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嫌われているのかもしれないという思いが、もうほとんど確信に近くなってきていた。
だけどまだ認めたくない。
いつだって洋平は、好きだよって言ってくれた。かわいい幼馴染みだよって微笑んで言ってくれた。
それを信じたい。
いまだってきっと、洋平が否定してくれる。
不安なのって伝えれば、きっと笑って違うよって言ってくれる。
否。
違うよって言って欲しかった。好きだよって微笑んで欲しかった。
なによりも洋平の顔が見たかった。
伊理穂は祈るような気持ちで玄関を見つめた。
そう長い時間待っていたわけじゃないのに、伊理穂にとってはじりじりするような時間がすぎて、玄関の開く音がした。
そこからのんびり顔を出した洋平を見て、伊理穂の心臓が大きく飛び跳ねる。
「洋平!」
名前を呼ぶと、洋平が驚いたように目を見開いて伊理穂を見た。
「い……りほ?」
呆然と呟くと、ハッと我に返って洋平がこちらへ歩いてくる。
伊理穂の切羽詰った表情を見て、洋平はぎゅっと眉間に皺を寄せた。
「どうしたんだ、伊理穂? 玄関から来るなんて……」
「だって洋平、最近窓の鍵閉めてるから」
言うと、不自然な沈黙が流れた。
洋平は小さく息をつくと、そうか、と呟いて伊理穂を中へ促した。
先に立つ洋平に続いて、伊理穂も水戸家の中へ足を踏み入れる。
洋平の家に来るのは何日ぶりだろう。
思ってまた胸がきしりと痛んだ。
これまで毎日来ていたのに。
靴を脱いで、二階の洋平の部屋へあがろうとして、洋平に呼び止められた。
「伊理穂」
「うん?」
「こっち」
言うが早いか、洋平はリビングへ姿を消した。
伊理穂の胸が小さく波立つ。
「洋平? 部屋には行かないの?」
さっきまで洋平は部屋にいたのに。その言葉を言外に含んで言えば、洋平がそれを察したのか、伊理穂から気まずそうに目を逸らした。
「もうお前を不用意に部屋に入れんのはやめたんだよ」
「――! そ、そっか」
冷たく放たれた言葉に、ずきんずきんと伊理穂の心臓が痛みはじめる。
嫌な予感に鼓動が早くなった。
「あ、や、弥生さんは?」
取り繕うように伊理穂が言うと、洋平がつと視線を戻してきた。
伊理穂はそれに少しだけホッと息をつく。
「仕事。さっき出たとこ」
「そ、そっか。じゃあ今日は洋平ひとり? うちにご飯食べにおいでよ」
「行かねえよ」
冷たい声音がすぐさま帰って来て、伊理穂は小さく瞠目した。
洋平が、さっきからいやに冷たい。言葉のひとつひとつが、洋平の硬い表情が、鋭い刃となって伊理穂に突き刺さる。
嫌な予感が伊理穂を取り巻いた。
恐怖がそろりそろりと、背後から伊理穂に忍び寄って来る。
「ど、どうして? だってひとりなら……」
「おふくろが飯を用意してったから」
言われて台所に視線を転じれば、そこには鍋ひとつ出ていなかった。
だけどまだ認めたくない。
いつだって洋平は、好きだよって言ってくれた。かわいい幼馴染みだよって微笑んで言ってくれた。
それを信じたい。
いまだってきっと、洋平が否定してくれる。
不安なのって伝えれば、きっと笑って違うよって言ってくれる。
否。
違うよって言って欲しかった。好きだよって微笑んで欲しかった。
なによりも洋平の顔が見たかった。
伊理穂は祈るような気持ちで玄関を見つめた。
そう長い時間待っていたわけじゃないのに、伊理穂にとってはじりじりするような時間がすぎて、玄関の開く音がした。
そこからのんびり顔を出した洋平を見て、伊理穂の心臓が大きく飛び跳ねる。
「洋平!」
名前を呼ぶと、洋平が驚いたように目を見開いて伊理穂を見た。
「い……りほ?」
呆然と呟くと、ハッと我に返って洋平がこちらへ歩いてくる。
伊理穂の切羽詰った表情を見て、洋平はぎゅっと眉間に皺を寄せた。
「どうしたんだ、伊理穂? 玄関から来るなんて……」
「だって洋平、最近窓の鍵閉めてるから」
言うと、不自然な沈黙が流れた。
洋平は小さく息をつくと、そうか、と呟いて伊理穂を中へ促した。
先に立つ洋平に続いて、伊理穂も水戸家の中へ足を踏み入れる。
洋平の家に来るのは何日ぶりだろう。
思ってまた胸がきしりと痛んだ。
これまで毎日来ていたのに。
靴を脱いで、二階の洋平の部屋へあがろうとして、洋平に呼び止められた。
「伊理穂」
「うん?」
「こっち」
言うが早いか、洋平はリビングへ姿を消した。
伊理穂の胸が小さく波立つ。
「洋平? 部屋には行かないの?」
さっきまで洋平は部屋にいたのに。その言葉を言外に含んで言えば、洋平がそれを察したのか、伊理穂から気まずそうに目を逸らした。
「もうお前を不用意に部屋に入れんのはやめたんだよ」
「――! そ、そっか」
冷たく放たれた言葉に、ずきんずきんと伊理穂の心臓が痛みはじめる。
嫌な予感に鼓動が早くなった。
「あ、や、弥生さんは?」
取り繕うように伊理穂が言うと、洋平がつと視線を戻してきた。
伊理穂はそれに少しだけホッと息をつく。
「仕事。さっき出たとこ」
「そ、そっか。じゃあ今日は洋平ひとり? うちにご飯食べにおいでよ」
「行かねえよ」
冷たい声音がすぐさま帰って来て、伊理穂は小さく瞠目した。
洋平が、さっきからいやに冷たい。言葉のひとつひとつが、洋平の硬い表情が、鋭い刃となって伊理穂に突き刺さる。
嫌な予感が伊理穂を取り巻いた。
恐怖がそろりそろりと、背後から伊理穂に忍び寄って来る。
「ど、どうして? だってひとりなら……」
「おふくろが飯を用意してったから」
言われて台所に視線を転じれば、そこには鍋ひとつ出ていなかった。