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「あーーーー!」
突然のその大声に、一緒にお弁当を食べるために移動してきていた結子がぎょっと身を引いた。
隣りの席で眠っていた流川も、驚いたように体を起こすと、寝ぼけ眼で何事かとじっと伊理穂を見つめている。
「ちょ、ちょっとどうしたのよ伊理穂」
「結ちゃん、大変なの!!」
「大変? 何が?」
「お弁当! お弁当がない!!」
「はあ、お弁当?」
なんだそんなこと? と言うように結子が眉を寄せた。
しかし、伊理穂にとっては大問題だ。入学して間もないのに、学食を使うのはなんだか気が引けたし、今からでは競争率の高い購買のパンも買えない。このままでは昼食抜きになってしまう。
「どうしよう~。おうちに忘れてきちゃったのかな~」
朝練に遅刻しそうで大急ぎだったから、ありえるかもしれない。
朝から部活に出て、伊理穂の空腹はもう限界まできていた。夕飯まで耐えられる自信がない。
「うう。死亡……」
伊理穂ががっくり机に突っ伏すと、にわかに教室の入り口が騒がしくなった。
「あら、なんの騒ぎかしら?」
結子が興味を引かれたように呟いたが、今の伊理穂には教室の騒ぎよりもお弁当の方が重要だ。正直そんなことどうでもいい。
「知らな~い」
そっけなく返す伊理穂に、結子が肩を震わせる。
「あのねえ、あんた……っ!」
そこまで言って、ふいに結子の声が途切れた。
「結ちゃん?」
不思議に思って顔をあげようとした伊理穂の頭に、がつっと鋭い衝撃が走る。
「い、いったぁ! なに!?」
咄嗟に頭を押さえて驚いて顔をあげると、そこには呆れ顔の洋平が立っていた。
「よ、洋平!?」
目を見開く伊理穂に、洋平が無表情で唇を持ち上げる。
「伊理穂。忘れ物」
言いながら、洋平は顔の横で見慣れた手提げバッグを振った。
「あ、それ!」
伊理穂の顔が喜びに輝く。
洋平の手の中にあるもの。それは正真正銘、間違いなく伊理穂のお弁当だった。
洋平はお弁当を伊理穂の机の上に置くと、じゃあなと言って踵を返した。
その腕を伊理穂は素早く掴まえる。
「あ、洋平待って!」
「他に用はないよ。わかったら腕、放してくんない?」
「な、なにそれ……!」
いつもの洋平からは考えられないほどの冷めた声音に、伊理穂の心臓が凍りつく。
「ひどい洋平、そんな言い方! せめてお礼くらい言わせてよ」
「いらねーよ。じゃあな」
「よ、洋平!」
なんとか引きとめようと伊理穂は掴んだ腕にすがりついたが、洋平に簡単に引きはがされてしまった。
突然のその大声に、一緒にお弁当を食べるために移動してきていた結子がぎょっと身を引いた。
隣りの席で眠っていた流川も、驚いたように体を起こすと、寝ぼけ眼で何事かとじっと伊理穂を見つめている。
「ちょ、ちょっとどうしたのよ伊理穂」
「結ちゃん、大変なの!!」
「大変? 何が?」
「お弁当! お弁当がない!!」
「はあ、お弁当?」
なんだそんなこと? と言うように結子が眉を寄せた。
しかし、伊理穂にとっては大問題だ。入学して間もないのに、学食を使うのはなんだか気が引けたし、今からでは競争率の高い購買のパンも買えない。このままでは昼食抜きになってしまう。
「どうしよう~。おうちに忘れてきちゃったのかな~」
朝練に遅刻しそうで大急ぎだったから、ありえるかもしれない。
朝から部活に出て、伊理穂の空腹はもう限界まできていた。夕飯まで耐えられる自信がない。
「うう。死亡……」
伊理穂ががっくり机に突っ伏すと、にわかに教室の入り口が騒がしくなった。
「あら、なんの騒ぎかしら?」
結子が興味を引かれたように呟いたが、今の伊理穂には教室の騒ぎよりもお弁当の方が重要だ。正直そんなことどうでもいい。
「知らな~い」
そっけなく返す伊理穂に、結子が肩を震わせる。
「あのねえ、あんた……っ!」
そこまで言って、ふいに結子の声が途切れた。
「結ちゃん?」
不思議に思って顔をあげようとした伊理穂の頭に、がつっと鋭い衝撃が走る。
「い、いったぁ! なに!?」
咄嗟に頭を押さえて驚いて顔をあげると、そこには呆れ顔の洋平が立っていた。
「よ、洋平!?」
目を見開く伊理穂に、洋平が無表情で唇を持ち上げる。
「伊理穂。忘れ物」
言いながら、洋平は顔の横で見慣れた手提げバッグを振った。
「あ、それ!」
伊理穂の顔が喜びに輝く。
洋平の手の中にあるもの。それは正真正銘、間違いなく伊理穂のお弁当だった。
洋平はお弁当を伊理穂の机の上に置くと、じゃあなと言って踵を返した。
その腕を伊理穂は素早く掴まえる。
「あ、洋平待って!」
「他に用はないよ。わかったら腕、放してくんない?」
「な、なにそれ……!」
いつもの洋平からは考えられないほどの冷めた声音に、伊理穂の心臓が凍りつく。
「ひどい洋平、そんな言い方! せめてお礼くらい言わせてよ」
「いらねーよ。じゃあな」
「よ、洋平!」
なんとか引きとめようと伊理穂は掴んだ腕にすがりついたが、洋平に簡単に引きはがされてしまった。