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「ねえ、洋平。この気持ち、なんなのかなあ……?」
「…………」
無邪気に問いかけてくる伊理穂に、洋平の胸が握りつぶされたように苦しくなった。
呼吸のたんびにその痛みが全身に広がって泣きたくなるほどだ。
洋平は奥歯を噛み締めてその感情を押し殺すと、伊理穂の頭をそっと撫でた。
心の痛みを悟られないように、意識的に優しく微笑む。
「その質問を、オレにするかねえ……」
「え?」
「なんでもねぇよ」
「洋平?」
不思議そうに見つめてくる伊理穂の視線を笑顔でかわして、洋平はゆっくりと口を開く。
「なあ、伊理穂」
「うん?」
「オレはその感情がなんなのか知ってる」
「うん」
「それを伊理穂に教えてやるのは簡単だ」
「……うん」
「だけど、その気持ちは大切なものだから、自分で気付かなきゃダメだ、伊理穂。……焦らなくて大丈夫だから、自分でちゃんと考えてみな? どういうときにそういう気持ちになるのか。流川のときだけなのか。それとも他の人にも同じ気持ちになるのか」
しゃべりながら、洋平は自分の口許に自嘲が浮かぶのを感じた。
なんで、こんなことを言ってるんだろう。
どうしてこんな、二人を後押しするようなことを。
洋平の顔が思わず泣きそうに歪む。
でもだけど、伊理穂が大切だから。――幸せに、なって欲しいから。だから。
洋平はきりきり痛む肺に無理矢理酸素を押し込んで、言葉を吐き出した。
「それがわかったとき、きっとその気持ちの名前がわかるよ」
「……うん。わかった。ゆっくり、考えてみる」
「――ああ」
「ありがとう、洋平」
「おう」
にこりと薄く微笑むと、伊理穂は安心したように笑って瞳を閉じた。
やがて聞こえてくる規則正しい寝息。
洋平は、伊理穂の唇をそっと親指の腹で撫でた。
「伊理穂……」
自分の声が、ひどく切なく部屋に響き渡る。
洋平は自嘲気味に笑うと、自分も目を閉じた。
伊理穂が一生その気持ちに気付かなければいいのに。
祈りにも似た感情で、そう願いながら……。
To be continued…
「…………」
無邪気に問いかけてくる伊理穂に、洋平の胸が握りつぶされたように苦しくなった。
呼吸のたんびにその痛みが全身に広がって泣きたくなるほどだ。
洋平は奥歯を噛み締めてその感情を押し殺すと、伊理穂の頭をそっと撫でた。
心の痛みを悟られないように、意識的に優しく微笑む。
「その質問を、オレにするかねえ……」
「え?」
「なんでもねぇよ」
「洋平?」
不思議そうに見つめてくる伊理穂の視線を笑顔でかわして、洋平はゆっくりと口を開く。
「なあ、伊理穂」
「うん?」
「オレはその感情がなんなのか知ってる」
「うん」
「それを伊理穂に教えてやるのは簡単だ」
「……うん」
「だけど、その気持ちは大切なものだから、自分で気付かなきゃダメだ、伊理穂。……焦らなくて大丈夫だから、自分でちゃんと考えてみな? どういうときにそういう気持ちになるのか。流川のときだけなのか。それとも他の人にも同じ気持ちになるのか」
しゃべりながら、洋平は自分の口許に自嘲が浮かぶのを感じた。
なんで、こんなことを言ってるんだろう。
どうしてこんな、二人を後押しするようなことを。
洋平の顔が思わず泣きそうに歪む。
でもだけど、伊理穂が大切だから。――幸せに、なって欲しいから。だから。
洋平はきりきり痛む肺に無理矢理酸素を押し込んで、言葉を吐き出した。
「それがわかったとき、きっとその気持ちの名前がわかるよ」
「……うん。わかった。ゆっくり、考えてみる」
「――ああ」
「ありがとう、洋平」
「おう」
にこりと薄く微笑むと、伊理穂は安心したように笑って瞳を閉じた。
やがて聞こえてくる規則正しい寝息。
洋平は、伊理穂の唇をそっと親指の腹で撫でた。
「伊理穂……」
自分の声が、ひどく切なく部屋に響き渡る。
洋平は自嘲気味に笑うと、自分も目を閉じた。
伊理穂が一生その気持ちに気付かなければいいのに。
祈りにも似た感情で、そう願いながら……。
To be continued…