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洋平が持ち直すきっかけのあの事件。
一度ぼこぼこにした奴に仕返しに来られて、それを伊理穂が庇って大怪我をしたときのことを洋平は頭の片隅で思い出していた。
あの日の夜、検査入院のために洋平と伊理穂は入院して、夜にこっそりと様子を見に行った洋平に、伊理穂は泣いて謝った。
自分のせいでごめんと。気付けなくてごめんと。そう言って、大粒の涙を流して謝る伊理穂の顔を、洋平は今でも忘れられない。
自分の浅はかな行いが、どれほど伊理穂を傷つけ追い詰めたのかといことを、まざまざと思い知らされた。
苦い後悔を口の端にのぼらせて、洋平は笑む。
「だからさ、流川。あいつがオレを気にするのは、そういう理由なんだよ。オレが、もうこれ以上非行に走ったりしないように。伊理穂にとったらきっと、償いみたいなもんなんだ。オレに恋愛感情はねぇよ。あるのは罪悪感と、一種の家族愛だけだ」
「…………」
話に呑まれたように、流川が呆然と黙り込んだ。
洋平は重くなった空気を壊すように、わざと明るい声を出すとニッと笑って見せる。
「そういうことだから、安心しろよ、流川。伊理穂はお前が好きだ。……大切にしてやってくれ」
洋平はそれだけ言うと、流川の返事を待たずに、屋上を後にした。
数日後。ついに、決勝リーグがスタートした。
今日の緒戦は海南大附属高校。十六年連続優勝、去年のインターハイではベスト4という、全国でも有名な強豪校だ。
その海南相手に、湘北は最後まで善戦した。
しかし惜しくも、湘北はわずかワンゴール差で敗北を喫してしまった。
「惜しかったな」
試合会場の体育館を出ると、洋平は一緒に観戦に来ていた大楠たち桜木軍団と、晴子たちに声を掛けた。
晴子が感動に瞳を潤ませながら、こくこくと一心に頷いている。
「……あれは、花道が荒れるな」
ぽつりと大楠が呟いた。
洋平はその言葉に苦笑する。
「どうかな。あれで花道、けっこう堪えてるんじゃないか」
ブザー直前。最後の得点チャンスで、花道は痛恨のパスミスをしてしまった。
その光景を思い出して、洋平は苦く笑う。
もしもあのパスが通っていたら、結果がどうなっていたかわからない。
あいつは意外にナイーブだからな。言うと、高宮がげらげらと笑った。
「はは、違いねぇや。バスケ部は今日現地解散なんだろ? このまま花道拾って、元気づけてやろーぜ!」
「わあ、それナイスアイデア!」
「だろう、ハルコチャン!」
そんなことを言っていると、体育館から湘北バスケ部がぞろぞろと姿を現した。
悄然としている花道を、伊理穂が一生懸命慰めている。
その傍らに流川もいた。
「伊理穂、花道」
声を掛けると、伊理穂がこちらを向いた。
あ! と表情をほころばせると、花道の背中を押して洋平たちの方へと駆け寄ってくる。
「洋平! みんなも! 今日は応援に来てくれてありがとうね」
一度ぼこぼこにした奴に仕返しに来られて、それを伊理穂が庇って大怪我をしたときのことを洋平は頭の片隅で思い出していた。
あの日の夜、検査入院のために洋平と伊理穂は入院して、夜にこっそりと様子を見に行った洋平に、伊理穂は泣いて謝った。
自分のせいでごめんと。気付けなくてごめんと。そう言って、大粒の涙を流して謝る伊理穂の顔を、洋平は今でも忘れられない。
自分の浅はかな行いが、どれほど伊理穂を傷つけ追い詰めたのかといことを、まざまざと思い知らされた。
苦い後悔を口の端にのぼらせて、洋平は笑む。
「だからさ、流川。あいつがオレを気にするのは、そういう理由なんだよ。オレが、もうこれ以上非行に走ったりしないように。伊理穂にとったらきっと、償いみたいなもんなんだ。オレに恋愛感情はねぇよ。あるのは罪悪感と、一種の家族愛だけだ」
「…………」
話に呑まれたように、流川が呆然と黙り込んだ。
洋平は重くなった空気を壊すように、わざと明るい声を出すとニッと笑って見せる。
「そういうことだから、安心しろよ、流川。伊理穂はお前が好きだ。……大切にしてやってくれ」
洋平はそれだけ言うと、流川の返事を待たずに、屋上を後にした。
数日後。ついに、決勝リーグがスタートした。
今日の緒戦は海南大附属高校。十六年連続優勝、去年のインターハイではベスト4という、全国でも有名な強豪校だ。
その海南相手に、湘北は最後まで善戦した。
しかし惜しくも、湘北はわずかワンゴール差で敗北を喫してしまった。
「惜しかったな」
試合会場の体育館を出ると、洋平は一緒に観戦に来ていた大楠たち桜木軍団と、晴子たちに声を掛けた。
晴子が感動に瞳を潤ませながら、こくこくと一心に頷いている。
「……あれは、花道が荒れるな」
ぽつりと大楠が呟いた。
洋平はその言葉に苦笑する。
「どうかな。あれで花道、けっこう堪えてるんじゃないか」
ブザー直前。最後の得点チャンスで、花道は痛恨のパスミスをしてしまった。
その光景を思い出して、洋平は苦く笑う。
もしもあのパスが通っていたら、結果がどうなっていたかわからない。
あいつは意外にナイーブだからな。言うと、高宮がげらげらと笑った。
「はは、違いねぇや。バスケ部は今日現地解散なんだろ? このまま花道拾って、元気づけてやろーぜ!」
「わあ、それナイスアイデア!」
「だろう、ハルコチャン!」
そんなことを言っていると、体育館から湘北バスケ部がぞろぞろと姿を現した。
悄然としている花道を、伊理穂が一生懸命慰めている。
その傍らに流川もいた。
「伊理穂、花道」
声を掛けると、伊理穂がこちらを向いた。
あ! と表情をほころばせると、花道の背中を押して洋平たちの方へと駆け寄ってくる。
「洋平! みんなも! 今日は応援に来てくれてありがとうね」