知って、圧倒される。
「伊理穂、いいよ。オレは別に先生にわかってもらおうなんて思っちゃいねえ。だからお前がそんな風に怒ることないんだ」
「よ、よーへー」
「オレは伊理穂にわかってもらってりゃあ充分だから。な? だからそんな風に泣いて怒るなよ。先生につっかかったりするな。お前はいい子なんだから」
「だけど、洋平……!」
洋平はまだ言い募る伊理穂を笑顔で制すると、加藤に向き直っておもむろにその頭を下げた。
加藤のみならず、その光景を見ていた全員が驚いて息を呑む。
流川も例にもれずその瞳を見開いた。
驚いた。まさか不良と名高い洋平が、先生に頭を下げるなんて。
(月瀬のためだからか……?)
洋平を見る流川の胸が、苦しいような悔しいような、複雑な思いに支配される。
「先生、お願いします。どうか伊理穂のことを見放さないでやってください。かわりに、オレが罰を受けますから」
シンと水を打ったように静まる校舎に、洋平の澄んだ声が響く。
加藤はそれにハッと我に返ると、気まずさを隠すように一度咳払いをして、ぶっきらぼうに言い放った。
「ふ、ふん。今回のことはわたしも悪かった。だからお咎めはなしだ」
「ありがとうございます」
頭を深々と下げる洋平。その後ろで涙を流す伊理穂を見て、加藤が口を開く。
「水戸。……それから月瀬。偏見でものを言って悪かったな」
「先生……」
「ただし、水戸! だからってお前の素行を全て許したわけじゃないぞ! ケンカは許さんしサボりもその髪型も許さん! それは肝に銘じておけ!」
「はは。はい」
加藤はそれだけ言うと、好奇の視線を向けてくる生徒たちを叱り飛ばしながら去っていった。
窓の奥では、まだ泣きじゃくる伊理穂を洋平がなだめている。
「…………」
流川はそれを見てきりきり痛む胸からふうと長く息を吐き出した。
伊理穂の、洋平を信頼しきった瞳を見るのがたまらなくつらかった。
「やめて!」
加藤の言葉に、それまで洋平の背中にすがりついて泣いていた伊理穂が顔をあげた。
キッと鋭い眼差しで加藤を見やる。
「勝手なこと言わないで! どうしてみんなそう言うの!? わたし、洋平といることでわたしのこと敬遠するような人たちなんてどうでもいいもん! うわべや人の流すウワサでしか人を判断できないような友達なんていらない! みんながそんな風に言うから洋平だって先生と同じように考えてわたしとあんまり付き合わないようにしてたのに、今までどおりにして欲しいって頼みこんだのはわたしなんだから! わたしは洋平といて困ったことなんて一度もない! 先生のエゴを押し付けないでよっ!」
伊理穂の言葉に、流川の胸が軋んだ。
伊理穂の洋平を想う気持ちが、嫌というほど伝わってきて痛い。
「伊理穂」
洋平が伊理穂を振り向いた。
泣き叫ぶ伊理穂の肩を、洋平がなだめる様に優しく掴む。
「やめろ、伊理穂。お前まで心証が悪くなるぞ」
「わたし何にも悪いこと言ってないもん!」
「だからってお前がオレのことで先生に歯向かうことねぇだろ? オレは言われたってしょうがねぇんだから」
「そんなことない! 洋平が優しいこと知ってるもん! 先生よりわたしの方が洋平のことよく知ってるもん! 洋平は優しいのに、なのに……!」
「伊理穂」
洋平が優しく瞳を細めて伊理穂を見た。
その眼差しに、流川の胸が波風を立てる。
見つめあう二人の絆の強さを思い知って、圧倒される。
「伊理穂、いいよ。オレは別に先生にわかってもらおうなんて思っちゃいねえ。だからお前がそんな風に怒ることないんだ」
「よ、よーへー」
「オレは伊理穂にわかってもらってりゃあ充分だから。な? だからそんな風に泣いて怒るなよ。先生につっかかったりするな。お前はいい子なんだから」
「だけど、洋平……!」
洋平はまだ言い募る伊理穂を笑顔で制すると、加藤に向き直っておもむろにその頭を下げた。
加藤のみならず、その光景を見ていた全員が驚いて息を呑む。
流川も例にもれずその瞳を見開いた。
驚いた。まさか不良と名高い洋平が、先生に頭を下げるなんて。
(月瀬のためだからか……?)
洋平を見る流川の胸が、苦しいような悔しいような、複雑な思いに支配される。
「先生、お願いします。どうか伊理穂のことを見放さないでやってください。かわりに、オレが罰を受けますから」
シンと水を打ったように静まる校舎に、洋平の澄んだ声が響く。
加藤はそれにハッと我に返ると、気まずさを隠すように一度咳払いをして、ぶっきらぼうに言い放った。
「ふ、ふん。今回のことはわたしも悪かった。だからお咎めはなしだ」
「ありがとうございます」
頭を深々と下げる洋平。その後ろで涙を流す伊理穂を見て、加藤が口を開く。
「水戸。……それから月瀬。偏見でものを言って悪かったな」
「先生……」
「ただし、水戸! だからってお前の素行を全て許したわけじゃないぞ! ケンカは許さんしサボりもその髪型も許さん! それは肝に銘じておけ!」
「はは。はい」
加藤はそれだけ言うと、好奇の視線を向けてくる生徒たちを叱り飛ばしながら去っていった。
窓の奥では、まだ泣きじゃくる伊理穂を洋平がなだめている。
「…………」
流川はそれを見てきりきり痛む胸からふうと長く息を吐き出した。
伊理穂の、洋平を信頼しきった瞳を見るのがたまらなくつらかった。