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それを言ったら、伊理穂に少なからず自分の気持ちがバレてしまうかもしれないと躊躇してしまったのだ。
その一瞬の逡巡を見逃さなかった伊理穂の、あの弱々しい微笑。
なにか違うように勘違いされたとは思ったけれど、それを取り繕うだけの言葉が見つからなかった。
洋平は腕を下ろして、ふうと長く息を吐き出す。
流川が、伊理穂を好きなのは間違いない。それはもちろん、外見だけでなく、その内面も含めてだ。
そんなこと見ていればちゃんとわかったけれど、昨日の伊理穂の様子を見て、どうしても洋平は自身の耳で確かめずにはいられなかった。
どうにかして、伊理穂の不安を取り除いてやりたかった。
と、学校に3時間目終了を告げるチャイムの音が鳴り響いた。
洋平はそれが鳴り終わると、ゆっくりと体を起こす。
(そろそろか)
思って、唯一屋上に繋がっている扉をじっと見つめた。
しばらくしてそのノブが回転して、流川が姿を現す。
「よお」
洋平は静かに笑って言った。
「なんのようだ」
ぶっきらぼうに流川が言った。
洋平はそれに苦笑する。
「はは、そう不機嫌になるなよ、流川。――伊理穂のことだよ」
「それはわかってる。てめーがオレを呼び出すなんて、それ以外にねー」
「ま、そうだよな」
流川の言葉に、洋平は瞳を細める。
「なら、話は早いか」
言うと、洋平は流川に向き直った。単刀直入に切り出す。
「な、流川。お前、伊理穂のこと好きか?」
「は?」
その質問があまりにも意外だったのか、普段あまり表情を動かすことのない流川が、おおげさなほどに眉を寄せた。
洋平はそれをめずらしいものを見るような目つきで眺めて、再び同じ質問を口にする。
「伊理穂のこと、好きか?」
「たりめーだ。んなこと聞くために呼び出したのか」
眉間に寄せた皺をそのままに、流川がぞんざいに答える。
洋平はそれを真剣な眼差しで見つめた。
口調はおおらかなままで、だけど瞳には力を込めて言う。
「伊理穂が、不安がってるんだよ。――お前が、自分の外見だけを気に入って好きだと言ってくれてるのかもしれないってな」
「!」
流川が大きく瞳を見開いた。
衝撃でしばらく言葉が出てこないのか、流川はたっぷり三秒間沈黙したあと、ゆっくりと口を開く。
「それは……いつの話だ?」
「昨日だな」
「……伊理穂は、オレにはそんなこと言わなかった」
「はは。言えねぇだろ、そんなこと。好きなやつに直接、わたしのことほんとに好きですか? なんてよ」
ましてや付き合いたてならとくにな。言ってやると、流川が再び沈黙した。
何かを考えているようで、その目はじっと地面を見つめている。
その一瞬の逡巡を見逃さなかった伊理穂の、あの弱々しい微笑。
なにか違うように勘違いされたとは思ったけれど、それを取り繕うだけの言葉が見つからなかった。
洋平は腕を下ろして、ふうと長く息を吐き出す。
流川が、伊理穂を好きなのは間違いない。それはもちろん、外見だけでなく、その内面も含めてだ。
そんなこと見ていればちゃんとわかったけれど、昨日の伊理穂の様子を見て、どうしても洋平は自身の耳で確かめずにはいられなかった。
どうにかして、伊理穂の不安を取り除いてやりたかった。
と、学校に3時間目終了を告げるチャイムの音が鳴り響いた。
洋平はそれが鳴り終わると、ゆっくりと体を起こす。
(そろそろか)
思って、唯一屋上に繋がっている扉をじっと見つめた。
しばらくしてそのノブが回転して、流川が姿を現す。
「よお」
洋平は静かに笑って言った。
「なんのようだ」
ぶっきらぼうに流川が言った。
洋平はそれに苦笑する。
「はは、そう不機嫌になるなよ、流川。――伊理穂のことだよ」
「それはわかってる。てめーがオレを呼び出すなんて、それ以外にねー」
「ま、そうだよな」
流川の言葉に、洋平は瞳を細める。
「なら、話は早いか」
言うと、洋平は流川に向き直った。単刀直入に切り出す。
「な、流川。お前、伊理穂のこと好きか?」
「は?」
その質問があまりにも意外だったのか、普段あまり表情を動かすことのない流川が、おおげさなほどに眉を寄せた。
洋平はそれをめずらしいものを見るような目つきで眺めて、再び同じ質問を口にする。
「伊理穂のこと、好きか?」
「たりめーだ。んなこと聞くために呼び出したのか」
眉間に寄せた皺をそのままに、流川がぞんざいに答える。
洋平はそれを真剣な眼差しで見つめた。
口調はおおらかなままで、だけど瞳には力を込めて言う。
「伊理穂が、不安がってるんだよ。――お前が、自分の外見だけを気に入って好きだと言ってくれてるのかもしれないってな」
「!」
流川が大きく瞳を見開いた。
衝撃でしばらく言葉が出てこないのか、流川はたっぷり三秒間沈黙したあと、ゆっくりと口を開く。
「それは……いつの話だ?」
「昨日だな」
「……伊理穂は、オレにはそんなこと言わなかった」
「はは。言えねぇだろ、そんなこと。好きなやつに直接、わたしのことほんとに好きですか? なんてよ」
ましてや付き合いたてならとくにな。言ってやると、流川が再び沈黙した。
何かを考えているようで、その目はじっと地面を見つめている。