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承諾すると、思わぬ方向から声がかかった。
「……月瀬。よければオレが送ろうか?」
隣りの席で、一緒にお弁当を囲むでもなくお弁当を食べていた流川だった。
伊理穂はその申し出に驚いて顔を赤く染める。
まさか、憧れの流川がそんなこと言ってくれるなんて。
「わわわ、悪いよ、流川くん! そんなこと……」
「や、別に。オレ、チャリだし、筋トレにもなるから」
たいしたことじゃない、と流川が首を振る。
伊理穂の胸がとくんと音を立てた。
どうしよう。嬉しい。どうしよう。
頬を赤く染めて何も答えられないでいると、洋平がかわりに口を開いた。
「あー、ルカワ? ありがたいんだけど、今日はもう花道に頼んじまってるから、よければまた今度送ってやってくんねえか? 多分、今ルカワに送ってもらうことになったら、アイツうるさいだろうからな……」
憤慨する花道を想像したのか、うんざりしたような声音でいう洋平に、伊理穂も眉を下げた。
確かに花道なら暴れ出しかねない。
流川と一緒に帰れないのは残念だけど、花道に暴れられるほうが厄介だった。
じっとこちらを見つめてくる流川に、伊理穂もごめんと両手を合わせる。
「流川くん、ごめん。せっかくなんだけど、今日はおとなしく花道に送られることにする。せっかく言ってくれたのに本当にごめんね?」
「おう」
断られたことに気を悪くした様子もなく流川が言う。
「またあったら言え。月瀬をバスケ部に勧誘した責任は取る」
「あはは、責任って! 大げさだなぁ流川くん。でもほんとうにありがとう」
にこりと微笑む伊理穂に、流川も薄く微笑み返した。
「!」
めずらしい流川の笑顔に、伊理穂の顔が火をつけたように赤く染まる。
流川はそんな伊理穂をおもしろそうに見ると、くつくつと笑って机に顔を伏せた。
おそらくこのまま寝るつもりなのだろう。
赤くなった顔をこれ以上見られなくてよかったと、伊理穂はホッと胸を撫で下ろす。
(い、いきなり笑うんだもん)
不意打ちだ。
冷たい印象の流川の、優しい笑顔。
思い出しただけで、伊理穂の胸が激しく脈打つ。
伊理穂はそんな心のうちを洋平と結子に悟られないように、勢い良く残りのお弁当を食べ進めた。
夜九時。
洋平は人気の少なくなった通りを、一人歩いていた。
今日面接を受けに行った駅前の古着屋は、結局そのまま採用となった。
そこは店長がシュミで開いている古着屋で、どうせ暇なんだろうと今の時間まで働かされていたのだ。
ちなみに、シフトはご丁寧に明日からしっかり組み込まれている。
(まあ、早く働かせてもらえるのはありがたいんだけどな)
気になるのは伊理穂のことだった。
お昼に流川と交わした会話のことも考えると、明日から自分の不在時に伊理穂を送るのはおそらく流川の役目になるだろう。
みすみす二人の仲を深める手伝いをしているようで、やるせなかった。
洋平の脳裏に、嬉しそうに頬を染めていた伊理穂の顔がよみがえる。
「……月瀬。よければオレが送ろうか?」
隣りの席で、一緒にお弁当を囲むでもなくお弁当を食べていた流川だった。
伊理穂はその申し出に驚いて顔を赤く染める。
まさか、憧れの流川がそんなこと言ってくれるなんて。
「わわわ、悪いよ、流川くん! そんなこと……」
「や、別に。オレ、チャリだし、筋トレにもなるから」
たいしたことじゃない、と流川が首を振る。
伊理穂の胸がとくんと音を立てた。
どうしよう。嬉しい。どうしよう。
頬を赤く染めて何も答えられないでいると、洋平がかわりに口を開いた。
「あー、ルカワ? ありがたいんだけど、今日はもう花道に頼んじまってるから、よければまた今度送ってやってくんねえか? 多分、今ルカワに送ってもらうことになったら、アイツうるさいだろうからな……」
憤慨する花道を想像したのか、うんざりしたような声音でいう洋平に、伊理穂も眉を下げた。
確かに花道なら暴れ出しかねない。
流川と一緒に帰れないのは残念だけど、花道に暴れられるほうが厄介だった。
じっとこちらを見つめてくる流川に、伊理穂もごめんと両手を合わせる。
「流川くん、ごめん。せっかくなんだけど、今日はおとなしく花道に送られることにする。せっかく言ってくれたのに本当にごめんね?」
「おう」
断られたことに気を悪くした様子もなく流川が言う。
「またあったら言え。月瀬をバスケ部に勧誘した責任は取る」
「あはは、責任って! 大げさだなぁ流川くん。でもほんとうにありがとう」
にこりと微笑む伊理穂に、流川も薄く微笑み返した。
「!」
めずらしい流川の笑顔に、伊理穂の顔が火をつけたように赤く染まる。
流川はそんな伊理穂をおもしろそうに見ると、くつくつと笑って机に顔を伏せた。
おそらくこのまま寝るつもりなのだろう。
赤くなった顔をこれ以上見られなくてよかったと、伊理穂はホッと胸を撫で下ろす。
(い、いきなり笑うんだもん)
不意打ちだ。
冷たい印象の流川の、優しい笑顔。
思い出しただけで、伊理穂の胸が激しく脈打つ。
伊理穂はそんな心のうちを洋平と結子に悟られないように、勢い良く残りのお弁当を食べ進めた。
夜九時。
洋平は人気の少なくなった通りを、一人歩いていた。
今日面接を受けに行った駅前の古着屋は、結局そのまま採用となった。
そこは店長がシュミで開いている古着屋で、どうせ暇なんだろうと今の時間まで働かされていたのだ。
ちなみに、シフトはご丁寧に明日からしっかり組み込まれている。
(まあ、早く働かせてもらえるのはありがたいんだけどな)
気になるのは伊理穂のことだった。
お昼に流川と交わした会話のことも考えると、明日から自分の不在時に伊理穂を送るのはおそらく流川の役目になるだろう。
みすみす二人の仲を深める手伝いをしているようで、やるせなかった。
洋平の脳裏に、嬉しそうに頬を染めていた伊理穂の顔がよみがえる。