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「う……そだろ……?」
呆然と洋平は呟いた。
結子の言葉が頭に繰り返し繰り返しよみがえる。
『伊理穂はね、もう流川と付き合ってなんていないの。あの二人は、とっくに別れてんのよ!!』
口元にあてた指先が微かに震えている。
信じられなかった。
(ほんとうに……?)
そんなバカなことがあるわけがない。
だって伊理穂と流川は確かに想い合っていた。
別れただなんていったいなにが原因でそんなこと。
どうしても理解できなくて小さく首を振っていると、ふと夏子が言った。
「で、どうするの?」
その言葉に、洋平はのろのろと夏子を見る。
「……え?」
「え、じゃないわよ。伊理穂ちゃん、彼氏と別れてたんでしょ? だから洋平はどうするのって聞いてるの」
「どうするって……」
そんなことを言われても、今はショックが強すぎて何も考えられなかった。
頭の中には『なぜ』ばかりがまわっている。
いつ二人が別れたのか。
どうして二人が別れたのか。
その時唐突に、伊理穂が倒れた日のことが脳裏によみがえった。
あの日、伊理穂は気を失ったまま、涙を流して流川の名前を呟いていた。
もしかして、あの時からすでに二人は別れていたのではないか。
そう考えれば、すべてのつじつまがあう。
伊理穂が倒れた理由。
自分がいなくなっただけにしては、大げさすぎると思っていた。
だけどそこに流川との別れが加われば、伊理穂があんな風になってしまうのも頷けた。
だとしたら。
(伊理穂が流川に振られた……?)
どうして。
燃えるような憤りを感じて、洋平は奥歯を強く噛み締めた。
幸いにも流川は明日静岡から帰って来る。
そうなったらすぐに事情を聞かなくては。
洋平は鋭く表情を引き締めた。
と。
「あーあ」
ふいに夏子がぽつりと呟いた。
その声に洋平は夏子を振り返る。
夏子は洋平の真剣な表情を見ると、やれやれとでもいうように肩を竦めた。
「どうやら気持ち、固まったみたいね」
言いながら夏子が立ち上がる。
「あともう一押しだったんだけどなー。本当に……残念」
夏子の、憂いを含んだ瞳を隠すように伏せられた睫毛が小さく震えていた。
洋平はハッと瞠目する。
「夏子さん……。ごめん、オレ……」
「あら、謝らなくていいわよ。言ったでしょ、洋平。別に捨てられたって構わないって。まあ、さすがにこんなに早いとは思ってなかったけどさ。それに、洋平のキス、すっごくよかったしね。――あれを最後に、忘れてあげる」
「…………」
夏子の言葉に、洋平は彼女を見つめる瞳を細めた。
夏子にはほんとうに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
自分はほんとうに、夏子を利用しただけで終わってしまった。
あのキスだって、気持ちなんてこもっていない。
ただ伊理穂を忘れたくて。ただ伊理穂に見せつけたくて。ただ意地を張りたくて。
呆然と洋平は呟いた。
結子の言葉が頭に繰り返し繰り返しよみがえる。
『伊理穂はね、もう流川と付き合ってなんていないの。あの二人は、とっくに別れてんのよ!!』
口元にあてた指先が微かに震えている。
信じられなかった。
(ほんとうに……?)
そんなバカなことがあるわけがない。
だって伊理穂と流川は確かに想い合っていた。
別れただなんていったいなにが原因でそんなこと。
どうしても理解できなくて小さく首を振っていると、ふと夏子が言った。
「で、どうするの?」
その言葉に、洋平はのろのろと夏子を見る。
「……え?」
「え、じゃないわよ。伊理穂ちゃん、彼氏と別れてたんでしょ? だから洋平はどうするのって聞いてるの」
「どうするって……」
そんなことを言われても、今はショックが強すぎて何も考えられなかった。
頭の中には『なぜ』ばかりがまわっている。
いつ二人が別れたのか。
どうして二人が別れたのか。
その時唐突に、伊理穂が倒れた日のことが脳裏によみがえった。
あの日、伊理穂は気を失ったまま、涙を流して流川の名前を呟いていた。
もしかして、あの時からすでに二人は別れていたのではないか。
そう考えれば、すべてのつじつまがあう。
伊理穂が倒れた理由。
自分がいなくなっただけにしては、大げさすぎると思っていた。
だけどそこに流川との別れが加われば、伊理穂があんな風になってしまうのも頷けた。
だとしたら。
(伊理穂が流川に振られた……?)
どうして。
燃えるような憤りを感じて、洋平は奥歯を強く噛み締めた。
幸いにも流川は明日静岡から帰って来る。
そうなったらすぐに事情を聞かなくては。
洋平は鋭く表情を引き締めた。
と。
「あーあ」
ふいに夏子がぽつりと呟いた。
その声に洋平は夏子を振り返る。
夏子は洋平の真剣な表情を見ると、やれやれとでもいうように肩を竦めた。
「どうやら気持ち、固まったみたいね」
言いながら夏子が立ち上がる。
「あともう一押しだったんだけどなー。本当に……残念」
夏子の、憂いを含んだ瞳を隠すように伏せられた睫毛が小さく震えていた。
洋平はハッと瞠目する。
「夏子さん……。ごめん、オレ……」
「あら、謝らなくていいわよ。言ったでしょ、洋平。別に捨てられたって構わないって。まあ、さすがにこんなに早いとは思ってなかったけどさ。それに、洋平のキス、すっごくよかったしね。――あれを最後に、忘れてあげる」
「…………」
夏子の言葉に、洋平は彼女を見つめる瞳を細めた。
夏子にはほんとうに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
自分はほんとうに、夏子を利用しただけで終わってしまった。
あのキスだって、気持ちなんてこもっていない。
ただ伊理穂を忘れたくて。ただ伊理穂に見せつけたくて。ただ意地を張りたくて。