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その中に晴子の顔を見つけて、伊理穂はさらに胸が重く沈んだ気持ちになる。

「ねえ、花道。晴子ちゃんて、流川くんのことが好きなんだよねえ……?」
「ああ!?」

無意識で零した呟きに、花道が両の眉毛を凶悪に吊り上げた。
ただでさえ流川に浴びせられる歓声の数にイライラしていたらしい花道を、余計刺激してしまったらしい。

「うわわ、花道ゴメン!」

慌てて謝るが、今の花道には届いていない。
立ち上がった花道に40㎝上から見下ろされて、思わず伊理穂は後ずさった。
友達とはいえ、花道はこの辺りを占める桜木軍団の頭。さすがに凄まれれば怖い。

「なんだ伊理穂! お前までそんなこと言うのか!? オレはあの狐に敵わないとでも!?」
「わー、そんなこと言ってないでしょお!?」
「だいたい伊理穂伊理穂だ! あんな性悪キツネと仲良くしやがって……!」
「だって同じクラスだし、ずっと憧れてたもん!」
「な~に~!?」
「わー! しまった、うっかり失言!」

後ずさる伊理穂のかかとが、体育館の壁にぶつかった。
逃げ場のなくなった伊理穂に覆いかぶさるように、花道が表情を怒らせて両手を挙げる。

伊〜理〜穂〜!」
「きゃあ!」
(頭突きされる!?)

咄嗟にしゃがみ込んで頭を庇ったときだった。
ぴったり背中をくっつけた体育館の壁から、にぶい衝撃音が伝わってきた。
驚いて顔をあげると、花道が伊理穂の真上の壁に、頭から突っ込んでいた。

「え? え?」

わけがわからず混乱していると、そのままずりずり倒れこんでくる花道の下から庇うようにして、誰かに引っ張りだされた。

「大丈夫か、月瀬?」
「流川くん!」

どうやら伊理穂の窮地に気付いた流川が、花道のお尻を蹴飛ばして伊理穂を救い出してくれたらしい。
あのままだったら花道に頭突きを喰らっていたかもしれなかった。
伊理穂はその考えに一瞬身を震わせて立ち上がると、神妙な表情でおでこを押さえながら、流川にお礼を言った。

「ありがとう、流川くん。おかげでおでこが守られたよ」
「おでこ……?」
「花道の頭突きは痛いんだよ! まだされたことないけど」
「ふうん?」

首を傾げる流川に、意識を取り戻した花道が突っかかった。

「テメー、ルカワァア! なにしやがるー!」
「オメーこそ月瀬になにしてやがる」
「オレが伊理穂に何をしようがオマエにはカンケーねーだろルカワコラァァア!」

言いながら花道が拳を振り上げたのを見て、伊理穂が慌ててその腕にすがりついた。

「うわあ、花道ストップストップ! 殴っちゃダメだってば!」
「ぐああ離せ伊理穂! 殴らなければ気がおさまらーん!」
「だめだってば花道! わたしが悪かったから! ね?」
「……はぁ」

駄々っ子のように暴れる花道を見て流川はわざとらしくため息をついた。
それを見てさらにヒートアップする花道を流川は冷たく一瞥すると、切り替えるように伊理穂に向き直る。

月瀬。タオルとドリンクくれ」
「ドリンク? うんわかった、取ってくるからちょっと待っててね」
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