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そこまで言うと、伊理穂の視界がじわっと滲んだ。
結子がそれを見て苦笑しながら、ぽんぽんと頭を優しく撫でてくる。
「うん。大丈夫よ伊理穂。絶対また元通りになれるから。だから大丈夫」
「うん……。ありがとう、結ちゃん……」
「お? 誰だ、あれ?」
不思議そうに放たれた大楠の声に、洋平はそちらを振り返った。
大楠は目を大きくして外水道の方をじっと見つめていた。
洋平もその視線の先を追いかける。
「あれ……。久遠……さん?」
そこにいたのは伊理穂の友達の久遠結子だった。
伊理穂と一緒になにやら楽しそうに作業をしている。
洋平がぽつりと結子の名前を言うと、大楠がこちらを振り返った。
「知ってるのか、洋平?」
「ああ。伊理穂の親友。なかなかものをはっきり言う、気持ちのいい美人さんだぜ」
「へえ……」
興味深げに呟いて、大楠が洋平を見つめてくる。
その視線がもの言いたげで、洋平は居心地が悪くなって身じろぎした。
「なんだよ」
「べっつに。……伊理穂ちゃんが、あの子にSOS出したんじゃねーの? お前が冷たいから」
「……かもな」
瞳を伏せて同意すると、大楠にばしんと頭を強く殴られた。
「って!」
「かもな、じゃねーんだよ。相変わらずかっこつけやがって。――なあ、伊理穂ちゃんと少しは話ししてやれよ。高宮達も協力してくれてっけど、さすがに一言も交わさない状態が何日も続いたら、いくら鈍感王の花道だってそう長くごまかしてなんていらんねーぞ?」
「……わかってる」
洋平は大楠の言葉に顔を苦くした。
この合宿の前に高宮と野間にも事情を話して、花道に事情を気取られぬように協力してくれるよう、洋平は頼み込んでいた。
二人はひどく驚いていたけれど、大楠の助けもあってしぶしぶ承諾してくれた。
責められることがなかったのは、それだけ事情を話した自分の表情がまずかったからかもしれない。
だけど、思い出すたびに心が壊れそうなくらい痛くて、とても普通な顔で説明することなんてできなかった。
洋平は重い息を吐く。
確かにこのまま伊理穂を避け続けるわけにはいかないだろう。
この狭い環境の中だ。
これまであれだけくっついていたものが急に離れれば、さすがの花道だって異変に気付くはずだ。
今花道の気持ちを煩わせるのは極力避けたかった。
かといって、今さら自分が合宿の協力を辞退することもできない。
(どうしたものか……)
もう一度深く息を吐くと、大楠も隣りで同じように嘆息した。
「なあ、洋平」
「ん?」
「伊理穂ちゃん……すっげえ痩せたよな」
「……ああ」
「大丈夫なのか?」
「多分」
「なんだよ、多分て」
大楠が顔をしかめた。
結子がそれを見て苦笑しながら、ぽんぽんと頭を優しく撫でてくる。
「うん。大丈夫よ伊理穂。絶対また元通りになれるから。だから大丈夫」
「うん……。ありがとう、結ちゃん……」
「お? 誰だ、あれ?」
不思議そうに放たれた大楠の声に、洋平はそちらを振り返った。
大楠は目を大きくして外水道の方をじっと見つめていた。
洋平もその視線の先を追いかける。
「あれ……。久遠……さん?」
そこにいたのは伊理穂の友達の久遠結子だった。
伊理穂と一緒になにやら楽しそうに作業をしている。
洋平がぽつりと結子の名前を言うと、大楠がこちらを振り返った。
「知ってるのか、洋平?」
「ああ。伊理穂の親友。なかなかものをはっきり言う、気持ちのいい美人さんだぜ」
「へえ……」
興味深げに呟いて、大楠が洋平を見つめてくる。
その視線がもの言いたげで、洋平は居心地が悪くなって身じろぎした。
「なんだよ」
「べっつに。……伊理穂ちゃんが、あの子にSOS出したんじゃねーの? お前が冷たいから」
「……かもな」
瞳を伏せて同意すると、大楠にばしんと頭を強く殴られた。
「って!」
「かもな、じゃねーんだよ。相変わらずかっこつけやがって。――なあ、伊理穂ちゃんと少しは話ししてやれよ。高宮達も協力してくれてっけど、さすがに一言も交わさない状態が何日も続いたら、いくら鈍感王の花道だってそう長くごまかしてなんていらんねーぞ?」
「……わかってる」
洋平は大楠の言葉に顔を苦くした。
この合宿の前に高宮と野間にも事情を話して、花道に事情を気取られぬように協力してくれるよう、洋平は頼み込んでいた。
二人はひどく驚いていたけれど、大楠の助けもあってしぶしぶ承諾してくれた。
責められることがなかったのは、それだけ事情を話した自分の表情がまずかったからかもしれない。
だけど、思い出すたびに心が壊れそうなくらい痛くて、とても普通な顔で説明することなんてできなかった。
洋平は重い息を吐く。
確かにこのまま伊理穂を避け続けるわけにはいかないだろう。
この狭い環境の中だ。
これまであれだけくっついていたものが急に離れれば、さすがの花道だって異変に気付くはずだ。
今花道の気持ちを煩わせるのは極力避けたかった。
かといって、今さら自分が合宿の協力を辞退することもできない。
(どうしたものか……)
もう一度深く息を吐くと、大楠も隣りで同じように嘆息した。
「なあ、洋平」
「ん?」
「伊理穂ちゃん……すっげえ痩せたよな」
「……ああ」
「大丈夫なのか?」
「多分」
「なんだよ、多分て」
大楠が顔をしかめた。