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伊理穂に止められるわけがない。
部員たちの悲鳴をバックミュージックに伊理穂は氷嚢を四つ持ってくると、高宮、野間、大楠のおでこに乗せていった。
最後に洋平のおでこに氷嚢を当てる。
「冷たい?」
「ん、大丈夫。サンキューな、伊理穂」
「うん」
平和な会話をしているところに、晴子が血相を変えてやってきた。
「洋平くん、お願いやめさせて! お願い!」
必死に懇願する晴子に、伊理穂は苦笑する。
「ムリムリ。止めたいのはやまやまだけど、ご覧の通りだよ、晴子ちゃん」
「でも……!」
伊理穂の言葉に戸惑う晴子。
そのとき体育館に新たな音が響いた。
視線を向けると、花道が赤木によって蹴り倒されていた。
「おお、修羅場……」
呑気な呟きを零す伊理穂をよそに、赤木の呻くような怒号が響き渡る。
「このバカもんが! キサマはスポーツというもんが全然わかっとらん! 基本がどれほど大事かわからんのか! ダンクができようが何だろうが、基本を知らん奴は試合になったら何もできやしねーんだ!」
「うん、正論だね」
洋平のおでこを冷やしながら、伊理穂は赤木の言葉にひとり呟き返す。
大事だからこそ、基礎練習がある。
それをおろそかにするようでは、どんな大器もけっして実ることはない。
(花道にそれがわかるかな……)
伊理穂は花道を見つめた。
伊理穂の気持ちとは裏腹に、花道は視線の先で赤木にめいっぱいの頭突きをくらわせた。
「あららあ……」
ため息を零す伊理穂の耳に、花道の叫びが届く。
「くっそう! オレはスラムダンクがやりたいんだよ! やらせてくれたっていいだろ!」
花道はやりきれないようにそう言うと、体育館の出口へと歩いていった。
こんなつまんねー部はもうやめる。そんな呟きを最後に花道は体育館を後にする。
(ほんとうにやめちゃうの、花道……?)
図るような眼差しを向けて、伊理穂はじっとそれを見つめた。
その手の下で、洋平が身を起こす。
「花道、出て行ったのか?」
「うん。つまんねーからやめる、だって」
引き止める部員たちに振り返りもせずに、花道は出て行ってしまった。
伊理穂はやれやれというように肩を竦めてみせる。
「…………。まあ、ちょっと前まで不良だったもんなあ」
「今も充分不良だけどね」
「はは。そう簡単に変わるわけねぇよな」
「だよねえ」
「ったく。世話が焼けるよなあ、ほんと」
言うと洋平は立ち上がった。
「オラ、オメーらいつまで寝てんだ」
まだ転がっていた大楠たちを軽く蹴ると、洋平は顎で外を示しながら言う。
部員たちの悲鳴をバックミュージックに伊理穂は氷嚢を四つ持ってくると、高宮、野間、大楠のおでこに乗せていった。
最後に洋平のおでこに氷嚢を当てる。
「冷たい?」
「ん、大丈夫。サンキューな、伊理穂」
「うん」
平和な会話をしているところに、晴子が血相を変えてやってきた。
「洋平くん、お願いやめさせて! お願い!」
必死に懇願する晴子に、伊理穂は苦笑する。
「ムリムリ。止めたいのはやまやまだけど、ご覧の通りだよ、晴子ちゃん」
「でも……!」
伊理穂の言葉に戸惑う晴子。
そのとき体育館に新たな音が響いた。
視線を向けると、花道が赤木によって蹴り倒されていた。
「おお、修羅場……」
呑気な呟きを零す伊理穂をよそに、赤木の呻くような怒号が響き渡る。
「このバカもんが! キサマはスポーツというもんが全然わかっとらん! 基本がどれほど大事かわからんのか! ダンクができようが何だろうが、基本を知らん奴は試合になったら何もできやしねーんだ!」
「うん、正論だね」
洋平のおでこを冷やしながら、伊理穂は赤木の言葉にひとり呟き返す。
大事だからこそ、基礎練習がある。
それをおろそかにするようでは、どんな大器もけっして実ることはない。
(花道にそれがわかるかな……)
伊理穂は花道を見つめた。
伊理穂の気持ちとは裏腹に、花道は視線の先で赤木にめいっぱいの頭突きをくらわせた。
「あららあ……」
ため息を零す伊理穂の耳に、花道の叫びが届く。
「くっそう! オレはスラムダンクがやりたいんだよ! やらせてくれたっていいだろ!」
花道はやりきれないようにそう言うと、体育館の出口へと歩いていった。
こんなつまんねー部はもうやめる。そんな呟きを最後に花道は体育館を後にする。
(ほんとうにやめちゃうの、花道……?)
図るような眼差しを向けて、伊理穂はじっとそれを見つめた。
その手の下で、洋平が身を起こす。
「花道、出て行ったのか?」
「うん。つまんねーからやめる、だって」
引き止める部員たちに振り返りもせずに、花道は出て行ってしまった。
伊理穂はやれやれというように肩を竦めてみせる。
「…………。まあ、ちょっと前まで不良だったもんなあ」
「今も充分不良だけどね」
「はは。そう簡単に変わるわけねぇよな」
「だよねえ」
「ったく。世話が焼けるよなあ、ほんと」
言うと洋平は立ち上がった。
「オラ、オメーらいつまで寝てんだ」
まだ転がっていた大楠たちを軽く蹴ると、洋平は顎で外を示しながら言う。