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「あ、楓くん。インターハイ出場おめでとう。すごかったね。楓くん大活躍で、ほんとうにかっこよかった」
「おー」
「楓くん、すごいね……。宣言どおり、本当に全国に連れてってもらえることになっちゃった」
伊理穂の胸に、懐かしい思い出がよみがえる。
まだ流川と付き合う前。
流川が自分にくれた言葉。
『月瀬を全国に連れてってやる』
どれだけ嬉しかっただろう。
思い出して伊理穂の視界がゆらめいた。
伊理穂はそれに気づくと、その感情に支配される前に慌てて唇を持ち上げた。
「そ、それと、楓くん、あの、神奈川ベスト5おめでとう! ほんとうにすごいね! ベスト5だよ!? 神奈川のバスケ部員の中でもっとも優秀な5人のうちのひとりに選ばれるなんて、楓くんはほんとうにすごい。やっぱり……」
「伊理穂」
矢継ぎ早に語を紡ぐ伊理穂の言葉を遮るように、凛とした流川の声が割り込んだ。
ぎくりと伊理穂の心臓が飛び跳ねる。
思わず後ろを歩く流川を振り返ると、強く腕を引かれた。
そのまま流川に抱きしめられて、顔を上向かされる。
「か、かえでく……」
「少し、黙れ」
「ん……っ」
流川が伊理穂の唇に優しく口付けた。
啄ばむように何度も何度も、角度を変えてキスをしてくる。
「伊理穂……」
途中、囁くように呟かれた自分の名に、伊理穂の心臓が悲鳴をあげた。
触れる唇から伝わってくる流川の愛情が、痛いほど伊理穂のからだに、こころに、突き刺さる。
「かえでく……んっ!」
流川の胸板を強く押してキスの嵐を遮って名前を呼んだ伊理穂の、その先の言葉を遮るように、流川の唇が再び伊理穂に覆いかぶさってきた。
伊理穂の後頭部に手を添えて、今度は深く口づけてくる。
先ほどの優しいキスとは一転して、激しく愛情をぶつけてくるようなその行為に、伊理穂の頭がジンと痺れた。
息苦しさと、胸の苦しさで、目の前が白くなる。
とんと少し強めに流川の胸板を叩くと、それに気づいた流川が最後にもう一度優しく啄ばむようなキスをして、そっと伊理穂から唇を離した。
流川はどこか切ないような瞳の色で伊理穂をじっと見つめると、伊理穂の顔に両手をそえて、その頬を親指の腹でそっと撫でた。
「伊理穂。――話があるんだろ? オレに」
流川のその瞳と表情に、流川が自分が何を伝えようとしているのか察していることに気づいて、伊理穂は愕然と目を瞠った。
「楓くん……気づいて……っ」
「たりめーだろ? 言ったろ、あんまりオレの気持ちなめんなって」
流川が、伊理穂の頬を優しく撫でながら、穏やかな声音で静かに言う。
「かえで……く……っ」
流川のその優しい声と、頬にあるあたたかな手のぬくもりに耐えられなくなって、伊理穂の瞳から堰をきったように涙が溢れ出した。
流川の手が、流れ落ちる伊理穂の涙を優しく拭ってくれる。
「自分の気持ちに、気づいたのか?」
「楓くん……っ。わたし、わたし……っ!!」
「ん、わかってる。だから言わなくていい、伊理穂。――お前と、別れてやる」
「楓くん……っ!!」
その言葉に伊理穂の瞳からさらに涙が溢れた。
流川がそれを慈しむような表情で見つめて、優しく涙を拭い続けてくれる。
「おー」
「楓くん、すごいね……。宣言どおり、本当に全国に連れてってもらえることになっちゃった」
伊理穂の胸に、懐かしい思い出がよみがえる。
まだ流川と付き合う前。
流川が自分にくれた言葉。
『月瀬を全国に連れてってやる』
どれだけ嬉しかっただろう。
思い出して伊理穂の視界がゆらめいた。
伊理穂はそれに気づくと、その感情に支配される前に慌てて唇を持ち上げた。
「そ、それと、楓くん、あの、神奈川ベスト5おめでとう! ほんとうにすごいね! ベスト5だよ!? 神奈川のバスケ部員の中でもっとも優秀な5人のうちのひとりに選ばれるなんて、楓くんはほんとうにすごい。やっぱり……」
「伊理穂」
矢継ぎ早に語を紡ぐ伊理穂の言葉を遮るように、凛とした流川の声が割り込んだ。
ぎくりと伊理穂の心臓が飛び跳ねる。
思わず後ろを歩く流川を振り返ると、強く腕を引かれた。
そのまま流川に抱きしめられて、顔を上向かされる。
「か、かえでく……」
「少し、黙れ」
「ん……っ」
流川が伊理穂の唇に優しく口付けた。
啄ばむように何度も何度も、角度を変えてキスをしてくる。
「伊理穂……」
途中、囁くように呟かれた自分の名に、伊理穂の心臓が悲鳴をあげた。
触れる唇から伝わってくる流川の愛情が、痛いほど伊理穂のからだに、こころに、突き刺さる。
「かえでく……んっ!」
流川の胸板を強く押してキスの嵐を遮って名前を呼んだ伊理穂の、その先の言葉を遮るように、流川の唇が再び伊理穂に覆いかぶさってきた。
伊理穂の後頭部に手を添えて、今度は深く口づけてくる。
先ほどの優しいキスとは一転して、激しく愛情をぶつけてくるようなその行為に、伊理穂の頭がジンと痺れた。
息苦しさと、胸の苦しさで、目の前が白くなる。
とんと少し強めに流川の胸板を叩くと、それに気づいた流川が最後にもう一度優しく啄ばむようなキスをして、そっと伊理穂から唇を離した。
流川はどこか切ないような瞳の色で伊理穂をじっと見つめると、伊理穂の顔に両手をそえて、その頬を親指の腹でそっと撫でた。
「伊理穂。――話があるんだろ? オレに」
流川のその瞳と表情に、流川が自分が何を伝えようとしているのか察していることに気づいて、伊理穂は愕然と目を瞠った。
「楓くん……気づいて……っ」
「たりめーだろ? 言ったろ、あんまりオレの気持ちなめんなって」
流川が、伊理穂の頬を優しく撫でながら、穏やかな声音で静かに言う。
「かえで……く……っ」
流川のその優しい声と、頬にあるあたたかな手のぬくもりに耐えられなくなって、伊理穂の瞳から堰をきったように涙が溢れ出した。
流川の手が、流れ落ちる伊理穂の涙を優しく拭ってくれる。
「自分の気持ちに、気づいたのか?」
「楓くん……っ。わたし、わたし……っ!!」
「ん、わかってる。だから言わなくていい、伊理穂。――お前と、別れてやる」
「楓くん……っ!!」
その言葉に伊理穂の瞳からさらに涙が溢れた。
流川がそれを慈しむような表情で見つめて、優しく涙を拭い続けてくれる。