終
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思わず声をあげるがもう遅い。
「もしもし、ちどり壮です。……おお! 洋平!」
花道は平然と電話に出ると、すぐに驚きの声をあげた。
花道の口から出たその名前に、伊理穂の体がびくりと強張る。
(洋平?)
流川もその名前にぴくりと眉を動かすと、花道をじっと見つめた。
「どうしたんだよ、洋平! よくここの電話番号わかったな!」
わははと笑いながら、花道が大声で話している。
仲間想いの洋平のことだ。きっと、明日試合の花道に、何か一言言葉をかけようと思ったんだろう。
聞こえるわけがないのに、少しでも洋平の声が聞こえないかと耳を澄ましてしまう自分に心底嫌気が差して、伊理穂はその場を立とうとした。
だけど、その腕を流川につかまれる。
「か、楓くん……?」
「座ってろ」
「あ、でも明日もあるし……もう寝ようかなって」
「伊理穂。いいから」
有無を言わさぬ流川の強い調子に、伊理穂はしぶしぶと腰を降ろした。
そこへ通話中のはずの花道がやってくる。
「伊理穂。洋平が呼んでるぞ」
「え、わたし……?」
花道の言葉に、伊理穂は驚いて電話を振り返った。
てっきり電話を代われということだと思ったのに、その受話器が下ろされていて、伊理穂は首をかしげる。
「どういうこと?」
眉根を寄せる伊理穂に、花道が外をあごで示した。
「旅館でてすぐのとこに、公園みたいなとこあっただろ?」
「え? あ、うん」
「洋平、そこにいるから来て欲しいって」
「え……?」
思わず伊理穂の顔が引き攣った。
来て欲しいだなんて、なんでだろう。
あんなに伊理穂のことを嫌がってるのに。
「! ま、まさか……わたし、忘れ物した……?」
ハッとその可能性に気づいて、伊理穂の胸がざわめいた。
充分にありえる話だった。
(だけど、こんな風にならないように、あんなに何度も確認したのに……!)
全身から血の気の引く音が聞こえる。
情けなさと自己嫌悪で指先がじんわりと冷たくなった。
「さあな。でも洋平、やけに深刻な声だったぞ。早く行ったほうがいいんじゃないか?」
「わ、わかった。ちょっと行って来る」
伊理穂はそれだけ言うと、真っ青な顔でその場を駆け出した。
流川は伊理穂の背中が完全に見えなくなるまで見送ると、傍らに立つ花道に目を向けた。
「おい」
「もしもし、ちどり壮です。……おお! 洋平!」
花道は平然と電話に出ると、すぐに驚きの声をあげた。
花道の口から出たその名前に、伊理穂の体がびくりと強張る。
(洋平?)
流川もその名前にぴくりと眉を動かすと、花道をじっと見つめた。
「どうしたんだよ、洋平! よくここの電話番号わかったな!」
わははと笑いながら、花道が大声で話している。
仲間想いの洋平のことだ。きっと、明日試合の花道に、何か一言言葉をかけようと思ったんだろう。
聞こえるわけがないのに、少しでも洋平の声が聞こえないかと耳を澄ましてしまう自分に心底嫌気が差して、伊理穂はその場を立とうとした。
だけど、その腕を流川につかまれる。
「か、楓くん……?」
「座ってろ」
「あ、でも明日もあるし……もう寝ようかなって」
「伊理穂。いいから」
有無を言わさぬ流川の強い調子に、伊理穂はしぶしぶと腰を降ろした。
そこへ通話中のはずの花道がやってくる。
「伊理穂。洋平が呼んでるぞ」
「え、わたし……?」
花道の言葉に、伊理穂は驚いて電話を振り返った。
てっきり電話を代われということだと思ったのに、その受話器が下ろされていて、伊理穂は首をかしげる。
「どういうこと?」
眉根を寄せる伊理穂に、花道が外をあごで示した。
「旅館でてすぐのとこに、公園みたいなとこあっただろ?」
「え? あ、うん」
「洋平、そこにいるから来て欲しいって」
「え……?」
思わず伊理穂の顔が引き攣った。
来て欲しいだなんて、なんでだろう。
あんなに伊理穂のことを嫌がってるのに。
「! ま、まさか……わたし、忘れ物した……?」
ハッとその可能性に気づいて、伊理穂の胸がざわめいた。
充分にありえる話だった。
(だけど、こんな風にならないように、あんなに何度も確認したのに……!)
全身から血の気の引く音が聞こえる。
情けなさと自己嫌悪で指先がじんわりと冷たくなった。
「さあな。でも洋平、やけに深刻な声だったぞ。早く行ったほうがいいんじゃないか?」
「わ、わかった。ちょっと行って来る」
伊理穂はそれだけ言うと、真っ青な顔でその場を駆け出した。
流川は伊理穂の背中が完全に見えなくなるまで見送ると、傍らに立つ花道に目を向けた。
「おい」