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高校生活の大半をグレて過ごした三井にとって、この夏の大会はほんとうに高校生活最初で最後の、大事な大事なものだったのに。
(なんて情けない……)
我慢できない重みじゃなかったはずなのに。
自責の念に結子が唇を噛み締めたとき、ふわりと、頭に優しいぬくもりが触れた。
結子はきつく閉じていた目を驚きに見開く。
頭にあるぬくもりはくしゃくしゃと少し乱暴に結子の頭を撫でてきた。
「バーカ。何言ってんだよ。こんなの、お前ひとりで抱えてたらつれぇだろうが。いーんだよ、オレに話して。話してくんなかったらお前、オレは逆に怒ってたぞ」
「先輩……」
結子は顔をあげて、三井の顔をじっと見つめた。
そんな結子の髪を、三井が「年下のくせに強がって生意気なんだよ」と言ってさらにぐしゃぐしゃとかき回してくる。
結子はそれに小さく抵抗をして、だけど三井のくれた言葉のせいで零れ落ちそうになる涙をなんとか必死に堪えながら、微笑んだ。
「ありがとうございます」
「おう」
三井がやわらかく笑って、今度は優しく頭を撫でてくれた。
結子の胸がじんわりと温かくなる。
三井は照れたように一度咳払いをすると、表情を改めて言った。
「まあ、今は見守るしかねぇんだな。わかった。とりあえず、伊理穂がムリしすぎねーように見とくわ」
「よろしくお願いします」
「あ、あと結子」
「はい?」
「行動起こす時機が来たら、お前ちゃんとオレに言えよ? オレ、そういう空気読むの苦手だからよくわかんねーんだわ」
深刻そうな表情で言った三井に、結子は急におかしさが込み上げてきて思わず吹き出した。
「なんだよ」とバツが悪そうに言う三井に、「いいえ」と首を振る。
「わかりました。じゃあ、時が来たら言いますね」
「おう、頼んだ。……じゃあ、オレ帰るわ。ああ、結子。お前暇だったら、明日あさっての試合、応援に来いよな。じゃ」
言って、三井は帰っていった。
* * *
「…………」
思い出すと、胸にあったかさと切なさが同時に込み上げる。
だけど、これで伊理穂は大丈夫だろう。
三井は確かに不器用だし空気が読めないかもしれないけど、嗅覚がいいとでも言えばいいのか、大事な瞬間だけは絶対に外さない。
伊理穂がつらいときは、きっと本能で感じて伊理穂の支えになってくれる。
問題は……。
「…………」
結子はつと視線をコート上の流川に移すと、ふうと重いため息を吐いた。
流川がどうでるか、だ。
思ったそのとき。
「あれ……? 久遠……さん?」
ふいに声を掛けられた。
ほとんど条件反射で振り向いて、結子はそこで目を瞠る。
「水戸くん……!」
(なんて情けない……)
我慢できない重みじゃなかったはずなのに。
自責の念に結子が唇を噛み締めたとき、ふわりと、頭に優しいぬくもりが触れた。
結子はきつく閉じていた目を驚きに見開く。
頭にあるぬくもりはくしゃくしゃと少し乱暴に結子の頭を撫でてきた。
「バーカ。何言ってんだよ。こんなの、お前ひとりで抱えてたらつれぇだろうが。いーんだよ、オレに話して。話してくんなかったらお前、オレは逆に怒ってたぞ」
「先輩……」
結子は顔をあげて、三井の顔をじっと見つめた。
そんな結子の髪を、三井が「年下のくせに強がって生意気なんだよ」と言ってさらにぐしゃぐしゃとかき回してくる。
結子はそれに小さく抵抗をして、だけど三井のくれた言葉のせいで零れ落ちそうになる涙をなんとか必死に堪えながら、微笑んだ。
「ありがとうございます」
「おう」
三井がやわらかく笑って、今度は優しく頭を撫でてくれた。
結子の胸がじんわりと温かくなる。
三井は照れたように一度咳払いをすると、表情を改めて言った。
「まあ、今は見守るしかねぇんだな。わかった。とりあえず、伊理穂がムリしすぎねーように見とくわ」
「よろしくお願いします」
「あ、あと結子」
「はい?」
「行動起こす時機が来たら、お前ちゃんとオレに言えよ? オレ、そういう空気読むの苦手だからよくわかんねーんだわ」
深刻そうな表情で言った三井に、結子は急におかしさが込み上げてきて思わず吹き出した。
「なんだよ」とバツが悪そうに言う三井に、「いいえ」と首を振る。
「わかりました。じゃあ、時が来たら言いますね」
「おう、頼んだ。……じゃあ、オレ帰るわ。ああ、結子。お前暇だったら、明日あさっての試合、応援に来いよな。じゃ」
言って、三井は帰っていった。
* * *
「…………」
思い出すと、胸にあったかさと切なさが同時に込み上げる。
だけど、これで伊理穂は大丈夫だろう。
三井は確かに不器用だし空気が読めないかもしれないけど、嗅覚がいいとでも言えばいいのか、大事な瞬間だけは絶対に外さない。
伊理穂がつらいときは、きっと本能で感じて伊理穂の支えになってくれる。
問題は……。
「…………」
結子はつと視線をコート上の流川に移すと、ふうと重いため息を吐いた。
流川がどうでるか、だ。
思ったそのとき。
「あれ……? 久遠……さん?」
ふいに声を掛けられた。
ほとんど条件反射で振り向いて、結子はそこで目を瞠る。
「水戸くん……!」