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大楠の言葉に、伊理穂は驚いて目を見開いた。
その表情を見て、大楠が切なそうに瞳を細める。
「……早く自分の気持ちに気付いてやってくれよな。洋平、ずっと伊理穂ちゃんのこと待ってるからさ」
「あ……。大楠くん、でも……」
わたしは楓くんが……。言いかけた言葉を、大楠が伊理穂の顔の前に手をかざして止めた。
「おっと。その先は言わなくていいぜ、伊理穂ちゃん。わたしは楓くんが好き、だろ?」
大楠の言葉に伊理穂が頷くと、大楠が「だと思った」と唇を持ち上げた。
「オレ、難しいことはよくわんねえけど、伊理穂ちゃんのその気持ちも多分ウソじゃねえんだと思う。伊理穂ちゃんはウソじゃなくて、ちゃんと流川のことが好きなんだと思うよ。――だけど、オレ、いつか伊理穂ちゃんが自分のほんとうの気持ちに気付くって信じてっから」
「ほんとうの、気持ち?」
自分の内側から、今日の夢で聞いた重い鎖がほどけるような音が聞こえた。
伊理穂はそれを聞こえない振りをして、目の前の大楠をじっと見つめる。
大楠が小さく頷いた。
「そう。伊理穂ちゃんの……ほんとうの気持ち。それに気付いて、そん時にさ。……もしも、流川と厄介なことになるようだったら、そんときは絶対にオレを呼んでよ。助けになるからさ」
大楠のその言葉に、なんでだかわからないけど伊理穂の胸が熱いものでいっぱいになった。
それに鼻の奥がツンと刺激されて、目の前の大楠の顔がゆらぐ。
と、大楠が慌てたようにおろおろした。
「わ、ちょ、泣くなよ伊理穂ちゃん。うわ、あっちで流川がすっげえ目でこっち睨んでるんだって! このまんまじゃオレ流川にマジ殺されるよ! な?」
その言葉に伊理穂はプッと小さく噴き出すと、零れ落ちそうになった涙を手の平で乱暴にごしごしとこすった。
顔をあげて、大楠ににこりと笑いかける。
「ふふ、ごめんね。大楠くん、ありがとう」
「おう」
その時、タイミングよくチャイムが鳴り響いた。
大楠はその音に天井を見つめると、伊理穂に視線を戻してニッと明るく笑った。
「じゃ、オレ教室帰るわ。またな、伊理穂ちゃん」
「うん。ほんとうにありがとう、大楠くん」
手を振り去っていく大楠の背中が廊下の曲がり角に消えると、伊理穂も教室の自分の席へと取って返した。
不機嫌そうに唇を突き出した流川が、静かに問うてくる。
「あいつ、なんだって?」
「昨日ごめんだって」
「ふうん」
どこかつまらなそうに返事を返す流川。
なんだかその様子がかわいくて、伊理穂は小さく笑みを零す。
「あはは。楓くん、やきもち?」
「たりめーだ。あんまオレの気持ちなめんな」
「!」
恥ずかしげもなく言われた流川の言葉に、伊理穂は顔を真っ赤に染めた。
射抜くようにまっすぐ伊理穂を見つめてくる流川の瞳に耐えられなくて、伊理穂は顔を俯けると小さくお礼を言う。
「あ、ありがと……」
流川はそれにきょとんと目を瞠ると、すぐにおかしそうに喉の奥でくつくつと笑い始めた。
「ドウイタシマシテ」
その表情を見て、大楠が切なそうに瞳を細める。
「……早く自分の気持ちに気付いてやってくれよな。洋平、ずっと伊理穂ちゃんのこと待ってるからさ」
「あ……。大楠くん、でも……」
わたしは楓くんが……。言いかけた言葉を、大楠が伊理穂の顔の前に手をかざして止めた。
「おっと。その先は言わなくていいぜ、伊理穂ちゃん。わたしは楓くんが好き、だろ?」
大楠の言葉に伊理穂が頷くと、大楠が「だと思った」と唇を持ち上げた。
「オレ、難しいことはよくわんねえけど、伊理穂ちゃんのその気持ちも多分ウソじゃねえんだと思う。伊理穂ちゃんはウソじゃなくて、ちゃんと流川のことが好きなんだと思うよ。――だけど、オレ、いつか伊理穂ちゃんが自分のほんとうの気持ちに気付くって信じてっから」
「ほんとうの、気持ち?」
自分の内側から、今日の夢で聞いた重い鎖がほどけるような音が聞こえた。
伊理穂はそれを聞こえない振りをして、目の前の大楠をじっと見つめる。
大楠が小さく頷いた。
「そう。伊理穂ちゃんの……ほんとうの気持ち。それに気付いて、そん時にさ。……もしも、流川と厄介なことになるようだったら、そんときは絶対にオレを呼んでよ。助けになるからさ」
大楠のその言葉に、なんでだかわからないけど伊理穂の胸が熱いものでいっぱいになった。
それに鼻の奥がツンと刺激されて、目の前の大楠の顔がゆらぐ。
と、大楠が慌てたようにおろおろした。
「わ、ちょ、泣くなよ伊理穂ちゃん。うわ、あっちで流川がすっげえ目でこっち睨んでるんだって! このまんまじゃオレ流川にマジ殺されるよ! な?」
その言葉に伊理穂はプッと小さく噴き出すと、零れ落ちそうになった涙を手の平で乱暴にごしごしとこすった。
顔をあげて、大楠ににこりと笑いかける。
「ふふ、ごめんね。大楠くん、ありがとう」
「おう」
その時、タイミングよくチャイムが鳴り響いた。
大楠はその音に天井を見つめると、伊理穂に視線を戻してニッと明るく笑った。
「じゃ、オレ教室帰るわ。またな、伊理穂ちゃん」
「うん。ほんとうにありがとう、大楠くん」
手を振り去っていく大楠の背中が廊下の曲がり角に消えると、伊理穂も教室の自分の席へと取って返した。
不機嫌そうに唇を突き出した流川が、静かに問うてくる。
「あいつ、なんだって?」
「昨日ごめんだって」
「ふうん」
どこかつまらなそうに返事を返す流川。
なんだかその様子がかわいくて、伊理穂は小さく笑みを零す。
「あはは。楓くん、やきもち?」
「たりめーだ。あんまオレの気持ちなめんな」
「!」
恥ずかしげもなく言われた流川の言葉に、伊理穂は顔を真っ赤に染めた。
射抜くようにまっすぐ伊理穂を見つめてくる流川の瞳に耐えられなくて、伊理穂は顔を俯けると小さくお礼を言う。
「あ、ありがと……」
流川はそれにきょとんと目を瞠ると、すぐにおかしそうに喉の奥でくつくつと笑い始めた。
「ドウイタシマシテ」