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(それとも、伊理穂に関してだけ例外なのかしら……)
結子は息をついた。
首を振って考えるのをやめにする。
どうせあんな冷血狐の思考回路なんて、自分に読めるわけもない。
おっと、いまは冷血でもないか……。思い直して、結子は隣りに立つ三井を見上げた。
「とりあえず、流川の方はこれ以上攻めても無駄ですね。わたし、近いうちに伊理穂と話をしてみます」
「……大丈夫か?」
気遣うように三井が結子の瞳を見つめてきた。
「お前ら、親友なんだろ? こじれてもあれだし、オレから言おうか?」
結子はそれに小さく首を振った。
「三井先輩は伊理穂に下心があるからだめです。わたしが言います」
「なっ、オイ! 下心って……!」
目に見えて動揺する三井に、結子はおかしそうにくすくす笑い声をあげる。
「ふふ。図星だからってそんなにうろたえなくっていいですよ。――それに、こういうことはかえって女同士のほうがいいんです」
「そういうもんか? じゃあ、お前に任せるけど……。なあ」
ぶっきらぼうに三井が呼びかけてきた。
結子はそれにくすくす笑いを止めて、きょとんと顔をあげる。
「はい?」
「お前も、あんまりムリすんじゃねえぞ?」
こういうのは言うほうもしんどいからな。そう心配げに言う三井に、結子は今度こそ本格的に笑い声をあげた。
驚いた。
(三井先輩って、不器用だけどすごく優しい)
だけどその不器用加減に腹がよじれるほどの笑いが込み上げてくる。
大笑いする結子の隣りで、三井がなんだよと顔を赤らめて照れたように焦っている。
結子はそれに小さく首を振ると、笑いすぎて目尻に浮かんだ涙をぬぐいながら言った。
「あはは、いや、笑ってごめんなさい。はい、わかりました。じゃあ、しんどくなったら三井先輩に八つ当たりに行きますね」
「八つ当たりかよ!」
間髪いれずに三井が言葉を返してくる。
うん、反応も悪くない。
「まあ、いいけどよ」
三井が拗ねたように唇を突き出して言った。
「とにかく、絶対にムリだけはすんなよ。いいな?」
「はい。ありがとうございます」
「……おう」
結子と三井の間を、優しい風が吹きぬけた。
それから数日後。伊理穂は放課後結子に呼び出された。
決勝リーグの二回戦、武里戦が三日後に控えた今日。伊理穂は花道のゴール下シュートの特訓に昨日から付き合っていた。
その旨を伝えてやんわり断ろうとしたけれど、結子も結子でよっぽど大事な用なのか一歩も譲らなかった。
結子は息をついた。
首を振って考えるのをやめにする。
どうせあんな冷血狐の思考回路なんて、自分に読めるわけもない。
おっと、いまは冷血でもないか……。思い直して、結子は隣りに立つ三井を見上げた。
「とりあえず、流川の方はこれ以上攻めても無駄ですね。わたし、近いうちに伊理穂と話をしてみます」
「……大丈夫か?」
気遣うように三井が結子の瞳を見つめてきた。
「お前ら、親友なんだろ? こじれてもあれだし、オレから言おうか?」
結子はそれに小さく首を振った。
「三井先輩は伊理穂に下心があるからだめです。わたしが言います」
「なっ、オイ! 下心って……!」
目に見えて動揺する三井に、結子はおかしそうにくすくす笑い声をあげる。
「ふふ。図星だからってそんなにうろたえなくっていいですよ。――それに、こういうことはかえって女同士のほうがいいんです」
「そういうもんか? じゃあ、お前に任せるけど……。なあ」
ぶっきらぼうに三井が呼びかけてきた。
結子はそれにくすくす笑いを止めて、きょとんと顔をあげる。
「はい?」
「お前も、あんまりムリすんじゃねえぞ?」
こういうのは言うほうもしんどいからな。そう心配げに言う三井に、結子は今度こそ本格的に笑い声をあげた。
驚いた。
(三井先輩って、不器用だけどすごく優しい)
だけどその不器用加減に腹がよじれるほどの笑いが込み上げてくる。
大笑いする結子の隣りで、三井がなんだよと顔を赤らめて照れたように焦っている。
結子はそれに小さく首を振ると、笑いすぎて目尻に浮かんだ涙をぬぐいながら言った。
「あはは、いや、笑ってごめんなさい。はい、わかりました。じゃあ、しんどくなったら三井先輩に八つ当たりに行きますね」
「八つ当たりかよ!」
間髪いれずに三井が言葉を返してくる。
うん、反応も悪くない。
「まあ、いいけどよ」
三井が拗ねたように唇を突き出して言った。
「とにかく、絶対にムリだけはすんなよ。いいな?」
「はい。ありがとうございます」
「……おう」
結子と三井の間を、優しい風が吹きぬけた。
それから数日後。伊理穂は放課後結子に呼び出された。
決勝リーグの二回戦、武里戦が三日後に控えた今日。伊理穂は花道のゴール下シュートの特訓に昨日から付き合っていた。
その旨を伝えてやんわり断ろうとしたけれど、結子も結子でよっぽど大事な用なのか一歩も譲らなかった。