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「行くぞ」
「あーもう、しょうがねえなー花道のやつー」
大楠たちは口々に文句を言いながら起き上がった。
伊理穂はそんな彼らから氷嚢を受け取ると、体育館を出て行く洋平の背中に声を投げる。
「洋平!」
「ん?」
振り返る洋平を、伊理穂はすがるようにじっと見つめる。
(花道のことよろしくね……)
その思いが伝わったのか、洋平はにっと口の端を持ち上げて見せた。
「待ってろよ、伊理穂」
「うん」
頷く伊理穂に背を向けて、洋平は体育館を去って行く。
その背中をじっと見送っていると、ふいに流川に声をかけられた。
「月瀬」
「ん?」
「追いかけなくていーのか?」
「花道? あー、いいのいいの。洋平に任せておけばだいじょーぶ!」
「…………」
伊理穂の言葉に、流川が瞳をきつく細めた。
その反応に伊理穂が内心で首をかしげていると、近くにいた晴子が口を挟んできた。
「そんな……だって伊理穂ちゃん、桜木くんと仲が良いのに……!」
幾分非難の色のこもる晴子の声音に、伊理穂は困ったように眉根を寄せる。
「んー、確かに仲はいいけど……。でもそれとこれとは別じゃない?」
「どうして?」
「どうしてって……」
伊理穂は困ったような微笑を浮かべていた顔を引き締めると、真摯に晴子を見つめた。
伊理穂のその真剣な表情があまりに綺麗で、それを見た晴子と流川が、ハッと息を呑んだようになる。
「やりたくないならやめればいい。部活なんて誰かに強制されてやるようなものじゃないもん」
「そ、それはそうだけど……! でもそんなのって、伊理穂ちゃん冷たい」
まるで切り離すように言い放つ伊理穂に、晴子が怒ったように反論した。
伊理穂はなんでそんなことを言われるのかわからないといった表情で静かに首を傾げる。
「冷たい? どうして? わたしはバスケが大好きなの。だから中途半端にやってるのは許せない。それに花道は友達だから、余計に自分が心からやりたいと思ってることをやって欲しいと思うだけだよ。やりたいなら戻ってくるし、わたしは花道は戻ってくるって信じてる。ただそれだけ」
「で、でも……!」
まだ言い募ろうとする晴子を、赤木が止めた。
「やめろ晴子。月瀬の言うとおりだ。最近のやつはちょっと厳しくするとすぐガマンできなくなって逃げ出す。これで戻ってこなければ、しょせん桜木もそいつらと一緒だったってことだ」
「桜木くんは違う!」
晴子が決然と言い放った。
伊理穂はそれを少し、意外な気持ちで見つめた。
大人しい晴子がこんな風にはっきりと意思を言うなんて。
「わたし、桜木くんを探してくる!」
言うと、晴子は駆け出していった。
花道の気持ちを知っている伊理穂は、それを見て思わず頬を緩めた。
花道の想い人が、花道のことを大切に想ってくれていることがわかって、嬉しかった。
「よかったね、花道」
微笑んでいると、
「月瀬」
ふいに流川が伊理穂の名前を呼んだ。
「あーもう、しょうがねえなー花道のやつー」
大楠たちは口々に文句を言いながら起き上がった。
伊理穂はそんな彼らから氷嚢を受け取ると、体育館を出て行く洋平の背中に声を投げる。
「洋平!」
「ん?」
振り返る洋平を、伊理穂はすがるようにじっと見つめる。
(花道のことよろしくね……)
その思いが伝わったのか、洋平はにっと口の端を持ち上げて見せた。
「待ってろよ、伊理穂」
「うん」
頷く伊理穂に背を向けて、洋平は体育館を去って行く。
その背中をじっと見送っていると、ふいに流川に声をかけられた。
「月瀬」
「ん?」
「追いかけなくていーのか?」
「花道? あー、いいのいいの。洋平に任せておけばだいじょーぶ!」
「…………」
伊理穂の言葉に、流川が瞳をきつく細めた。
その反応に伊理穂が内心で首をかしげていると、近くにいた晴子が口を挟んできた。
「そんな……だって伊理穂ちゃん、桜木くんと仲が良いのに……!」
幾分非難の色のこもる晴子の声音に、伊理穂は困ったように眉根を寄せる。
「んー、確かに仲はいいけど……。でもそれとこれとは別じゃない?」
「どうして?」
「どうしてって……」
伊理穂は困ったような微笑を浮かべていた顔を引き締めると、真摯に晴子を見つめた。
伊理穂のその真剣な表情があまりに綺麗で、それを見た晴子と流川が、ハッと息を呑んだようになる。
「やりたくないならやめればいい。部活なんて誰かに強制されてやるようなものじゃないもん」
「そ、それはそうだけど……! でもそんなのって、伊理穂ちゃん冷たい」
まるで切り離すように言い放つ伊理穂に、晴子が怒ったように反論した。
伊理穂はなんでそんなことを言われるのかわからないといった表情で静かに首を傾げる。
「冷たい? どうして? わたしはバスケが大好きなの。だから中途半端にやってるのは許せない。それに花道は友達だから、余計に自分が心からやりたいと思ってることをやって欲しいと思うだけだよ。やりたいなら戻ってくるし、わたしは花道は戻ってくるって信じてる。ただそれだけ」
「で、でも……!」
まだ言い募ろうとする晴子を、赤木が止めた。
「やめろ晴子。月瀬の言うとおりだ。最近のやつはちょっと厳しくするとすぐガマンできなくなって逃げ出す。これで戻ってこなければ、しょせん桜木もそいつらと一緒だったってことだ」
「桜木くんは違う!」
晴子が決然と言い放った。
伊理穂はそれを少し、意外な気持ちで見つめた。
大人しい晴子がこんな風にはっきりと意思を言うなんて。
「わたし、桜木くんを探してくる!」
言うと、晴子は駆け出していった。
花道の気持ちを知っている伊理穂は、それを見て思わず頬を緩めた。
花道の想い人が、花道のことを大切に想ってくれていることがわかって、嬉しかった。
「よかったね、花道」
微笑んでいると、
「月瀬」
ふいに流川が伊理穂の名前を呼んだ。