終
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強く押さえつけていた手を離して、優しく耳に手をかける。
唇をついばみながら、耳朶をくすぐるように撫でると、伊理穂のからだがびくりと震えた。
洋平の胸が溢れ返る愛しさで締めつけられる。
「伊理穂……好きだ……」
少しでも気持ちが伝わるように、めちゃくちゃにしたい欲望を必死で抑えて、できる限り優しく口づけた。
伊理穂のからだから段々力が抜けていって、洋平のキスに次第に反応を返すようになる。
伊理穂の頬がすっかり紅潮したのを見ると、洋平はそっと行為をやめた。
伊理穂のおでこに額をつけ、泣き出しそうな気持ちを抑えて、伊理穂の大きくて澄んだ栗色の瞳をじっと見つめる。
「伊理穂……。今さら……お前のことが好きだなんて……信じて欲しいなんて……ムシがよすぎるよな。……お前のこと、あんだけ傷つけて……泣かせて……」
そこまで言って、耐え切れなかった涙がひとしずく、洋平の瞳から零れた。
伊理穂が驚いたようにハッと目を瞠る。
「ようへ……? 泣いてるの……?」
伊理穂の小さな手が、おそるおそる洋平の頬に伸ばされた。
ゆっくりと確かめるように、伊理穂が涙の流れた跡をなぞる。
「洋平……」
そこが濡れているのを確認して、伊理穂が自分も泣きそうに瞳を潤ませて洋平を見上げてきた。
洋平は頬に添えられた伊理穂の手を取ると、伊理穂の瞳から逃げるように、きつく目を閉じる。
ぽたぽたと、幾筋かの涙が再び頬をすべる。
伊理穂が息を呑む音が聞こえた。
「伊理穂……好きなんだ。お前のことが好きで、好きで、好きでどうしようもなくて……。そんなオレの気持ちに気づきもしねぇでくっついてくるお前が可愛くて大切で、同時に、いつか……いつかオレが、お前を壊しちまうんじゃねぇかって、すげえ……怖かった」
「洋平……」
「お前が、オレを幼馴染みとしてしか見てないことはわかってる。だけど、オレはそれでもよかったんだ。お前のそばにいられるのなら……お前が必要としてくれるのなら……ただの幼馴染みでもよかった。お前が流川と付き合いだしても……少し距離を置けば、そうすれば大丈夫だと思ったんだ。そうすれば、オレが嫉妬に狂ってお前をめちゃくちゃにしちまうこともないだろうし、幼馴染みとしてそのままそばにいられると思った。だけど、お前はオレと距離を置こうともしねぇし、なによりも、流川が……っ」
喉元に嗚咽が迫ってきて、ぐっと洋平の言葉が詰まった。
「……楓くんが?」
「オレと……お前の関係に……っ、苦しめられてるのを知って……! お前の、オレへの依存心を知ったら、もうどうしようもなかった……! オレの存在が、お前の幸せを壊す引き金になるってわかったら、もうどうしようもなかったんだ。だから……うそ、ついた。オレにはお前しかいねぇのに、お前が……オレのすべてなのに……」
洋平は伊理穂の頬をゆっくりと撫でた。
伊理穂の瞳から涙が零れる。
自分の瞳からも新しい涙が流れるのを感じながら、洋平は伊理穂の涙を親指の腹で拭った。
伊理穂の前で泣くなんて情けないと思ったけれど、もうそんなのどうでもよかった。
とにかく伊理穂に少しでも自分のほんとうの気持ちを伝えたかった。
嫌いだというほうが嘘で、好きなのだというほうが真実だと、ほんの少しでもいいから伝わって欲しかった。
「愛してるのに――嫌いだって……言って……! お前がもう二度と、オレに近づいたりしねぇように……思いつく限り、ひでぇこと言って……! そうすれば、お前が流川と……幸せになれると……思ったんだ……! なのに、伊理穂。お前、流川と別れたんだろ……?」
「!!」
伊理穂の瞳が愕然と見開かれた。
洋平の胸に狂おしいくらいの切なさが駆け巡る。
洋平は衝動のままに、動きを止めた伊理穂の体を優しく抱きしめた。
頭に頬を寄せて、やわらかい伊理穂の髪を梳くように撫でる。
「気づいてやれねぇで……それどころかさらに傷つけるようなこと言って……ほんとうにごめんな……? 別れたって知って、お前がひとりで苦しんでるのかと思ったら、心配で心配で、気が狂いそうだった」
