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それまで結子の話を黙って聞いていた流川は、静かに言葉を割り込ませると、むくりとからだを起こして屋上へと降りた。
三井と結子が驚いたようにからだを半分引いて、目を白黒させている。
「る、流川! あんた一体どこから……!」
「上。寝てた」
自分が今までいた場所を顎でしゃくって示して見せると、結子が気を取り直したようにつっかかってきた。
「寝てたって……! だいたい、余計なことってなによ! アンタねえ、あの二人がどうなってもいいって言うの?」
結子の言葉に、流川は呆れたようにふうと息を吐く。
「どあほう。んなこと言ってねー」
「じゃあなによ」
「オレに任せろ」
「え?」
結子がきょとんと目を丸くして、隣りで大人しく立っていた三井と顔を見合わせた。
再び流川と視線を合わせて、結子が訝しげに訊いてくる。
「どういうこと?」
「そのうち、水戸はオレと伊理穂が別れたことに気付く。そしたら、まず間違いなくアイツはオレにつっかかってくる。そん時にオレがアイツにハッパをかける」
言い終わると、結子がぱあっと顔を輝かせて流川の胸に拳をつき立ててきた。
「流川っ! あんたやっぱりいいやつ!」
自分の胸に押し当てられている結子の拳を無表情で払うと、流川は瞳を伏せて言った。
「伊理穂が大切なだけだ」
「そうだとしても! ああ、冷血狐だけど冷血狐じゃなかった! ねえ、三井先輩?」
きゃっきゃ騒ぐ結子を横目で見て流川はもう一度深く嘆息すると、「オイ」と結子と三井に声をかける。
「それまでにはやっぱり少し時間がかかるだろうから、オメーと三井……先輩で、しっかり伊理穂を見てろ。オレだと、アイツはまだ少し気を使う。こんなときにあんまりアイツの気を煩わせたくねー。水戸に関してはオレが動く。だから、伊理穂を頼む」
言うと、三井と結子に同時に背中を思いっきり叩かれた。
「イタッ! なにす……」
「まかせろ! 流川、お前生意気なだけかと思ったら、なんだちゃんといい奴なんじゃねーか! よし、今日は三人でメシ行こうぜメシ! オレが奢ってやる」
三井の言葉に結子が諸手をあげて喜んだ。
「やったあ! わたしフレンチがいい」
「焼肉」
口々に言う結子と流川に、三井が不機嫌そうに顔をしかめる。
「バッカお前らオレを破産させる気かよ! 帰り道にあるあのファミレスで充分だろ」
「えー、ケチ!」
「るっせ! やならおごんねーぞ!」
「スミマセンデシタ」
その言葉に、流川と結子は声を揃えて頭を下げた。
それと同時に学校にチャイムが鳴り響く。
「お、もう授業か。あー、めんどくせえなー。このままここでサボっちまおうぜ」
「ダメですよ三井先輩。ほら、早く歩いてください。先生来ちゃうじゃないですか」
「んだよ結子。マジメぶんなよ」
「マジメぶってるんじゃなくてマジメなんです。ほら、流川。アンタもなに昼寝再開しようとしてんのよ。行くわよ」
言うが早いか、流川は結子に首根っこをつかまれた。
ずるずると引きずられながら、流川は二人にわからないように口の端を持ち上げた。
(たまには、こういうのもわるくねー)
伊理穂は失ってしまったけれど、伊理穂と付き合ったことで得たものの多さに、流川は小さく微笑んだ。
To be continued…
三井と結子が驚いたようにからだを半分引いて、目を白黒させている。
「る、流川! あんた一体どこから……!」
「上。寝てた」
自分が今までいた場所を顎でしゃくって示して見せると、結子が気を取り直したようにつっかかってきた。
「寝てたって……! だいたい、余計なことってなによ! アンタねえ、あの二人がどうなってもいいって言うの?」
結子の言葉に、流川は呆れたようにふうと息を吐く。
「どあほう。んなこと言ってねー」
「じゃあなによ」
「オレに任せろ」
「え?」
結子がきょとんと目を丸くして、隣りで大人しく立っていた三井と顔を見合わせた。
再び流川と視線を合わせて、結子が訝しげに訊いてくる。
「どういうこと?」
「そのうち、水戸はオレと伊理穂が別れたことに気付く。そしたら、まず間違いなくアイツはオレにつっかかってくる。そん時にオレがアイツにハッパをかける」
言い終わると、結子がぱあっと顔を輝かせて流川の胸に拳をつき立ててきた。
「流川っ! あんたやっぱりいいやつ!」
自分の胸に押し当てられている結子の拳を無表情で払うと、流川は瞳を伏せて言った。
「伊理穂が大切なだけだ」
「そうだとしても! ああ、冷血狐だけど冷血狐じゃなかった! ねえ、三井先輩?」
きゃっきゃ騒ぐ結子を横目で見て流川はもう一度深く嘆息すると、「オイ」と結子と三井に声をかける。
「それまでにはやっぱり少し時間がかかるだろうから、オメーと三井……先輩で、しっかり伊理穂を見てろ。オレだと、アイツはまだ少し気を使う。こんなときにあんまりアイツの気を煩わせたくねー。水戸に関してはオレが動く。だから、伊理穂を頼む」
言うと、三井と結子に同時に背中を思いっきり叩かれた。
「イタッ! なにす……」
「まかせろ! 流川、お前生意気なだけかと思ったら、なんだちゃんといい奴なんじゃねーか! よし、今日は三人でメシ行こうぜメシ! オレが奢ってやる」
三井の言葉に結子が諸手をあげて喜んだ。
「やったあ! わたしフレンチがいい」
「焼肉」
口々に言う結子と流川に、三井が不機嫌そうに顔をしかめる。
「バッカお前らオレを破産させる気かよ! 帰り道にあるあのファミレスで充分だろ」
「えー、ケチ!」
「るっせ! やならおごんねーぞ!」
「スミマセンデシタ」
その言葉に、流川と結子は声を揃えて頭を下げた。
それと同時に学校にチャイムが鳴り響く。
「お、もう授業か。あー、めんどくせえなー。このままここでサボっちまおうぜ」
「ダメですよ三井先輩。ほら、早く歩いてください。先生来ちゃうじゃないですか」
「んだよ結子。マジメぶんなよ」
「マジメぶってるんじゃなくてマジメなんです。ほら、流川。アンタもなに昼寝再開しようとしてんのよ。行くわよ」
言うが早いか、流川は結子に首根っこをつかまれた。
ずるずると引きずられながら、流川は二人にわからないように口の端を持ち上げた。
(たまには、こういうのもわるくねー)
伊理穂は失ってしまったけれど、伊理穂と付き合ったことで得たものの多さに、流川は小さく微笑んだ。
To be continued…