21
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
三井の鋭い目と、間近で視線がぶつかり合う。
「てめぇ……! 結子に聞いたぞ! よくも伊理穂にひでぇことを……!!」
言って三井が拳を振り上げた。
それに気づいた結子が、慌ててその拳にとりすがって三井を止める。
「やめて三井先輩! もう水戸くんにはわたしが充分言ってやったから大丈夫です! ……彼だって、今は傷ついてると思うから……。だから拳をおろして、三井先輩」
「でもなぁ結子! オレだって腹の虫がおさまんねぇんだよ!」
「今このとき三井先輩の腹の虫事情は一切関係ありません!」
ばっさり切り捨てた結子に、三井がグッと詰まった。
拗ねたように唇を突き出す。
「…………わかったよ」
チッと舌打ちして、三井は洋平から手を離した。
それまで詰まっていた喉に一気に酸素が飛び込んできて、洋平は軽くむせる。
結子はどこかホッとしたような表情で胸を撫でおろすと、洋平に向き直った。
「水戸くん、三井先輩がごめんなさい。大丈夫?」
「おかげさまで」
結子の言葉に、洋平は喉元をさすりながら答えた。
結子が複雑な表情で笑って、洋平の心のうちをはかるようにじっと目を見つめてくる。
「それで……水戸くんの聞きたいことって、流川の居場所よね?」
洋平は微かに目を瞠って、それからまいったように苦笑した。
「久遠さんにはお見通しってワケか」
「可能性は五分だったわよ。……でも、水戸くんが今の行動を選んでくれてよかった」
その言葉に、今度は洋平が結子をはかるように見つめた。
結子はしっかりとその視線を受け止めて洋平を見つめ返してくる。
「……久遠さんはオレたちのこと全部知ってるんだよな? ついでに、三井サンも」
訊くと二人は顔を見合わせて、それから小さく頷いた。
それを見て洋平は小さく息を吐く。
「そっか」
瞳を伏せて、洋平は苦く笑う。
「じゃあなおさら、あいつのことさんざん傷つけといてなに言ってんだって思うかもしんねぇけど……」
伏せていた瞳をあげて、洋平は結子と三井に真剣な眼差しを向ける。
「オレは、今も変わらず伊理穂のことが大切だし、伊理穂には幸せになって欲しいと思ってる。いつも……笑顔でいて欲しいんだ。だからまずは、どうして伊理穂と別れたのか、流川と話がしたい。あいつの居場所……知ってたら教えてくれ」
その言葉に三井が舌打ちをする。
「バカヤロウが……! 散々待たせやがって、別れたことに気づくのが遅せぇんだよ!」
吐き捨てるように言うと、くるりと踵を返した。首だけをめぐらせて洋平を振り返ると、拗ねたように唇を突き出して言う。
「――案内してやる。着いて来いよ」
三井と結子の後に着いて、洋平は歩き出した。