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伊理穂の気持ちには関係なく、びくんびくんと陸にあげられた魚のように反応してしまうからだを、自分ではどうしようもできなかった。
(や……!)
伊理穂の瞳から涙が溢れ出す。
(洋平……どうして……っ?)
つとその涙が唇にも流れ落ちた。
文字通り行為に水を差されて、洋平が唇を離す。
伊理穂が泣いているのを見て、洋平がうっすら皮肉に微笑んだ。
「あんまりよくって泣いてるのか? それとも……嫌で……?」
言いながら、洋平の唇が頬に触れた。
そのまま涙を拭うように目のした近くまですべるように移動してくる。
「や……っ!」
伊理穂は震える喉でなんとか声を絞り出す。
「や、ようへ……! やめて……っ! どうして、こんなこと……!」
「どうして……?」
洋平が伊理穂の頬から唇を離した。
そのまま暗い瞳で伊理穂の顔を見下すと、震える伊理穂の耳元に顔を寄せた。
耳たぶをはむようにして、わざと吐息をふきかけながら、洋平が冷たい声音で囁く。
「お前のこと、嫌いだからに決まってんだろ?」
その言葉に、伊理穂の世界が静止した。
言い終わると同時に、洋平が伊理穂の耳たぶを口に含む。
びくんと跳ね上がる伊理穂のからだ。
その反動のように急降下する伊理穂の心。
ふいに足元の地面が頼りないものに感じられた。
今まで明るかった視界が、一気に暗くなる。
「え……?」
呟くと、洋平が耳たぶから口を離した。
再び耳元でそっと囁かれる、心臓が止まるような冷たい声音と、言葉。
「お前のことが、大嫌いだからだよ」
「……うそ……」
呆然と呟いた言葉に、洋平が喉の奥でくつくつと笑いをかみ殺した。
嘲るような表情で伊理穂を見下ろす、洋平の暗い瞳。
ビシッと、激しくひびの入る音がからだの内側から聞こえてきた。
洋平が言う。
「あのさ、伊理穂。お前、オレが今まで好きでお前の面倒見てきたと思ってんの?」
「よう……へい?」
名前を呼ぶと、嫌そうに顔がゆがめられた。
ビシビシビシッとからだの内で響く、箱にひびの入る音。
「いい加減、うぜぇんだよ。ガキの頃からバカのひとつ覚えみたいに洋平、洋平って。オレが、お前のことどんなに嫌いなのか知りもしねぇでよ」
「うそ……。うそ、でしょ……? だって、だって洋平、ずっとずっと優しくて……」
「嘘じゃねえよ。お前さ、オレが今までどんだけ耐えてきたと思ってんだよ。……前に言ってたっけ、お前。オレに嫌われててもいいからそばにいたいって。オレの苦しみ全部、お前がかわりに受け止めるからって」
伊理穂の膝ががくがく震える。
耳元で囁かれる洋平の声。
これはなに? これは現実?
(灰色世界の、あの夢じゃないの……?)
だけど背中にあたる感触は灰色世界のあの頼りない地面じゃなくて、洋平の家の硬いリビングの壁だった。
(や……!)
伊理穂の瞳から涙が溢れ出す。
(洋平……どうして……っ?)
つとその涙が唇にも流れ落ちた。
文字通り行為に水を差されて、洋平が唇を離す。
伊理穂が泣いているのを見て、洋平がうっすら皮肉に微笑んだ。
「あんまりよくって泣いてるのか? それとも……嫌で……?」
言いながら、洋平の唇が頬に触れた。
そのまま涙を拭うように目のした近くまですべるように移動してくる。
「や……っ!」
伊理穂は震える喉でなんとか声を絞り出す。
「や、ようへ……! やめて……っ! どうして、こんなこと……!」
「どうして……?」
洋平が伊理穂の頬から唇を離した。
そのまま暗い瞳で伊理穂の顔を見下すと、震える伊理穂の耳元に顔を寄せた。
耳たぶをはむようにして、わざと吐息をふきかけながら、洋平が冷たい声音で囁く。
「お前のこと、嫌いだからに決まってんだろ?」
その言葉に、伊理穂の世界が静止した。
言い終わると同時に、洋平が伊理穂の耳たぶを口に含む。
びくんと跳ね上がる伊理穂のからだ。
その反動のように急降下する伊理穂の心。
ふいに足元の地面が頼りないものに感じられた。
今まで明るかった視界が、一気に暗くなる。
「え……?」
呟くと、洋平が耳たぶから口を離した。
再び耳元でそっと囁かれる、心臓が止まるような冷たい声音と、言葉。
「お前のことが、大嫌いだからだよ」
「……うそ……」
呆然と呟いた言葉に、洋平が喉の奥でくつくつと笑いをかみ殺した。
嘲るような表情で伊理穂を見下ろす、洋平の暗い瞳。
ビシッと、激しくひびの入る音がからだの内側から聞こえてきた。
洋平が言う。
「あのさ、伊理穂。お前、オレが今まで好きでお前の面倒見てきたと思ってんの?」
「よう……へい?」
名前を呼ぶと、嫌そうに顔がゆがめられた。
ビシビシビシッとからだの内で響く、箱にひびの入る音。
「いい加減、うぜぇんだよ。ガキの頃からバカのひとつ覚えみたいに洋平、洋平って。オレが、お前のことどんなに嫌いなのか知りもしねぇでよ」
「うそ……。うそ、でしょ……? だって、だって洋平、ずっとずっと優しくて……」
「嘘じゃねえよ。お前さ、オレが今までどんだけ耐えてきたと思ってんだよ。……前に言ってたっけ、お前。オレに嫌われててもいいからそばにいたいって。オレの苦しみ全部、お前がかわりに受け止めるからって」
伊理穂の膝ががくがく震える。
耳元で囁かれる洋平の声。
これはなに? これは現実?
(灰色世界の、あの夢じゃないの……?)
だけど背中にあたる感触は灰色世界のあの頼りない地面じゃなくて、洋平の家の硬いリビングの壁だった。