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昼休み。
流川は委員会があるからと教室を出て行く伊理穂を見送ると、鞄からお弁当を出して机に広げた。
さあ食べようとしたところで、ふいにお弁当に影がさす。
なんだと思って顔をあげると、目の前に結子がいた。
その隣りにはなぜか三井までいる。
「……?」
流川は訝しげに眉を寄せた。
なんだろう。
自分たちは伊理穂なしでお弁当を囲むほど、仲がいいというわけではないのに。
というより、伊理穂がいないのであれば、ひとりでお弁当を食べたい。
なんか用か。開きかけた唇を流川は思い直して閉じた。
(まあ、いーか)
再びお弁当に視線を落とす。
問いかけて用があると言われたらめんどうだから、気にしないでお弁当を食べることにしたのだ。
そんな流川の後頭部を、結子がちからいっぱい殴ってくる。
「って」
「って、じゃないでしょ!? あんたよくわたしたちがあきらかに用があるのわかってて、無視してお弁当食べようなんて思うわね!」
「だって、めんどくせー」
「なぁんですってえ! めんどくせえじゃないわよ、このマイペース男! あんたを中心に世界がまわってんじゃないんですからねっ」
「たりめーだ。オレの世界の中心は伊理穂だ」
「こっぱずかしい事を表情変えずにけろっと言ってんじゃないわよ、このバカっ!」
さらに言い募ろうとした結子を制して、三井が口を開く。
「いいから来いよ、流川。伊理穂のことで話がある」
「…………」
流川は三井の顔を見つめると、観念したように息を吐いた。
しょうがねーと呟きながら重い腰を上げて、前を歩く二人について教室を出た。
連れてこられたのは屋上だった。
三井たちが入ってきたのと入れ替わりに、番長の堀田が出て行く。
その時、さんきゅ、と三井が堀田にお礼を言うのが聞こえた。
きっと他に誰も来ないように三井に場所取りをさせられていたのだろう。
大変だなという思いが、少しだけ流川の胸に浮かんだ。
そんな感想も、三井と結子がくるりとこちらを振り向いたところで、すうっと頭から消え去る。
三井が瞳に力を込めて流川を見据えてきた。
「流川。単刀直入に聞くぜ。――お前、伊理穂の気持ちには気づいてんのか?」
その言葉を聞いて、流川は肺にある空気を勢いよく鼻から吐き出した。
(ちっ。やっぱりめんどくせー)
ついてくんじゃなかった。思いながら流川は口を開く。
「気づいてる。たりめーだろ。わかんねーわけねー」
三井と結子が大きく目を見開いた。
数回唇をぱくぱくさせたあと、結子がまだ驚きのさめない様子で言う。
「な、じゃあ流川、あんたなんで……?」
「んなの決まってる。伊理穂が好きだからだ」
「あ?」
「オレは、オメーらみてーに物分りがよくねー。好きなら手に入れてーし、たとえそのあと失うにしても、手を伸ばさねーで諦めるなんてしねー」
「でも、あんた……。だってそっちの方がよっぽど辛いじゃない……!」
「勘違いすんな、久遠」
流川はすっと瞳を細めて、結子を、三井を見つめた。
流川は委員会があるからと教室を出て行く伊理穂を見送ると、鞄からお弁当を出して机に広げた。
さあ食べようとしたところで、ふいにお弁当に影がさす。
なんだと思って顔をあげると、目の前に結子がいた。
その隣りにはなぜか三井までいる。
「……?」
流川は訝しげに眉を寄せた。
なんだろう。
自分たちは伊理穂なしでお弁当を囲むほど、仲がいいというわけではないのに。
というより、伊理穂がいないのであれば、ひとりでお弁当を食べたい。
なんか用か。開きかけた唇を流川は思い直して閉じた。
(まあ、いーか)
再びお弁当に視線を落とす。
問いかけて用があると言われたらめんどうだから、気にしないでお弁当を食べることにしたのだ。
そんな流川の後頭部を、結子がちからいっぱい殴ってくる。
「って」
「って、じゃないでしょ!? あんたよくわたしたちがあきらかに用があるのわかってて、無視してお弁当食べようなんて思うわね!」
「だって、めんどくせー」
「なぁんですってえ! めんどくせえじゃないわよ、このマイペース男! あんたを中心に世界がまわってんじゃないんですからねっ」
「たりめーだ。オレの世界の中心は伊理穂だ」
「こっぱずかしい事を表情変えずにけろっと言ってんじゃないわよ、このバカっ!」
さらに言い募ろうとした結子を制して、三井が口を開く。
「いいから来いよ、流川。伊理穂のことで話がある」
「…………」
流川は三井の顔を見つめると、観念したように息を吐いた。
しょうがねーと呟きながら重い腰を上げて、前を歩く二人について教室を出た。
連れてこられたのは屋上だった。
三井たちが入ってきたのと入れ替わりに、番長の堀田が出て行く。
その時、さんきゅ、と三井が堀田にお礼を言うのが聞こえた。
きっと他に誰も来ないように三井に場所取りをさせられていたのだろう。
大変だなという思いが、少しだけ流川の胸に浮かんだ。
そんな感想も、三井と結子がくるりとこちらを振り向いたところで、すうっと頭から消え去る。
三井が瞳に力を込めて流川を見据えてきた。
「流川。単刀直入に聞くぜ。――お前、伊理穂の気持ちには気づいてんのか?」
その言葉を聞いて、流川は肺にある空気を勢いよく鼻から吐き出した。
(ちっ。やっぱりめんどくせー)
ついてくんじゃなかった。思いながら流川は口を開く。
「気づいてる。たりめーだろ。わかんねーわけねー」
三井と結子が大きく目を見開いた。
数回唇をぱくぱくさせたあと、結子がまだ驚きのさめない様子で言う。
「な、じゃあ流川、あんたなんで……?」
「んなの決まってる。伊理穂が好きだからだ」
「あ?」
「オレは、オメーらみてーに物分りがよくねー。好きなら手に入れてーし、たとえそのあと失うにしても、手を伸ばさねーで諦めるなんてしねー」
「でも、あんた……。だってそっちの方がよっぽど辛いじゃない……!」
「勘違いすんな、久遠」
流川はすっと瞳を細めて、結子を、三井を見つめた。