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「オレ、夏子さんのこと好きだけど……それって恋愛感情じゃないぜ?」
きょとんとした表情で、夏子が洋平を見つめた。
顔を寄せるのをやめて、呆れたように肩を竦めて言う。
「知ってるわよ。今更何言ってんの?」
「それでもいいのか? あんたの気持ち利用して……甘えてるだけでも。飽きたら捨てるかもしれないんだぜ?」
「あーのーね、洋平。お互いに好いた惚れたなんて理想の形だけが恋愛じゃないのよ。時には……むごい愛の形もある。わたしを捨てる? 構わないわよそんなの。未来なんて興味ない。あなたは将来わたしを捨てるかもしれないし、逆に夢中になるかもしれない。でもわたしのほうがあなたに飽きちゃうかもしれない。そんなの今この時点ではまったくわからないことよ。そんなことに頭を使ってられるほど、わたしの脳はキャパ広くないの。今このとき、わたしはあなたが好き。だからあなたを手に入れたい。ただそれだけのことよ」
「…………」
洋平は、目の前にある夏子の猫のような大きな瞳をじっと見つめ返した。
夏子はにこりと勝気に唇を持ち上げると、再び洋平に顔を寄せてくる。
洋平も黙ってそれを受け入れようとした。
と、その時。
「伊理穂? 何やってるの? 中入らないの?」
体育館にふいに結子の声が響いた。
驚いて顔をそちらへ向けると、入り口で顔を真っ青にして呆然と立ち尽くしている伊理穂と目があった。
瞬間洋平の頭が真っ白になって、夏子が始めて合宿に来たときに抱き寄せたのと同じ感情が洋平の胸を支配した。
「夏子さんごめん」
「え?」
一言断って洋平は夏子の後頭部に手を伸ばすと、そのままぐいと引き寄せて口づけをした。
伊理穂が鋭く息を呑む気配がした。
「――なっ!」
結子の呆気に取られた声が聞こえる。
洋平はきつく瞳を閉じると、何度も何度も夏子の唇を角度を変えて味わった。
最初は驚いていた夏子も、しだいに洋平のキスに熱を持って応えてくる。
夏子の吐き出す息がじんわり熱を帯びて、ちょうどその頬が上気した頃を見計らって唇を離すと、洋平は体勢をそのままに、首だけをめぐらせて伊理穂を見た。
意識して冷たい声を出す。
「で、いつまで見ていくつもりなんだ、伊理穂? ――ああ、それともお前もして欲しいのか? 流川がいなくて淋しいから」
「――! あ……ご、ごめんなさい……っ」
それまで石のように固まっていた伊理穂が、洋平の声にハッと我に返った。
弾かれたように一度頭を下げて持ち上げた伊理穂の瞳から、ぼろっと大粒の涙が零れ落ちる。
「!」
洋平はそれをみとめて、驚いて目を見開いた。
(伊理穂……? なんで、伊理穂が泣くんだ……?)
洋平のキスシーンを見てうろたえるならまだしも、泣く理由なんてないだろうに。
考えている間にも、伊理穂の瞳からはぼろぼろととめどなく涙があふれていく。
「伊理穂……?」
「…………っ」
洋平が戸惑うように名前を呼ぶと、伊理穂が慌てたように踵を返して駆けていった。
呆然とそれを見送っていると、ふいに白いかたまりが飛んできた。
「うおっ!?」
自分の上にまたがったままだった夏子を押しのけ、洋平は反射的にそれを腕で受け止める。
きょとんとした表情で、夏子が洋平を見つめた。
顔を寄せるのをやめて、呆れたように肩を竦めて言う。
「知ってるわよ。今更何言ってんの?」
「それでもいいのか? あんたの気持ち利用して……甘えてるだけでも。飽きたら捨てるかもしれないんだぜ?」
「あーのーね、洋平。お互いに好いた惚れたなんて理想の形だけが恋愛じゃないのよ。時には……むごい愛の形もある。わたしを捨てる? 構わないわよそんなの。未来なんて興味ない。あなたは将来わたしを捨てるかもしれないし、逆に夢中になるかもしれない。でもわたしのほうがあなたに飽きちゃうかもしれない。そんなの今この時点ではまったくわからないことよ。そんなことに頭を使ってられるほど、わたしの脳はキャパ広くないの。今このとき、わたしはあなたが好き。だからあなたを手に入れたい。ただそれだけのことよ」
「…………」
洋平は、目の前にある夏子の猫のような大きな瞳をじっと見つめ返した。
夏子はにこりと勝気に唇を持ち上げると、再び洋平に顔を寄せてくる。
洋平も黙ってそれを受け入れようとした。
と、その時。
「伊理穂? 何やってるの? 中入らないの?」
体育館にふいに結子の声が響いた。
驚いて顔をそちらへ向けると、入り口で顔を真っ青にして呆然と立ち尽くしている伊理穂と目があった。
瞬間洋平の頭が真っ白になって、夏子が始めて合宿に来たときに抱き寄せたのと同じ感情が洋平の胸を支配した。
「夏子さんごめん」
「え?」
一言断って洋平は夏子の後頭部に手を伸ばすと、そのままぐいと引き寄せて口づけをした。
伊理穂が鋭く息を呑む気配がした。
「――なっ!」
結子の呆気に取られた声が聞こえる。
洋平はきつく瞳を閉じると、何度も何度も夏子の唇を角度を変えて味わった。
最初は驚いていた夏子も、しだいに洋平のキスに熱を持って応えてくる。
夏子の吐き出す息がじんわり熱を帯びて、ちょうどその頬が上気した頃を見計らって唇を離すと、洋平は体勢をそのままに、首だけをめぐらせて伊理穂を見た。
意識して冷たい声を出す。
「で、いつまで見ていくつもりなんだ、伊理穂? ――ああ、それともお前もして欲しいのか? 流川がいなくて淋しいから」
「――! あ……ご、ごめんなさい……っ」
それまで石のように固まっていた伊理穂が、洋平の声にハッと我に返った。
弾かれたように一度頭を下げて持ち上げた伊理穂の瞳から、ぼろっと大粒の涙が零れ落ちる。
「!」
洋平はそれをみとめて、驚いて目を見開いた。
(伊理穂……? なんで、伊理穂が泣くんだ……?)
洋平のキスシーンを見てうろたえるならまだしも、泣く理由なんてないだろうに。
考えている間にも、伊理穂の瞳からはぼろぼろととめどなく涙があふれていく。
「伊理穂……?」
「…………っ」
洋平が戸惑うように名前を呼ぶと、伊理穂が慌てたように踵を返して駆けていった。
呆然とそれを見送っていると、ふいに白いかたまりが飛んできた。
「うおっ!?」
自分の上にまたがったままだった夏子を押しのけ、洋平は反射的にそれを腕で受け止める。