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夢小説設定
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次の日。洋平は大楠を電話で呼び出して学校をサボると、二人でぷらぷらと街を歩いていた。
何を話すでもなく重い沈黙を引きずって歩いていた二人は、ちょうど見えてきた公園に入ると、自動販売機で飲み物を買った。
洋平は缶コーヒーを、大楠はコーラを手に持って、空いていたベンチへと腰掛ける。
しばらく黙ったままコーヒーを流し込んでいた洋平は、静かに唇を持ち上げた。
「大楠。オレ、お前に言わなきゃいけないことがあるんだ」
「……なんだよ」
不機嫌に答える大楠に苦く笑うと、洋平は決意を固めて、口にする。
「オレ、伊理穂と縁切った」
「――は!?」
唖然と大楠が洋平を振り返った。
大楠は数秒間たっぷり洋平を見つめたあと、洋平から苦々しそうに顔を反らせて静かに言う。
「……そうかよ」
てっきり殴られるだろうと思っていた洋平は、その大楠の態度に若干拍子抜けした。
それと同時に、殴って欲しいと思っていた自分にも気づいて、洋平は苦笑する。
その感情をごまかすように、洋平はわざとおどけたような声を出した。
「アレ、なに大楠。殴ってくんねーの?」
「そんなカオされて、殴れッかよ。それに……殴られねー方がつれーこともあんだろ?」
「――残念だな」
心からそう思って言うと、大楠が嫌そうに顔をしかめた。
「バーカ。人をウサ晴らしに利用してんじゃねーよ」
「わりい……」
「いいけどよ、別に」
二人の間を、またしばらく沈黙が包む。
今度は大楠がそれを破った。
「なあ。お前が伊理穂ちゃんと縁を切るなんて、ただ事じゃねーだろ。何があったんだよ。……お前のことだ、告白したわけじゃねーんだろ? もしかして、あん時のオレが原因か?」
大楠の言う『あん時』が、大楠が告白をしたあの日のことを指していることに気づいて、洋平は静かに首を振った。
「はは、ちげーよ。……まあ、きっかけではあったけどな……」
「…………」
大楠が沈黙する。
「オレ……さ、大楠。あの日、偶然見ちまったんだよ」
「あ?」
「伊理穂と、流川がキスしてっとこ」
「――!!」
大楠が大きく目を見開いた。
あー……と、言いにくそうに視線をさまよわせながら言う。
「それは……まあ……ダメージ……くう、よな」
「だろ? しかもさ、聞いちまったんだ。あの流川の……苦しそうな声。伊理穂がオレを頼ることに、心底苦しんでるみてーだった。オレの想像以上に、あの二人の幸せを、オレが邪魔してたんだよな」
何を話すでもなく重い沈黙を引きずって歩いていた二人は、ちょうど見えてきた公園に入ると、自動販売機で飲み物を買った。
洋平は缶コーヒーを、大楠はコーラを手に持って、空いていたベンチへと腰掛ける。
しばらく黙ったままコーヒーを流し込んでいた洋平は、静かに唇を持ち上げた。
「大楠。オレ、お前に言わなきゃいけないことがあるんだ」
「……なんだよ」
不機嫌に答える大楠に苦く笑うと、洋平は決意を固めて、口にする。
「オレ、伊理穂と縁切った」
「――は!?」
唖然と大楠が洋平を振り返った。
大楠は数秒間たっぷり洋平を見つめたあと、洋平から苦々しそうに顔を反らせて静かに言う。
「……そうかよ」
てっきり殴られるだろうと思っていた洋平は、その大楠の態度に若干拍子抜けした。
それと同時に、殴って欲しいと思っていた自分にも気づいて、洋平は苦笑する。
その感情をごまかすように、洋平はわざとおどけたような声を出した。
「アレ、なに大楠。殴ってくんねーの?」
「そんなカオされて、殴れッかよ。それに……殴られねー方がつれーこともあんだろ?」
「――残念だな」
心からそう思って言うと、大楠が嫌そうに顔をしかめた。
「バーカ。人をウサ晴らしに利用してんじゃねーよ」
「わりい……」
「いいけどよ、別に」
二人の間を、またしばらく沈黙が包む。
今度は大楠がそれを破った。
「なあ。お前が伊理穂ちゃんと縁を切るなんて、ただ事じゃねーだろ。何があったんだよ。……お前のことだ、告白したわけじゃねーんだろ? もしかして、あん時のオレが原因か?」
大楠の言う『あん時』が、大楠が告白をしたあの日のことを指していることに気づいて、洋平は静かに首を振った。
「はは、ちげーよ。……まあ、きっかけではあったけどな……」
「…………」
大楠が沈黙する。
「オレ……さ、大楠。あの日、偶然見ちまったんだよ」
「あ?」
「伊理穂と、流川がキスしてっとこ」
「――!!」
大楠が大きく目を見開いた。
あー……と、言いにくそうに視線をさまよわせながら言う。
「それは……まあ……ダメージ……くう、よな」
「だろ? しかもさ、聞いちまったんだ。あの流川の……苦しそうな声。伊理穂がオレを頼ることに、心底苦しんでるみてーだった。オレの想像以上に、あの二人の幸せを、オレが邪魔してたんだよな」