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(な、なんておバカなの花道!)
そんなの再びふさがれるに決まってるじゃないか。
案の定赤木は体を横にスライドさせて、花道の行く手を遮る。
「…………」
再びの沈黙の後、右へ左へと攻防を繰り返し、最終的には赤木の足の下を潜り抜けようとしたところを、足を掴まれ捕獲された。
バランスを崩した花道が勢い良く体育館の床に額を打ち付けた音が響き渡る。
それを見ていた伊理穂はあちゃーと顔を押さえた。
「うわ……。これは、やばい……よね?」
伊理穂の呟きに、流川が寄って来る。
「ヤバイ?」
「うん。花道怒るよ。どうしよう、洋平いるかな」
思って体育館を見渡すと、足元の小窓の中のひとつに、洋平たちの姿を見つけた。
伊理穂と同じく花道の様子に危機感を覚え、すわと腰を浮かせている。
伊理穂はそれを見てホッと息をついた。
「あ、いたいた。これで大丈夫かな」
「ふんぬー!」
言いかけたところで、花道が勢い良く起き上がった。
「わ!」
「む」
伊理穂と流川は、その大声に反射的に身を引いた。
花道の目は怒りに染まっている。
アレは、完全に切れているときの花道だ。
「なんっでオレばっかりスミッコでダムダムやってなきゃならねーんだ! もーガマンできん!」
「それはオメーがヘタクソだから」
花道の叫びに、流川が伊理穂の横でぽつりと呟いた。
伊理穂はそれを慌てたように制止する。
「うわっ。流川くんしーっ、しーっ! せっかく今花道こっちに注目してないのに、気付かれたら大変だよ!」
「……ワルイ」
「ちょっと身を潜めてよう、流川くん。火の粉がかかるのは絶対イヤ!」
真剣な顔で言う伊理穂。それを見て、流川がおかしさを堪えるように小さく笑った。
「!」
伊理穂の心臓が飛び跳ねる。
しかしそれも一瞬のことで、流川はすぐに表情を元に戻すと、こくりと頷いた。
「わかった」
前を向く流川。その整った横顔に、伊理穂の胸がどきどきと忙しなく拍動する。
と、頬を薄く染める伊理穂の耳に、にぶい音が四つ届いた。
驚いてそちらに目をやると、洋平たち桜木軍団がおでこを赤くはれ上がらせて仲良く倒れこんでいた。
「洋平!」
伊理穂は洋平のもとへと駆け寄ると、そのおでこにそっと触れる。
洋平が痛そうに顔をしかめた。
「うわあ、熱持っちゃってる……。洋平、大丈夫?」
「見りゃわかるでしょ、伊理穂チャン」
「だよね……。ちょっと待ってて、氷持ってくるから」
遠くで花道が暴れているけれど、もう伊理穂は我関せずを決めた。
洋平たち桜木軍団でさえ止められないのだ。