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カーテン越しにささる日差しの眩しさに目を覆ったとき、耳をつんざくようなうるさい電子音が部屋に鳴り響いた。
まだ覚醒しきらない頭のまま、伊理穂は布団から腕だけ出して音のするほうに手を伸ばす。
「ん~~~~」
何度か宙をさまよったあと、やっとのことで伊理穂の手が音の正体である目覚ましに触れた。
乱暴に叩いて音を止めると、気だるい体に鞭打って伊理穂は上半身を起こす。
ぐうっと上体を後ろに反らし大きく伸びをすると、隣りに眠る洋平の体を揺さぶった。
「よーへー、朝だよー」
「……んー……」
短い眉をうるさそうにしかめて、洋平が低い呻き声をもらす。
そのまま再び寝入ろうとした洋平の頬を、伊理穂は軽く叩いた。
今日はバスケ部の朝練のない日。この時間に起きなければ、学校は確実に遅刻だ。
「洋平ー。眠いのはわかるけど起きてくださーい。遅刻しちゃうよー」
「……あと5分」
「だーめ。起ーきーてー!」
伊理穂はベッドから降りると、洋平の腕を掴んで引っ張った。
ありったけの力を込めても、洋平の体は僅かに浮くだけで起き上がらない。
「お、重い……」
一度手を離して上がった息を整えていると、再び洋平の健やかな寝息が鼓膜を打った。
「ほおう。いーい度胸じゃないの、洋平くん」
眠る洋平を剣呑に見下ろして、伊理穂が低く呟く。
「この手は使いたくなかったけど、しょうがない。起きない洋平が悪いんだからね。くらえっ!」
言うと、伊理穂は洋平のわき腹をくすぐった。
「うわっ!」
それまでぐっすり寝入っていた洋平が、何事かと目を開けて身をよじりながら笑い声を上げる。
「ひゃははは、は、なんだ? 伊理穂!? ひっ、はははは、やめろ! 起きるっ! 起きるからっ!」
「ほんとう~?」
「ほんとっ、ほんとっ、ほら、もう起きてるだろっ!? ふはは、だから、やめろって! な!?」
「…………よし。では許してあげよう」
伊理穂はくすぐる手を止めて、偉そうに腕を組んで言った。
くすぐり地獄からやっと開放された洋平は、ひいひい言いながら体を起こす。
「伊理穂。朝からくすぐるのはやめろっていっつも言ってるだろ」
「だって洋平が起きないのがいけないんでしょ」
恨めしげにこちらを見てくる洋平に、伊理穂は小さく頬を膨らませてぷいと横を向いた。
洋平の手が優しく頭に触れる。
「はいはい、悪かったよ。起こしてくれてサンキューな、伊理穂」
「うん!」
にっこり笑う伊理穂に微笑み返すと、洋平はのんびりとベッドから降りた。
「伊理穂、朝飯はどうすんだ? うちで食ってくか?」
「あ、うん食べてくー。弥生さん、夜勤なんだよね? わたし下でご飯準備してくる!」
「サンキュ」
まだ眠そうにぼりぼりと頭をかいている洋平に微笑むと、伊理穂は部屋を出て一階のキッチンへ向かった。
冷蔵庫を開けて卵とハムをつかむと、フライパンに火をかける。
今日の朝ごはんは目玉焼きと食パンに、それから牛乳でいいだろう。
伊理穂はトースターに自分と洋平の分のパンをセットすると、充分にあったまったフライパンに油を流しいれた。
湯気が出たところでハムをいれて、その上に卵を落とす。少量の水を加えてすぐにふたをした。
台所が香ばしい匂いに包まれたところで、洋平がリビングに姿を現す。
まだ覚醒しきらない頭のまま、伊理穂は布団から腕だけ出して音のするほうに手を伸ばす。
「ん~~~~」
何度か宙をさまよったあと、やっとのことで伊理穂の手が音の正体である目覚ましに触れた。
乱暴に叩いて音を止めると、気だるい体に鞭打って伊理穂は上半身を起こす。
ぐうっと上体を後ろに反らし大きく伸びをすると、隣りに眠る洋平の体を揺さぶった。
「よーへー、朝だよー」
「……んー……」
短い眉をうるさそうにしかめて、洋平が低い呻き声をもらす。
そのまま再び寝入ろうとした洋平の頬を、伊理穂は軽く叩いた。
今日はバスケ部の朝練のない日。この時間に起きなければ、学校は確実に遅刻だ。
「洋平ー。眠いのはわかるけど起きてくださーい。遅刻しちゃうよー」
「……あと5分」
「だーめ。起ーきーてー!」
伊理穂はベッドから降りると、洋平の腕を掴んで引っ張った。
ありったけの力を込めても、洋平の体は僅かに浮くだけで起き上がらない。
「お、重い……」
一度手を離して上がった息を整えていると、再び洋平の健やかな寝息が鼓膜を打った。
「ほおう。いーい度胸じゃないの、洋平くん」
眠る洋平を剣呑に見下ろして、伊理穂が低く呟く。
「この手は使いたくなかったけど、しょうがない。起きない洋平が悪いんだからね。くらえっ!」
言うと、伊理穂は洋平のわき腹をくすぐった。
「うわっ!」
それまでぐっすり寝入っていた洋平が、何事かと目を開けて身をよじりながら笑い声を上げる。
「ひゃははは、は、なんだ? 伊理穂!? ひっ、はははは、やめろ! 起きるっ! 起きるからっ!」
「ほんとう~?」
「ほんとっ、ほんとっ、ほら、もう起きてるだろっ!? ふはは、だから、やめろって! な!?」
「…………よし。では許してあげよう」
伊理穂はくすぐる手を止めて、偉そうに腕を組んで言った。
くすぐり地獄からやっと開放された洋平は、ひいひい言いながら体を起こす。
「伊理穂。朝からくすぐるのはやめろっていっつも言ってるだろ」
「だって洋平が起きないのがいけないんでしょ」
恨めしげにこちらを見てくる洋平に、伊理穂は小さく頬を膨らませてぷいと横を向いた。
洋平の手が優しく頭に触れる。
「はいはい、悪かったよ。起こしてくれてサンキューな、伊理穂」
「うん!」
にっこり笑う伊理穂に微笑み返すと、洋平はのんびりとベッドから降りた。
「伊理穂、朝飯はどうすんだ? うちで食ってくか?」
「あ、うん食べてくー。弥生さん、夜勤なんだよね? わたし下でご飯準備してくる!」
「サンキュ」
まだ眠そうにぼりぼりと頭をかいている洋平に微笑むと、伊理穂は部屋を出て一階のキッチンへ向かった。
冷蔵庫を開けて卵とハムをつかむと、フライパンに火をかける。
今日の朝ごはんは目玉焼きと食パンに、それから牛乳でいいだろう。
伊理穂はトースターに自分と洋平の分のパンをセットすると、充分にあったまったフライパンに油を流しいれた。
湯気が出たところでハムをいれて、その上に卵を落とす。少量の水を加えてすぐにふたをした。
台所が香ばしい匂いに包まれたところで、洋平がリビングに姿を現す。