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夢小説設定
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「どうして? ……わたしが、洋平を好きだから?」
「…………」
洋平は沈黙でそれに答えた。
肯定と受け取ってくれたのか、夏子が疲れたようにため息をつく。
と、こつんと洋平は頭を小突かれた。
「バッカね、洋平。不良のナリしてるくせに、中身はほんっとマジメなんだから。いいじゃないの、わたしが利用されたいって思ってるんだから」
「いや、だけど……」
「洋平。あんたは、あの伊理穂ちゃんって子をずーっと大事にしてきて、そういう恋しか知らないのかもしれないけど、わたしは結構これでも色んな恋をしてるの。もっと言えば、自分に利益がなければだれが利用だけなんてされてやるもんですか。わたし、そんなに安い女じゃないわよ?」
諭すように優しく言って、夏子がくしゃくしゃと洋平の髪を撫でる。
「だから洋平。素直に甘えなさい。あんたは聞きワケがよすぎるのよ。もう少し、自分を大事にしてあげなさいよ。わたしにはいつだって、甘えていいんだから。ね?」
「……サンキュ、夏子さん。じゃあ、その気になったらな」
「その気にならなくっても付き合ってるフリはするのよ」
「へいへい」
「思いっきりべたべたしてやるんだから」
「……引き剥がしていいか?」
「噛み付くわよ」
「はは、こえーな。でも、ま……ほんとうに、サンキュ、夏子さん」
「……いいのよ」
改めて言うと、夏子も調子を合わせて返してくれた。
夏子の気持ちを利用するのはひどく申し訳なかったけれど、このまま伊理穂が近くにいる状態があと4日も続けば、きっと自分の精神のほうが先に崩壊してしまっていただろう。
疲弊しきってぼろぼろの洋平の心に、夏子の優しさはとても心地よかった。
合宿最終日。休憩中の体育館フロアの片隅で、伊理穂は結子と一緒に洗濯物を畳んでいた。
花道や洋平たち桜木軍団の着替えと、自分たちの着替え、それからタオルもろもろ。
こまめに洗濯をしていたつもりだったけれど、真夏の体育館で運動、しかも男6人とあって、洗濯物の量が半端ない。
「あー、畳んでも畳んでも終わらない。ったく、キリがないわねもう!」
うんざりとした様子で、結子が洗濯物を畳む手をとめてため息をついた。
伊理穂はそれに苦笑する。
「結ちゃん、でもほら、確実に量は減ってきてるよ!」
「当ったり前よ! 畳んでるのに増えたら発狂するわよ! 増えるわかめか!」
「…………」
もうだめだ。
結子がわけがわからなくなっている。
伊理穂は励ますのをやめて、とにかく洗濯物を早くやっつけようと作業の手を加速させた。
目の前で新しい服に手を伸ばすたびに小さく舌打ちする結子が恐ろしい。
「にしても、腹立つのはあいつらよね」
言いながら結子が体育館の外に目を向けた。
外では花道と大楠、高宮、野間の4人が呑気に野球をしていた。
今は花道がバッターで、大楠がピッチャー。高宮がキャッチャーで野間が外野だ。
順繰りに役目を交代しながら、時折歓声をあげて楽しんでいる。
大楠の投げた球を、花道が豪快なスイングで空振りした。
大げさに悔しがる花道を見て、伊理穂はくすくすと小さく笑い声をあげる。
それに気づいた結子が片眉を上げた。
「あんた、わたしたちは洗濯物畳んでるってのに、あいつらが遊んでてなんとも思わないの!?」
「…………」
洋平は沈黙でそれに答えた。
肯定と受け取ってくれたのか、夏子が疲れたようにため息をつく。
と、こつんと洋平は頭を小突かれた。
「バッカね、洋平。不良のナリしてるくせに、中身はほんっとマジメなんだから。いいじゃないの、わたしが利用されたいって思ってるんだから」
「いや、だけど……」
「洋平。あんたは、あの伊理穂ちゃんって子をずーっと大事にしてきて、そういう恋しか知らないのかもしれないけど、わたしは結構これでも色んな恋をしてるの。もっと言えば、自分に利益がなければだれが利用だけなんてされてやるもんですか。わたし、そんなに安い女じゃないわよ?」
諭すように優しく言って、夏子がくしゃくしゃと洋平の髪を撫でる。
「だから洋平。素直に甘えなさい。あんたは聞きワケがよすぎるのよ。もう少し、自分を大事にしてあげなさいよ。わたしにはいつだって、甘えていいんだから。ね?」
「……サンキュ、夏子さん。じゃあ、その気になったらな」
「その気にならなくっても付き合ってるフリはするのよ」
「へいへい」
「思いっきりべたべたしてやるんだから」
「……引き剥がしていいか?」
「噛み付くわよ」
「はは、こえーな。でも、ま……ほんとうに、サンキュ、夏子さん」
「……いいのよ」
改めて言うと、夏子も調子を合わせて返してくれた。
夏子の気持ちを利用するのはひどく申し訳なかったけれど、このまま伊理穂が近くにいる状態があと4日も続けば、きっと自分の精神のほうが先に崩壊してしまっていただろう。
疲弊しきってぼろぼろの洋平の心に、夏子の優しさはとても心地よかった。
合宿最終日。休憩中の体育館フロアの片隅で、伊理穂は結子と一緒に洗濯物を畳んでいた。
花道や洋平たち桜木軍団の着替えと、自分たちの着替え、それからタオルもろもろ。
こまめに洗濯をしていたつもりだったけれど、真夏の体育館で運動、しかも男6人とあって、洗濯物の量が半端ない。
「あー、畳んでも畳んでも終わらない。ったく、キリがないわねもう!」
うんざりとした様子で、結子が洗濯物を畳む手をとめてため息をついた。
伊理穂はそれに苦笑する。
「結ちゃん、でもほら、確実に量は減ってきてるよ!」
「当ったり前よ! 畳んでるのに増えたら発狂するわよ! 増えるわかめか!」
「…………」
もうだめだ。
結子がわけがわからなくなっている。
伊理穂は励ますのをやめて、とにかく洗濯物を早くやっつけようと作業の手を加速させた。
目の前で新しい服に手を伸ばすたびに小さく舌打ちする結子が恐ろしい。
「にしても、腹立つのはあいつらよね」
言いながら結子が体育館の外に目を向けた。
外では花道と大楠、高宮、野間の4人が呑気に野球をしていた。
今は花道がバッターで、大楠がピッチャー。高宮がキャッチャーで野間が外野だ。
順繰りに役目を交代しながら、時折歓声をあげて楽しんでいる。
大楠の投げた球を、花道が豪快なスイングで空振りした。
大げさに悔しがる花道を見て、伊理穂はくすくすと小さく笑い声をあげる。
それに気づいた結子が片眉を上げた。
「あんた、わたしたちは洗濯物畳んでるってのに、あいつらが遊んでてなんとも思わないの!?」