唇をついばみながら、耳朶をくすぐるように撫でると、伊理穂のからだがびくりと震えた。
洋平の胸が溢れ返る愛しさで締めつけられる。
「伊理穂……好きだ……」
少しでも気持ちが伝わるように、めちゃくちゃにしたい欲望を必死で抑えて、できる限り優しく口づけた。
伊理穂のからだから段々力が抜けていって、洋平のキスに次第に反応を返すようになる。
伊理穂の頬がすっかり紅潮したのを見ると、洋平はそっと行為をやめた。
伊理穂のおでこに額をつけ、泣き出しそうな気持ちを抑えて、伊理穂の大きくて澄んだ栗色の瞳をじっと見つめる。
「伊理穂……。今さら……お前のことが好きだなんて……信じて欲しいなんて……ムシがよすぎるよな。……お前のこと、あんだけ傷つけて……泣かせて……」
そこまで言って、耐え切れなかった涙がひとしずく、洋平の瞳から零れた。
伊理穂が驚いたようにハッと目を瞠る。
「ようへ……? 泣いてるの……?」
伊理穂の小さな手が、おそるおそる洋平の頬に伸ばされた。
ゆっくりと確かめるように、伊理穂が涙の流れた跡をなぞる。
「洋平……」
そこが濡れているのを確認して、伊理穂が自分も泣きそうに瞳を潤ませて洋平を見上げてきた。
洋平は頬に添えられた伊理穂の手を取ると、伊理穂の瞳から逃げるように、きつく目を閉じる。
ぽたぽたと、幾筋かの涙が再び頬をすべる。
伊理穂が息を呑む音が聞こえた。
「伊理穂……好きなんだ。お前のことが好きで、好きで、好きでどうしようもなくて……。そんなオレの気持ちに気づきもしねぇでくっついてくるお前が可愛くて大切で、同時に、いつか……いつかオレが、お前を壊しちまうんじゃねぇかって、すげえ……怖かった」
「洋平……」
「お前が、オレを幼馴染みとしてしか見てないことはわかってる。だけど、オレはそれでもよかったんだ。お前のそばにいられるのなら……お前が必要としてくれるのなら……ただの幼馴染みでもよかった。お前が流川と付き合いだしても……少し距離を置けば、そうすれば大丈夫だと思ったんだ。そうすれば、オレが嫉妬に狂ってお前をめちゃくちゃにしちまうこともないだろうし、幼馴染みとしてそのままそばにいられると思った。だけど、お前はオレと距離を置こうともしねぇし、なによりも、流川が……っ」
喉元に嗚咽が迫ってきて、ぐっと洋平の言葉が詰まった。
「……楓くんが?」
「オレと……お前の関係に……っ、苦しめられてるのを知って……! お前の、オレへの依存心を知ったら、もうどうしようもなかった……! オレの存在が、お前の幸せを壊す引き金になるってわかったら、もうどうしようもなかったんだ。だから……うそ、ついた。オレにはお前しかいねぇのに、お前が……オレのすべてなのに……」
洋平は伊理穂の頬をゆっくりと撫でた。
伊理穂の瞳から涙が零れる。
自分の瞳からも新しい涙が流れるのを感じながら、洋平は伊理穂の涙を親指の腹で拭った。
伊理穂の前で泣くなんて情けないと思ったけれど、もうそんなのどうでもよかった。
とにかく伊理穂に少しでも自分のほんとうの気持ちを伝えたかった。
嫌いだというほうが嘘で、好きなのだというほうが真実だと、ほんの少しでもいいから伝わって欲しかった。
「愛してるのに――嫌いだって……言って……! お前がもう二度と、オレに近づいたりしねぇように……思いつく限り、ひでぇこと言って……! そうすれば、お前が流川と……幸せになれると……思ったんだ……! なのに、伊理穂。お前、流川と別れたんだろ……?」
「!!」
伊理穂の瞳が愕然と見開かれた。
洋平の胸に狂おしいくらいの切なさが駆け巡る。
洋平は衝動のままに、動きを止めた伊理穂の体を優しく抱きしめた。
頭に頬を寄せて、やわらかい伊理穂の髪を梳くように撫でる。
「気づいてやれねぇで……それどころかさらに傷つけるようなこと言って……ほんとうにごめんな……? 別れたって知って、お前がひとりで苦しんでるのかと思ったら、心配で心配で、気が狂いそうだった」