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「ウソだ、伊理穂ちゃん。流川を好きなんて、ウソだ」
「ウソなんかじゃないよ。楓くんのこと、わたしずっと憧れてて、すごく好きで……」
「じゃあ……! じゃあ伊理穂ちゃん、洋平は……!?」
「え?」
大楠の問いに、伊理穂の心がさざめいた。
そこでどうして洋平の名前が出てくるんだろう?
自分と洋平の関係を、大楠はあんなに間近でずっと見てきているのに。
「洋平……?」
戸惑うように呟く伊理穂に、大楠が乗り出すように顔を寄せてくる。
「そうだよ! 伊理穂ちゃん、洋平のこと好きだろう!?」
大楠の迫力に、伊理穂はうろたえた。
ちりちりと焼けるような恐怖が伊理穂の胸を焦がす。
(どうしよう、こわい。いつもの大楠くんじゃない……!)
からだが震えた。
だけど、逃げようと思っても、両肩をすごい力で掴まれて逃げ出すこともできなかった。
対峙するしかなくて、伊理穂は大楠の言葉にゆるゆると首を振る。
「違うよ、大楠くん。洋平は、洋平は幼馴染みで、そんなんじゃないよ。好きとかそういうのじゃ……」
「違う、伊理穂ちゃん! そんなの自分でそう思い込んでるだけだよ。伊理穂ちゃんが気付いてないだけだ。オレは……ずっと伊理穂ちゃんを見てきたからわかる。伊理穂ちゃんにとって、洋平がどれほど必要な存在なのか。伊理穂ちゃんが、どれだけ洋平のこと好きなのか。オレは、オレはずっと見てきたんだ……!」
「大楠くん……?」
小さく名前を呼ぶと、ふいにからだを引き寄せられた。
自分の体にまわる大楠の腕に、伊理穂の肌が恐怖に粟立つ。
「や……っ!」
離れようと咄嗟にからだを押し返しても、大楠のからだはびくともしなかった。
そのことが、さらに伊理穂を怯えさせる。
怖い。力では抗えない。
「やっ、大楠くん何するの!? 離して!」
「好きなんだ、伊理穂ちゃん! オレだって……オレだってずっと伊理穂ちゃんが好きだったんだ!」
「え……?」
伊理穂は愕然と目を見開いた。
今聞いた言葉が、すんなりと頭に入ってこない。
大楠が、自分を好き? そんなバカな。
大楠と一緒にこれまで過ごしてきた時間が、さあっと伊理穂の頭を駆け抜ける。
「うそ……でしょ? そんな、だって、大楠くん、そんなそぶり……」
「伊理穂ちゃんが……っ!」
大楠が苦しげに言う。
「伊理穂ちゃんが洋平のこと好きなのがわかってたから……っ。洋平と、幸せになってくれたらいいと思ってたから、だから今までオレは……っ!」
伊理穂を抱く大楠の力がさらに強まる。
頭がひどく混乱して、今度は抵抗する気力も湧かなかった。
呻くような大楠の声が、伊理穂の鼓膜と心を震わせる。
「こんなのって……こんなのってねぇよ、伊理穂ちゃん……っ。なんで流川なんだよ! なんで、洋平じゃねぇんだよ……! それなら、流川なんかよりオレのほうがよっぽど……っ!」
「大……楠くん」
そこへ。
「おーい、大楠。伊理穂の幸せ、邪魔すんじゃねぇよ」
洋平が、穏やかだけれど隙のない表情を浮かべて現れた。
「ウソなんかじゃないよ。楓くんのこと、わたしずっと憧れてて、すごく好きで……」
「じゃあ……! じゃあ伊理穂ちゃん、洋平は……!?」
「え?」
大楠の問いに、伊理穂の心がさざめいた。
そこでどうして洋平の名前が出てくるんだろう?
自分と洋平の関係を、大楠はあんなに間近でずっと見てきているのに。
「洋平……?」
戸惑うように呟く伊理穂に、大楠が乗り出すように顔を寄せてくる。
「そうだよ! 伊理穂ちゃん、洋平のこと好きだろう!?」
大楠の迫力に、伊理穂はうろたえた。
ちりちりと焼けるような恐怖が伊理穂の胸を焦がす。
(どうしよう、こわい。いつもの大楠くんじゃない……!)
からだが震えた。
だけど、逃げようと思っても、両肩をすごい力で掴まれて逃げ出すこともできなかった。
対峙するしかなくて、伊理穂は大楠の言葉にゆるゆると首を振る。
「違うよ、大楠くん。洋平は、洋平は幼馴染みで、そんなんじゃないよ。好きとかそういうのじゃ……」
「違う、伊理穂ちゃん! そんなの自分でそう思い込んでるだけだよ。伊理穂ちゃんが気付いてないだけだ。オレは……ずっと伊理穂ちゃんを見てきたからわかる。伊理穂ちゃんにとって、洋平がどれほど必要な存在なのか。伊理穂ちゃんが、どれだけ洋平のこと好きなのか。オレは、オレはずっと見てきたんだ……!」
「大楠くん……?」
小さく名前を呼ぶと、ふいにからだを引き寄せられた。
自分の体にまわる大楠の腕に、伊理穂の肌が恐怖に粟立つ。
「や……っ!」
離れようと咄嗟にからだを押し返しても、大楠のからだはびくともしなかった。
そのことが、さらに伊理穂を怯えさせる。
怖い。力では抗えない。
「やっ、大楠くん何するの!? 離して!」
「好きなんだ、伊理穂ちゃん! オレだって……オレだってずっと伊理穂ちゃんが好きだったんだ!」
「え……?」
伊理穂は愕然と目を見開いた。
今聞いた言葉が、すんなりと頭に入ってこない。
大楠が、自分を好き? そんなバカな。
大楠と一緒にこれまで過ごしてきた時間が、さあっと伊理穂の頭を駆け抜ける。
「うそ……でしょ? そんな、だって、大楠くん、そんなそぶり……」
「伊理穂ちゃんが……っ!」
大楠が苦しげに言う。
「伊理穂ちゃんが洋平のこと好きなのがわかってたから……っ。洋平と、幸せになってくれたらいいと思ってたから、だから今までオレは……っ!」
伊理穂を抱く大楠の力がさらに強まる。
頭がひどく混乱して、今度は抵抗する気力も湧かなかった。
呻くような大楠の声が、伊理穂の鼓膜と心を震わせる。
「こんなのって……こんなのってねぇよ、伊理穂ちゃん……っ。なんで流川なんだよ! なんで、洋平じゃねぇんだよ……! それなら、流川なんかよりオレのほうがよっぽど……っ!」
「大……楠くん」
そこへ。
「おーい、大楠。伊理穂の幸せ、邪魔すんじゃねぇよ」
洋平が、穏やかだけれど隙のない表情を浮かべて現れた。